
2026年6月1日、ユニクロの猛暑対策の取り組みを紹介する説明会が開催。熱中症のスペシャリストによる梅雨と真夏の暑さの違いや、こうした差に応じた服選びの新提案「適材適暑(てきざいてきしょ)」が紹介された。
■単一アイテムの機能から「組み合わせ」の暑さ対策へ、ユニクロの新提案
ユニクロが提案する「適材適暑」とは、暑さや環境に合わせて服の素材や機能、デザインを選び、着こなしを組み合わせることで快適さをコントロールするという考え方。本プロジェクトを整理するうえで、救急専門医で熱中症予防声かけプロジェクトの実行委員長を務める三宅康史さんが監修に携わり、暑さ対策の専門家による医学的知見も取り入れたという。

昨今の記録的な暑さを背景にした適材適暑について、ユニクロ ジャパンマーケティング部の古宿瑠美部長は「多様な暑さに対して、一着の服だけで快適に過ごすというのは難しくなってきているのでは」と所感を述べる。
これまでも吸水速乾性や接触冷感といった特徴を持つ製品「エアリズム」をはじめ、速乾機能にフォーカスした「ドライEX」、紫外線対策としてUVカット機能を有するアイテムなどを展開してきたユニクロ。古宿部長が「さまざまな(暑さの)状況によって使われている必要な機能というのは異なってくる」と話す通り、適材適暑は商品単体の機能にとどまらず、複数の商品を組み合わせることでさらに快適な着こなしを、という視点を提示する狙いだ。

取り組みの第1弾として展開するのは「梅雨時期の適材適暑」。6月中旬から適材適暑の特集サイトを公開し、情報を発信していく予定だ。また、6月1日からJR池袋駅中央1改札内店、ウイング新橋店、なんばウォーク店、名古屋エスカ店、博多口地下街店にて、その日の暑さに応じた服選びを行えるよう大型気温計を設置。気温とともに、「真夏日」「猛暑日」といった区分も表示する。

■梅雨は“鍋の中”真夏は“オーブン”。専門医が解説する「暑さの質」の違い
説明会には、監修を務めた三宅さんが登壇。梅雨と真夏の暑さの特徴が解説された。
三宅さんは梅雨時の暑さを「鍋にお湯を入れて沸かす」、真夏の暑さを「オーブンの中」にたとえる。梅雨時は湿度が高く、汗をかいても乾きづらい。汗はかいたときではなく、その汗が蒸発することで気化熱として熱を奪っていくため、湿度が高い時期は気化の効率が下がるのだという。一方、真夏は直射日光や地面からの輻射(ふくしゃ)熱が強烈で、直接体が熱せられる要素が強まる。
こうした暑さの質の違いに対して、三宅さんは「梅雨時は、カッパやパーカーを着ることがあります。 そのとき、その下に着るインナーの役割は非常に大事になってきます。それに加えて、うまく衣服の中に風が通ると汗が乾きやすい」とポイントを解説。猛暑の時期は「暑さそのものをどう避けるか」と、遮熱や遮光を意識する視点を紹介した。

壇上には適材適暑に基づいたコーディネート例も登場。「梅雨時のキッチン」を想定した場面では、「エアリズムブラキャミソール」、「クロシェVネックカーディガン」、「リネンブレンドイージーショートパンツ」というコーディネートが紹介された。三宅さんは「キッチンは非常に狭くて熱源があり、風通りの悪い場所」とシーンのポイントを語り、通気性がよく着脱しやすいカーディガンは「外での仕事のときからキッチンまで対応できる」と評した。

また、「猛暑のドライブ」というシチュエーションでは、「ウルトラストレッチエアリズムワンピース/ノースリーブ」、「ウルトラストレッチエアリズムUVカットフルジップパーカ」、「UVカットポケッタブルシェードハット」、「UVカットシームレスアームカバー」、「サングラス/ボストンコンビ」という組み合わせが登場。「(運転中は方向転換するため)いろいろなところから日射が入る。日射を避けることとUVカットは大事になってくる」としたうえで、自動車の中は後列のほうが冷房の風が回りづらく暑いと説明。ドライバー以外も「非常にゆったりとした感じで過ごしやすく、疲れも感じないような形(の着こなし)は非常に重要なポイントになる」と解説した。


■小田急も「エアリズム」を夏用制服に導入で好感触
説明会ではユニクロが関わる暑さ対策の一例として、小田急電鉄が夏用制服に導入した「エアリズムカノコポロシャツ」の事例も紹介された。

小田急電鉄では昨年度、小田急線全線の正社員に対してエアリズムカノコポロシャツの制服を導入。ネイビーとライトブルーの2色から選べる形で、胸には小田急のブランドマーク、袖には同社の子育て応援キャラクター「もころん」がプリントされたオリジナルデザインだ。小田急電鉄旅客営業部の安藤道子課長は「(もともとの制服は)激しい動きにも耐えられるようしっかりとした素材ということで、生地がとても厚い。特に女性はワイシャツの上にベストを着用する者が多く、近年の厳しい暑さの中では制服を着ること自体が負担となっていた」と、エアリズム制服が導入に至った背景を話す。

正社員への導入後、有効性が実証されたと判断したことから、この6月1日からはアルバイトを含めた全線の駅係員に導入範囲を拡大。安藤課長によると、係員からは「涼しくて快適」「サラサラしていて肌触りがいい」「洗濯をしてもすぐに乾く」「アイロンいらずで楽」といった声が上がっているという。安藤課長は「係員の働きやすさの向上、また業務効率の改善といったところからも非常に有益な施策」と感触を明かした。

取材・文=国分洋平
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