
妊娠できる健康な体を持つ女性が“子どもを産むための道具=侍女”となるディストピア世界を描き、エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞したドラマシリーズ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」。その新章となる「テスタメント/誓願」の最終話となる第10話が、5月27日に配信された。性暴力を許さない正義感にあふれた少女たちの決断と行動。残酷さを帯びながら、新たな始まりを予期させる展開となった。(以下、ネタバレを含みます)
■衝撃的な世界を描いた「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」から15年後が舞台
本作の原作は、「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」と同じくカナダの作家、マーガレット・アトウッド氏の小説。同氏にとって2度目となる権威あるイギリスの文学賞、ブッカー賞を受賞した作品だ。
「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」の世界観を引き継ぎ、約15年後の全体主義国家・ギレアド共和国が舞台。抵抗組織の台頭があったものの、ギレアドは国民を強固に支配し、あまりにも冷酷な階級社会が続いていた。特に女性は信仰を盾に財産や、読み書きさえも禁じられるなど、すべての権利を奪われ、上級司令官の令嬢たちすら、その暴力の犠牲になっていた。
監視の目が張り巡らされた中、リディアおば(アン・ダウド)が支配する上級司令官の妻になるための教育を施す学校「リディアおば学院」で2人の少女が出会った。1人は、ギレアドの特権階級である司令官の娘として、体制の内側で従順かつ敬虔に育てられてきたアグネス(チェイス・インフィニティ)。もう1人は、国外からギレアドにやって来た新参者(改宗者)のデイジー(ルーシー・ハリデイ)だ。
■友人を救うため、それぞれの立場で“覚悟”を決める
同級生のアグネスやフルダ(イゾルデ・アルディエス)に性的虐待をした父を殺したベッカ(マッテア・コンフォルティ)が、国民を監視する役割を持つ“目”と呼ばれる組織に連行された。リディアおばから救ってほしいと頼まれたジャド司令官(チャーリー・キャリック)は、たとえ性犯罪があってもギレアドの男性が“女”に殺されたという事実は揺るがず、おそらく絞首刑となるが、「慈悲深い処分」があれば“侍女”として生きられる可能性があることを示唆した。
彼女を病院に行かせたいと両親に打ち明けたことが連行のきっかけになってしまったアグネスと、ベッカの父を告発したデイジーは、ベッカを助けるためにそれぞれ立ち上がる覚悟を決めた。

■アグネスは婚約者にベッカの救済を求める
アグネスは、ベッカのことで慰めにきた婚約者・ウェストン司令官(リード・ダイアモンド)に自らもベッカの父親から性被害に遭ったことを打ち明け、ベッカを助けてくれるよう頼んだ。ウェストン司令官は“目”の責任者なのだ。
ウェストン司令官は、ベッカを自宅に戻す一時的な措置を決め、24時間の監視付きだが母親と一緒に過ごせるようにした。
ただ、アグネスは婚約解消を言い渡された。“目”の責任者として、ベッカの事件と距離を置くためという理由だが、おそらくそれは建て前で、“傷もの”になったアグネスを妻にしたくなくなったのかもしれない。あるいは、友人のために勇気ある行動をするアグネスは、ギレアドの従順であるべき女性とは違うことを感じ取ったからとも考えられる。これまでの展開でギレアドという国を知るほどに、そう考えつくことになったのが悲しくもある。
■デイジーとジューンが再会、アグネスの正体が判明
一方、ギレアドの抵抗組織メーデーの協力者であるデイジーは、メーデーがベッカ救出に協力してくれないと分かると、独自で行動を起こそうとする。そんなデイジーを危ぶんだメーデーの一員であり、前シリーズの主人公でもあるジューン(エリザベス・モス)は彼女と再会。
ジューンは、デイジーの行動で仲間を危険にさらせないと国外に連れ出すことを決めていた。「私は娘のハンナを取り戻すまで戦う。あの子が女性として自由を手にするまで」とメーデーで活動する理由を明かすジューン。するとデイジーは「私もそれを望んでる。女の子たちを救おうとしてるのに」と、自らの行動も変わりないのだと訴えた。
デイジーは、ベッカやアグネスたちがどれほどいい友達なのかを説明した。すると、アグネスの名前を聞いたジューンの表情が変わった。アグネスこそ、ジューンの娘・ハンナだったのだ。たまらず「どんな子なの?」と問い掛けるジューン。デイジーが「最高に勇敢だよ。かわいくて、優しい。笑いのセンスはないけど、とにかくいい子。あんな子になりたいと誰もが思う」と語ると、ジューンは涙を流しながらうれしそうにうなずいた。
ジューンは、危険を承知で少女たちを救う決意をしているデイジーを認め、ギレアド内部で活動し続けることを許した。

■残酷な中に希望を感じさせるラスト
立ち上がろうとしたのは、アグネスとデイジーだけでなく、リディアおばとヴィダラおば(メイベル・リー)も。2人は、ベッカを救うべく協力し、ベッカの罪を母親がかぶることを提案。それはあまりにも残酷だが、母が子を救うということは、ギレアドの女性ができる数少ないことだった。
そして母の犠牲によって命が救われたベッカのために、さらにアグネスが行動する。ベッカの結婚相手に決まっていたガース(ブラッド・アレクサンダー)に、結婚をやめないよう懇願した。友のためではあるが、自分の思い人でもあるガースに託す切なさ。その思いをガースはくみ取り、ベッカと結婚式を挙げた。
ガースとベッカの結婚式をアグネスと共に見守ったデイジーは、アグネスにジューンがアグネスの母であることを告げた。「テロリストの?ひどいわ」と驚くアグネス。ギレアドではメーデーはテロリストとして潜在意識に植え付けられているのだ。しかし、デイジーは「あなたと同じで信念のために戦ってる」と教えた。
異例の“出戻り”となったアグネスは、リディアおばに呼び出され、これから乗り越えていかなければと諭された。そこでアグネスは自分の母が「犯罪者」のジューンだと明かした。リディアおばは驚いたようでもあったが、ジューンをよく知っていると話し、「何があっても諦めない人」だったと伝えた。
ジューンから受け継いだ強い正義感を持つアグネス。アグネスたちの強さを知り、自らも強くあろうと決めたデイジー。残酷さに直面しながらも、それに立ち向かう少女たちの結束に、明るい未来が訪れることを願わずにいられないラストだった。
SNSには「『ハンドメイズ・テイル』は激しかったけれど、こちらは静かな展開ながらグッと年齢層を下げた少女たちの闘いに胸が熱くなった」「デイジーの勇気と真心のこもった言葉にボロボロ泣いた」「魂を揺さぶるレベル」「ベッカとアグネスのシーンは、心を砕くほど切なく、美しく、同時に息をのむほど緊張感に満ちていた」「最後のシーンが大好き」「これからが楽しみになるラスト」といった反響が寄せられている。
「テスタメント/誓願」は、ディズニープラスのスターにて全話配信中。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

