
郵便配達員たちは毎日、町の隅々まで郵便物を配達している。現役の郵便局員が、実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化したのが『郵便屋が集めた奇談』だ。作者の送達ねこ(@jinjanosandou)さんのもとには、読者や他局の同僚たちからも多数の体験談が寄せられている。




今回紹介する『お地蔵さんと都会っ子』は、東北の郵便局員・宮澤さんから届いた少し不思議なエピソードだ。舞台は美しい山々の稜線を望み、優雅に流れる川をバイクで行き来するのどかな田舎のA局。そこへ都会から若手局員のスエ君が転勤してきた。周囲は都会っ子の彼が田舎に馴染めるか、精神的に参ってしまわないか心配していたが、それは杞憂だった。初日こそ元気がなかったスエ君だが、彼の目に田舎の風景は逆に新鮮に映り、「激エモ」「オニやべぇ」「最高かよ」と地元の人たちが見向きもしない“日常”を満喫し始めたのだ。
なかでも一番のお気に入りが、配達エリアに立っているお地蔵さんだった。彼は「マジ神」とリスペクトし、ツーショット写真を撮っては「神友」と呼んでいた。本作は、そんな都会っ子の彼が、地元の人たちからも忘れられた存在のお地蔵さんと出合い、不思議な事件に遭遇する物語である。
■孤独な若手を救った“不思議な存在”
本作の制作背景や裏話について、作者の送達ねこさんに話を聞いた。今回の体験談を提供してくれた宮澤さんも、最初は漫画の感想を送ってくれた読者の1人だったという。
「X(旧Twitter)とpixivに不思議な話を載せているので、読者さんから感想と一緒に『自分も不思議なことがあって…』と届きます。漫画には会社で働く人の苦労や悩みも織り込んでいるので、話しやすく感じてくださるのかもしれません」
後日談として、A局の宮澤さんの心情にも変化があったそうだ。何もない田舎に配属された若手が辞めてしまうのではと気を揉んでいた宮澤さんは、スエ君がお地蔵さんに救われたことには半信半疑だった。しかし、漫画を読んで思うところがあったという。楽しい夏休みのような田舎生活の友達として、お地蔵さんは正しく「救い」になってくれていたことに気づき、今では宮澤さんもお供えをしているのだと送達ねこさんは明かした。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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