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2026年5月28日 英王室のやんごとなき舞台|辛酸なめ子

2026年5月28日 英王室のやんごとなき舞台|辛酸なめ子

先日「リチャード三世」(パルコ劇場)を観にいってきました。上演期間が長く、文士劇の前に行くか後に行くか迷っていて、きっと前に行ったらレベルの違いに落ち込むことになるから後に行くことに。実際、吉田羊さんをはじめとして出演者の素晴らしい演技と長台詞に圧倒されました。演出は森新太郎さんです。

 

もしかしたら舞台の前に観ていたら、おこがましくも吸収できた部分があったかもしれません。序盤、リチャードがアンに罵倒されるシーンで、地獄行きとかそんなセリフがあったのですが、その怒っている演技を見て、こんな感じで言いたかった……。と後悔がよぎりました。レット・バトラーに「地獄に落ちればいい!」というところがあり、借金を断られて怒って言うセリフなのですが、私の言い方が迫力がどうも足りなかったです。今まで人に対して激怒したり怒鳴ったりすることがなく……。でも「リチャード三世」では、アンが自分の夫を殺したリチャードを心から憎んでいるので、罵詈雑言もかなりの迫力で叫んでいました。今更ながら、もっと憎しみをぶつける演技ができれば……と思ってしまいました。

「リチャード三世」はストーリーや人物相関図が複雑で一回では理解できなかったのですが、シェイクスピアのセリフのかっこよさが印象に残りました。

全編通してセリフが詩的で文学的で、口に出していると陶酔感が得られそうです。最後、戦争で窮地に至ったリチャードの「馬の代わりに王国をくれてやる!」と言うセリフや、リチャード三世に殺された亡霊たちが「絶望して死ね!」と浴びせるセリフなど、短い部分しか覚えていませんが、どれも印象的でした。

それにしてもすごい長台詞でどうやって覚えるのでしょう? 未来はAIの技術でスマートコンタクトにセリフが表示されたり? と思いながら、気になって「シェイクスピア セリフの覚え方」で調べてみました。

「何を意味するのか理解して繰り返すだけ」「LineLearnerという再生アプリを使う」「台詞を言いながら歩き、句読点ごとに立ち止まって方向を変える」「セリフを言いながら図をイメージする」「一言一句書き起こす」「セリフの単語の頭文字を書き出す」など。

私は記憶力が悪い方で、「文士劇」のセリフも覚えられないと諦めていたのですが、実際やってみたら脳を鍛えることができました。特に演じる予定がなくても、文学的なセリフを覚えることは脳を活性化させ、ボキャブラリーを増やす効果がありそうです。脳内演劇トレーニングです。

ところでさんざん悪党のように描かれていた「リチャード三世」ですが、歴史が再考されて、かなり誇張されていたという説が出ています。権力には執着していましたが、戦場では勇敢で、貧しい人々のための制度も作ったそうです。誰もが善人と悪人の両面を持っています。

日本では、長らく怨霊とされていた天皇が祟りを発動していたので、何百年も悪人とされていたリチャード三世の魂も浮かばれない年月を送っていたことでしょう。吉田羊さんが、リチャードの孤独に共鳴し、かっこよく演じたことで魂も浮かばれたかもしれません。

「リチャード三世」に出てくる1400年代の王室の登場人物の名前が現代の王室と同じなのがちょっと怖いです。エリザベス、エドワード、ヨーク、アン、マーガレット、ジョージ、ヘンリーなど。やんごとなき名前なのだと思いますが、縁起が……とか考えないのかもしれません。むしろ過去世でずっと同じ登場人物で回しているのでは? という気さえしてきます。

「リチャード三世」と現代のイギリス王室は、直系ではないですが、同じ「プランタジネット家」の血を受け継いでいるようですね。 ヨーク家とランカスター家は薔薇戦争で戦って、勝者はヘンリー七世。彼はヨーク家の王女と結婚したのでヨーク家とランカスター家の血が統合し、現代に繋がっています。でもその間にはたくさん戦争で亡くなった人、殺された人、幽閉された人がいます。ふと、イギリス王室も日本のように祭祀や先祖供養をしっかりやったほうがいいのでは? と他人事ですが思えてきました。

こちらは文士劇の衣装を着ての稽古の様子です。あれからもう1週間なんて信じられません。

⭐︎お知らせです

2026/06/03 19:30- 笹公人さんの「オカルトで読む『言霊の短歌史』」

『言霊の短歌史』(KADOKAWA)刊行記念イベントに出させていただく予定です

何卒よろしくお願いいたします

配信元: 幻冬舎plus

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