PCOSには遺伝的な要因と生活習慣・環境の両方が関わっています。家族に同様の症状がある方や、BMIが高い方などでリスクが高まる可能性があります。この記事では、発症に関与するとされる主なリスク因子を整理し、日常生活での気づきのポイントについて紹介します。

監修医師:
西野 枝里菜(医師)
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) になりやすい人の特徴とリスク因子
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) はすべての年齢の女性に起こりうる疾患ですが、特定の特徴を持つ方でリスクが高くなる傾向があります。このセクションでは、どのような方が多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) を発症しやすいのか、主なリスク因子を解説します。
遺伝的背景と家族歴の関与
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の発症には、遺伝的な要因が関与していると考えられています。母親や姉妹に多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) を持つ方がいる場合、自身も多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) を発症するリスクが高まる可能性があります。また、家族に2型糖尿病やインスリン抵抗性を持つ方がいる場合も、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) との関連が示唆されています。
遺伝的な背景として、インスリンの作用に関わる遺伝子や、男性ホルモンの代謝に関わる遺伝子の変異が多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) のリスクに関係する可能性が研究されています。ただし、遺伝だけで必ずしも発症するわけではなく、環境因子や生活習慣との相互作用によって発症するかどうかが決まると考えられています。
家族歴がある方は、若いうちから月経の様子に注意を払い、不規則な場合は婦人科・産婦人科や内科での診察を検討することが望ましいです。早期に気づいて対処することで、症状の進行を抑えやすくなります。遺伝的なリスクがあるからといって必ず発症するわけではなく、生活習慣の工夫によってリスクを抑えられる可能性もあります。
生活習慣・体型・環境因子の影響
遺伝的な素因に加えて、生活習慣や体型、環境的な要因も多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の発症に深く関わっています。特に注目されているのが、肥満と生活習慣の関係です。
体重が増加すると脂肪細胞からさまざまなホルモンが分泌され、インスリン抵抗性が悪化します。インスリン抵抗性の悪化は男性ホルモンの産生を促し、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の症状を引き起こしやすくします。そのため、BMI(体格指数)が高い方は、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) のリスクが高まる可能性があると考えられています。一方で、痩せ型の方でも多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) を発症するケースはあり、体型だけがすべての要因ではありません。
食生活に関しては、血糖値を急激に上げる食事(精製された糖質や炭水化物を多く含む食事)を継続的に摂ることが、インスリン抵抗性を悪化させる可能性があります。また、慢性的なストレスや睡眠不足は、副腎(ふくじん)から分泌されるコルチゾール(ストレスホルモン)のバランスを乱し、ホルモン環境に影響を与えることがあります。
思春期から20代にかけての若い年齢層での発症が多く報告されており、月経が始まってからしばらくの間に症状が現れ始めることがあります。運動不足や夜型の生活といった現代的な生活パターンも、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) のリスクを高める要因として指摘されています。
まとめ
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は、ホルモンバランスの乱れによって月経不順や排卵障害、男性ホルモン過多などの症状をもたらし、長期的には代謝や精神的健康にも影響をおよぼす疾患です。遺伝的背景や生活習慣が発症に関与しており、薬や生活習慣の改善によって症状の管理が可能です。「もしかして」と感じたら、まず婦人科・産婦人科や内科に相談することをおすすめします。
参考文献
日本産科婦人科学会「本邦における多囊胞性卵巣症候群の治療指針(full version)」とアンケート調査結果について」
日本産科婦人科学会「多囊胞性卵巣症候群に関する全国症例調査の結果と本邦における新しい診断基準(2024)について 」
厚生労働省 「令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 」
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