
篠原涼子とバカリズムのダブル主演作「イップス」(2024年放送、フジテレビ系)は、“書けなくなった”ミステリー作家と“解けなくなった”エリート刑事の“絶不調バディ”が絶妙会話術と掛け合いで事件を解決するミステリーコメディー。“イップス”とは、心の葛藤により筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼし「できていたことができなくなってしまう」心理的症状のこと。第10話は、フリーのジャーナリスト・新正(野村周平)が行き過ぎた正義感から罪を犯してしまう回で、殺人事件のアリバイを解いていく展開にドキドキさせられる。(以下、ネタバレが含まれます)
■異業種のミコと森野が協力して殺人トリックを暴いていく
ミステリー作家の黒羽ミコ(篠原)と、警視庁捜査一課刑事の森野徹(バカリズム)は、同じ“イップス”状態にあるという悩みを抱えていた。サウナ施設で偶然知り合った2人は、互いの足りない部分を補い合うようにいつのまにかバディを組み数々の事件を解決している。
1話完結のオリジナルストーリーで、コミカルで明るい会話劇と自身の悩みに対する細やかな心理描写がバランスよく合わさったドラマだ。FODで配信中。
■“令和のねずみ男”による連続殺人が発生する
第10話は「復讐は天チューにあらず」。あるビルのエレベーター内で、神奈川県議会議員の串鉄(三上市朗)が何者かによって射殺される。壁には“令和のねずみ男”を名乗る犯人からの声明文が貼られており、「この男、10年前の剛谷トンネル崩落事故で多くの人間を殺した悪人の一人。法に代わり天誅(てんちゅう)を下す」と記されていた。ミコはこの事件に興味を示すが、森野から「管轄外」と言われてシュンとなる。
■正義感を振りかざす犯人を前に吠えるバカリズムが熱い
数日後、都内のホテルの一室で、鍋鳥建設社長の鍋鳥(川瀬陽太)が殺害される。そこにも“令和のねずみ男”による犯行声明文が貼られていた。鍋鳥建設は剛谷トンネルの工事を請け負った会社だが、串鉄に多額のわいろを贈って工事を受注するも、手抜き工事のせいで崩落事故を引き起こしたという噂があった。するとそこに、フリーのジャーナリスト・新正(野村)が現れ、取材をさせろと機動捜査隊の酒井(味方良介)らともめ始める。新正は、疑惑があっても裁かれていない権力者らを糾弾する記事ばかり書いている男だった。しかも新正は、警察発表されていない“令和のねずみ男”のことを何故か知っていた。新正のことを調べた森野は、「正義感が強すぎて危険な人物」だと判断する。そんな折、森野は姪っ子の木原茜(松田るか)に会う。だが実は茜は、新正と恋人関係にあった…。
殺人事件に関わる男と、刑事の姪っ子が付き合っている部分などは少々ドラマに寄せた都合の良い展開ではあるが、森野が感情を露わにして憤る姿が見られるのも作中では珍しいシーンとなっている。姪っ子が傷つけられたことも森野を大いにイラつかせたが、新正に「あんたたち警察だってそうだろ、権力に丸め込まれて…だから俺が天誅を下してやったんだ」と言われた瞬間に、森野が「なにが天チューだ!人を殺していい理由なんてないんだよ」と激高。ここは森野のプライドや姪っ子への愛情を感じる場面となっている。脚本家として大活躍中のバカリズムが、俳優業で熱い演技を見せる姿を、ぜひご覧いただきたい。

