PCOSの診断は自己判断が難しく、医療機関での血液検査や超音波検査が必要です。日本産科婦人科学会の基準をもとに、月経異常・多嚢胞卵巣・ホルモン値の3項目が確認されます。この記事では、受診のタイミングや準備のポイントも含め、検査の流れをわかりやすくお伝えします。

監修医師:
西野 枝里菜(医師)
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の診断と検査で確認すること
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は自己判断が難しく、医療機関での適切な検査と診断が必要です。このセクションでは、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の診断基準や検査内容について具体的に説明します。
診断基準と検査の種類
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の診断は、いくつかの基準を組み合わせて行われます。日本産科婦人科学会の診断基準では、以下の3つの項目すべてを満たす場合にPCOSと診断されます。
・月経周期の異常(稀発月経や無月経など)
・多嚢胞卵巣(エコー検査による確認)または AMH(抗ミュラー管ホルモン)の高値
・アンドロゲン(男性ホルモン)の過多 または LH(黄体形成ホルモン)の高値
これらの項目を確認するために、血液検査と超音波検査(経腹または経腟)が行われます。血液検査では、LH・FSH・男性ホルモン(テストステロンなど)・インスリン・血糖値・甲状腺ホルモンなどが測定されます。甲状腺ホルモンの検査が含まれるのは、甲状腺の異常も多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) と似た症状を引き起こすことがあり、鑑別診断(かんべつしんだん)が必要だからです。
超音波検査では、卵巣の大きさと内部の卵胞の数・配置が確認されます。多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) では、卵巣の外周に直径2〜9mm程度の小さな卵胞が10個以上(または12個以上、基準は施設により異なる)観察されることが特徴です。これらの検査結果を総合的に判断して診断が行われます。
なりやすい人が受診するときの注意点
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) が疑われる場合、受診の際にはいくつかの準備をしておくとスムーズです。まず、月経の記録(最後の月経が来た日・周期・期間・経血量)をメモしておくことが役立ちます。基礎体温をつけている方は、そのデータを持参すると、排卵の有無を確認する参考になります。
受診先としては、婦人科・産婦人科が一般的ですが、内分泌内科や内科でも相談できる場合があります。ホルモン検査の値は月経周期によって変動するため、月経開始から2〜5日目に採血することが多く、受診のタイミングも医師の指示に従うことが大切です。
また、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) と診断されても、すぐに薬が必要になるわけではありません。症状の程度や妊娠希望の有無、インスリン抵抗性の程度によって、治療方針は個別に検討されます。「自分は多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) かもしれない」と感じた方は、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。不安を抱えたままにせず、早めに医療機関に足を運ぶことが大切です。
まとめ
多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は、ホルモンバランスの乱れによって月経不順や排卵障害、男性ホルモン過多などの症状をもたらし、長期的には代謝や精神的健康にも影響をおよぼす疾患です。遺伝的背景や生活習慣が発症に関与しており、薬や生活習慣の改善によって症状の管理が可能です。「もしかして」と感じたら、まず婦人科・産婦人科や内科に相談することをおすすめします。
参考文献
日本産科婦人科学会「本邦における多囊胞性卵巣症候群の治療指針(full version)」とアンケート調査結果について」
日本産科婦人科学会「多囊胞性卵巣症候群に関する全国症例調査の結果と本邦における新しい診断基準(2024)について 」
厚生労働省 「令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 」
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