白内障手術は健康保険が適用される治療ですが、使用する眼内レンズの種類や医療機関によって費用が大きく異なることがあります。両目の手術となると、その分負担も大きくなるため、「合計いくらかかるのか」「保険と自費の差」「費用を抑える制度の活用方法」など、事前に把握しておくことが大切です。本記事では、両目の白内障手術の料金負担を軽減する方法を解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。
両目の白内障手術の料金負担を軽減する方法

白内障の手術にかかる費用負担を軽減する公的な方法はありますか?
代表的な制度に高額療養費制度があります。これは、1ヶ月間の医療費の自己負担が一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。自己負担限度額は年齢や所得により異なりますが、例えば、70歳以上で年金収入のみの方の場合、自己負担限度額は約1万8,000円〜5万7,600円に抑えられます。この制度を活用することで、両目の白内障手術を1ヶ月以内に受けた場合に、自己負担の総額を大きく軽減できる可能性があります。また、事前申請によって窓口での支払いを限度額までに抑えられる限度額適用認定証を利用することもできます。
参照:『高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費』(全国健康保険協会)
白内障の手術で民間保険会社で契約している生命保険の保険金を請求できますか?
加入している生命保険や医療保険の契約内容によっては、白内障手術に対して手術給付金や入院給付金が支払われる場合があります。例えば、日帰り手術でも給付対象となる保険や、所定の手術番号に該当する白内障手術であれば、保険金を受け取れることがあります。また、手術日数やレンズの種類によっては給付額が変わることもあるため、事前に保険会社に確認するとよいでしょう。診断書や手術証明書の提出が必要になる場合があるので、早めに準備しておきましょう。
白内障の手術は医療費控除の対象ですか?
白内障手術にかかった費用は医療費控除の対象です。1年間にかかった医療費のうち、自己負担分が10万円(または所得の5%)を超えた部分について、確定申告で申請することで所得税の一部が還付される制度です。手術費用や検査、処方薬、通院のための交通費(公共交通機関)なども含めて申請可能です。ただし、医療費控除を受けるためには領収書の保管や医療費控除明細書の提出が必要ですので、手術後の書類はきちんと保管しておきましょう。
編集部まとめ

白内障手術は保険診療であれば数万円から受けられる一方、多焦点レンズを使用した自費診療では数十万円〜200万円程度まで費用がかかることもあります。さらに、術前検査や通院、術後の薬やケアにかかる費用も発生します。ただし、高額療養費制度や医療費控除、民間保険を活用することで、自己負担を大きく抑えることが可能です。
特に、両目の手術を予定している場合は、同じ月内に手術を受けることで高額療養費制度をより効果的に活用できる可能性もあります。ご自身の保険の内容や収入、生活スタイルに応じて、費用面の見通しを立てておくことが大切です。白内障手術は視力を大きく改善する効果が期待できる治療法です。経済面の心配を軽減し、安心して手術に臨むためにも、制度や費用の仕組みを正しく理解しておきましょう。
参考文献
『高額療養費制度を利用される皆さまへ』(厚生労働省)
『白内障の手術』(日本眼科学会)
『多焦点眼内レンズに係る選定療養の運用について』(日本眼科学会)
『多焦点眼内レンズの費用』(JSCRS)
『高額療養費・70歳以上の外来療養にかかる年間の高額療養費・高額介護合算療養費』(全国健康保険協会)
- 「気球がぼやける視力検査」は何を診ている?白内障なども分かるのか医師が解説!
──────────── - 「白内障の手術後に目がぼやける理由」はご存知ですか?手術直後の症状も解説!
──────────── - 「眼底検査(散瞳検査)後」は”要注意”?当日の過ごし方と見つかる病気を医師が解説!
────────────

