
ある日、知り合いの保護団体から「放浪犬を一時的に預かってほしい」と連絡が入った。「吠えるし噛むしで、このままだと殺処分の可能性も」という。「とりあえず2日間だけ」と引き受けたが、迎えに行くと犬はケージから脱走し、周囲は一面血だらけだった。ヨシモフ郎(@yosimofurou)さんが出会った放浪犬との交流を描いた「茶々のお話」をお届けする。




■血塗られた部屋と「破壊神」との遭遇
役場で保護された放浪犬だったが、土日は役場が閉まるため、知り合いの保護団体からヨシモフ郎さんのもとへ預かりの依頼があった。自身は愛犬「ドベ」と「ノラ」の2匹を飼っており、基本的に犬猫の預かりはしていないが、今回は時間に余裕があったため引き受けたという。
放浪犬は「すごく吠えるし、噛む」と聞いていた。迎えに行くと、室内からギャンギャンと吠え続ける声が聞こえる。「そこまで激しいのか」と覚悟を決めてドアを開けると、中にはドアも床も血まみれの光景が広がっていた。入れていたケージの檻はこじ開けられ、革ひものリードは千切られている。暗闇の中には、血だらけで低い唸り声を上げる放浪犬がいた。
■威嚇の裏に隠された「甘えたい」という本音
牙をむき出しにして激しく威嚇する姿に、ヨシモフ郎さんも「噛まれたら嫌だな」と恐怖を感じたという。しかし、痩せ細った小さな体を見て、座ってゆっくり手を差し出してみた。すると犬は驚きながらも、すぐに懐いた。
「挨拶してみたら、ただ怖くてどうしたらいいのかわからなかっただけのようで、想像以上にちょろかったです」とヨシモフ郎さんは振り返る。すぐに心を開いた様子を見て、以前は人間に飼われていた犬だと確信した。「吠えていたけれど、本当は人間に甘えたくて、助けてほしくて仕方なかったんだなと感じました」
■保護犬「茶々」が教えてくれるリアル
放浪犬は茶色い毛並みから「茶々」と名付けられ、新しい家族が見つかるまでヨシモフ郎さんの家で4カ月間を共に過ごすことになった。茶々は人間に捨てられたトラウマを抱えており、ヨシモフ郎さんの姿が見えなくなると激しく鳴いたり、吐き戻したりしてしまう。本作は、そんな茶々との切なくも温かい交流を描いている。
ヨシモフ郎さんは、「世間では保護犬の里親になる関心が高まっていますが、新しい家族を見つけるまでにどう過ごしているのか、意外と知らない人も多いのかなと思い描きました。たくさんある家族のなかの、たった1つのご縁の話ではありますが、読んでいただければ幸いです」と語る。
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