
金曜ドラマ「田鎖ブラザーズ」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の第7話が5月29日に放送され、3人への殺人教唆を疑われるも証拠を残さない市役所の相談員・秦野小夜子(渡辺真起子)の逮捕に手こずる真(岡田将生)たちの様子が描かれた。(以下、内容のネタバレを含みます)
■時効になった両親殺害事件の真犯人を追うクライムサスペンス
本作は、時効が成立してしまった31年前の両親殺害事件の犯人を探すために警察官になった兄弟が、日々起こる凶悪事件事件と立ち向かいながら両親の事件の真相を追っていく、完全オリジナルのクライムサスペンスである。
■3人への殺人教唆を疑われる相談員・秦野
妻の復讐で西浦綾香を殺害した宇野(山本浩司)が転落死。真は、復讐を果たして自殺したのだと決めつけるが、遺体の頭部の傷から誰かに突き落とされたことが判明した。
最有力の容疑者として、西浦の婚約者・我妻(兵頭功海)が浮上。我妻の家を訪ねた詩織(中条あやみ)は、帰り際に玄関で市役所の健康福祉課の刊行物が目に留まった。そこには相談室の秦野小夜子が写っていた…。
入試の採点ミスの隠ぺいが原因で起きた大学理事長の死亡事件への関与を疑われていた成田温子(中島ひろ子)と宇野のカウンセラーだった秦野は、我妻も担当していた。詩織は、秦野が3人に殺人を教唆をしたのではないかと疑い始めていた。
そして、成田と宇野が使っていた履歴の残らないメッセージアプリ・テレシークを秦野も使っていることが判明。捜査を進めていくと、大学理事長の死因と同様の薬の飲み合わせによる殺人事件の記事や、西浦の死因の一酸化炭素中毒のトリックが書かれた小説が見つかった。秦野が宇野たちにそれを薦めた可能性は大きいが、教唆の証拠にはならない。成田や我妻から、秦野の関与を聞き出すしか方法は無かった。

■我妻と成田の自供
詩織と真は、西浦の死亡現場で手を合わせる我妻に秦野の関与を尋ねたが、彼はそれには答えず去っていった。だが、真は我妻のブレスレットの石の色の配置が、以前と変わっているのを見逃さなかった。
もし犯行中にブレスレットが切れ、落ちた石が残っていたとしたら…。必死の捜索で石が見つかり、我妻は犯行を自供。彼は秦野の指示でビルの屋上へ行き、秦野に呼び出されてやってきた宇野を突き落としたのだった。
だが我妻の証言だけでは、秦野を逮捕することはできない。捜査が行き詰まる中、成田が犯行を自供しに出頭。数日前、刑事の石坂(宮近海斗)からの手紙を読んだ彼女の息子・賢心(齋藤潤)が説得したようだ。石坂は、家庭環境が似ている自分の心情や間違いを犯した母親を今度は賢心が助ける番だということを綴り、それが賢心に響いたのだろう。
薬剤師の成田は、薬局に理事長が置き忘れたタブレットに「採点の不備について」とのメッセージが表示されているのを見てしまった。自己採点では合格していたはずの息子が採点ミスで落ちたと思った彼女は、理事長に追加合格を懇願。だが、カネ目当てだとあしらわれ、相談室へ行ったのだった。
そこで秦野に「大学はミスを揉み消して終わるかもしれない。このままだと、息子だけが苦しむことになる」と言われた成田は、どうしても理事長を許せなくなり、犯行に及んでしまった、とのことだった。

■「今回は“負け”かもしれない」
秦野の教唆は間違いないが、彼女は事実と可能性を伝えただけ。「今回は、“負け”かも知れない」と悔しさをにじませる小池(岸谷五朗)を見て、真は自分がおとりになって証拠を見つけようと秦野の元へ向かおうとした。
そこへ稔(染谷将太)がやって来て、宇野が死んだ1時間前の市役所の廊下を映した防犯カメラの映像を渡した。成田には新聞記事、宇野には小説を渡していたが、我妻には何も…。秦野の計画とは違っていた可能性がある、と稔は推理していた。

■決定的な証拠
秦野を訪ねた真は「今日は、相談ではなく逮捕しに来た」と告げ、彼女が相談者の中から復讐したい相手が居る者を探し、殺人教唆したのだと語り始めた。だが彼女は「悩みを聞いて、気分転換に本などを薦めただけ。それが何の罪に?」と淡々と答えるのだった。
もちろんそれだけなら罪に問うことはできない。だが、我妻だけは状況が違う。犯行がバレた宇野が逃走しようとしていることを知り、我妻の復讐が成立しなくなることを焦った秦野は、宇野を「逃走資金を渡す」と言って我妻の待つビルの屋上に呼び出し、我妻に“復讐の復讐”をさせたのだ、と真は語った。
真の推理を聞いて、「そう見えるなら、そうかもしれませんね」などと含み笑いで余裕を見せる秦野に、真は稔から渡された映像データを見せた。無人のように見える廊下でうっすら話し声が聞こえる。それは、秦野が「屋上から突き落として。宇野を自殺に見せかけて殺しなさい」と電話で指示する声だった。

■「オマエは、やめとけ」
悪びれた様子もなく何事もなかったような態度で連行される秦野に、背後からナイフを隠し持ったフード姿の男が足早に近づいてきた。そして秦野まであと少し…となった時、男の前に真が立ちはだかり、ナイフの刃を手で握って「オマエも相談か?」と言って彼を止めた。男は賢心だった。大切な母親を犯罪の道に誘導した秦野を許せなかったのだろう。
真は「賢心、オマエはやめとけ」と言い、彼をラーメン屋に連れて行った。ラーメンに手をつけずうつむいたままの賢心の丼に、真は自分のチャーシューを1枚入れてやった。真が自分を気にかけてくれていることが心に染みた賢心は、泣きながらラーメンを食べるのだった。そして賢心は、何も言わずに優しく肩を叩いて帰っていく真の後ろ姿に深く頭を下げ、翌日出頭して、事件について正直に語った。
真は、賢心が母の身代わりで出頭してきた時から、名刺を渡したりして何かと彼を気遣っていた。他人と深く関わることを避けてきた真にしては、珍しい行動だ。どこか稔と重なったのだろうか。賢心がこのつらい状況を乗り越えて、目指していた毒性学の道へ進むことを祈りたい。
大学時代に学んだ犯罪心理学を使って、相談者の“心の根っこ”を掘り起こし、言葉巧みに復讐の道へ誘った秦野…。その理由は何だったのか。自分の思い通りに他人を操って快楽を感じていただけとは思えない。秦野は、連行される際、真に「きっとまた私に会いにくると思うけど」と微笑みながら言い残した。彼女の動機が明らかになる日が来るのだろうか…。
◆文=鳥居美保


