首や肩の痛み、腕のしびれといった症状に悩まされている方のなかには、変形性頚椎症と診断されるケースがあります。加齢に伴って起こる頚椎(けいつい)の変化が主な原因で、40代以降の方にみられる疾患です。進行すると日常生活に支障をきたすこともあるため、早期の理解と対処が大切です。
本記事では、変形性頚椎症の原因や症状、診断の方法、治療の選択肢を詳しく解説します。症状が気になる方や、ご家族が診断を受けたという方も、病気の正しい知識を得ることで、ご自身やご家族の今後の備えに役立ちます。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
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眼科(角膜外来)
変形性頚椎症の概要と原因

変形性頚椎症はどのような病気ですか?
変形性頚椎症は、加齢や長年の負荷により頚椎が変形し、神経根や脊髄が圧迫されて、首の痛みや肩こり、手足のしびれ、脱力などを引き起こす病気です。頚椎は7つの骨から成り、椎間板や関節、靭帯で連結されていますが、年齢を重ねることで椎間板の弾力が失われて薄くなり、骨にとげ状の変化(骨棘)が生じるようになります。これらの変化により、脊柱管や椎間孔といった神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫して多様な症状が現れます。
変形性頚椎症の原因を教えてください
変形性頚椎症の主な原因は、加齢により首の骨や関節、椎間板がすり減り、徐々に変形していくことです。年齢とともに椎間板の水分が失われて弾力がなくなると、骨や関節に直接負担がかかりやすくなります。その結果、骨のとげ(骨棘)ができたり、関節の形が変わったりして、神経の通り道が狭くなってしまいます。さらに、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、現代的な生活習慣も、首への負担を増やす原因になります。こうした変化が積み重なることで、変形性頚椎症が発症しやすくなります。
変形性頚椎症はどのような人がなりやすいですか?
加齢は大きなリスク因子であり、特に50歳以降の中高年層に多くみられます。性別を問わず発症し、男性では肉体労働や重量物を扱う業務に従事している方、女性ではデスクワークや介護など首への負荷が続く方が発症しやすい傾向があります。また、姿勢の悪さ、運動不足、過去の首の外傷、慢性的な首の緊張やこりがある方は、頚椎の変性が早く進行しやすくなります。さらに、家族に頚椎や腰椎の変性疾患を持つ方がいる場合は、遺伝的な要素も影響していると考えられています。
変形性頚椎症の症状

変形性頚椎症には前兆はありますか?
変形性頚椎症の初期には、はっきりとした症状が出ないこともありますが、軽い違和感や首のこり、朝起きたときの首の動かしづらさなどが前兆として現れることがあります。日常生活で特に思い当たる原因がなく、なんとなく首の後ろや肩のハリを感じるようになった場合には、頚椎の変性が進行している可能性もあります。また、長時間同じ姿勢をとると首の痛みが強くなる、腕が疲れやすいなどの感覚も、進行前のサインとして注意が必要です。
変形性頚椎症の症状を教えてください
症状は神経の圧迫部位によって異なりますが、代表的なものには首や肩の痛み、肩甲骨まわりのハリ、腕や手のしびれ、指先の細かい動作がしづらいといったものがあります。ときには筋力の低下や、物を落としやすくなる、箸を使いにくいといった手の不器用さが目立つこともあります。足のもつれや歩行のふらつきが出ることもあり、これは脊髄そのものが圧迫されている頚髄症と呼ばれる状態に進行している可能性があります。また、症状は左右どちらか一方に現れることもあれば、両側に出ることもあります。
変形性頚椎症は進行するとどうなりますか?
変形性頚椎症が進行すると、首や肩の痛みだけでなく、手足のしびれや脱力が強くなり、日常生活に支障をきたすようになります。脊髄が圧迫されると、足の動きにも影響が出て歩行困難となったり、階段の昇降やつまずきやすさが目立つようになったりします。また、進行例では膀胱や直腸の機能が障害され、頻尿や尿漏れなどの排尿障害を生じることもあります。このような状態では、保存的治療では改善が難しくなり、手術が必要となることもあります。日常動作のなかで不便を感じることが増えた場合には、早めに医療機関を受診することがすすめられます。

