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「昆布やわかめ」の食べすぎに注意?“橋本病”の正しい食事の「取り方」と「効果」

「昆布やわかめ」の食べすぎに注意?“橋本病”の正しい食事の「取り方」と「効果」

食事に気をつけているのに体重が増える、むくみがなかなか取れない——こうした変化の背景には、甲状腺ホルモン低下による基礎代謝の低下と、体内への水分貯留が関係しています。同じ生活を続けていても消費エネルギーが減るため、脂肪が蓄積されやすくなります。また、ムコ多糖類と呼ばれる物質が組織に蓄積することで、一般的なむくみとは異なる硬めのむくみが生じることもあります。体重の変化だけで自己判断せず、身体全体の状態を見ていくことが大切です。

久高 将太

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

橋本病(甲状腺機能低下症)は痩せにくい?

橋本病の方が「食事に気をつけているのに体重が減らない」「むしろ以前より太りやすくなった」と感じる背景には、甲状腺ホルモンの低下による代謝機能の変化が深く関わっています。こうした体重の変化は、生活習慣の乱れや努力不足によるものではなく、身体の仕組みそのものが変化していることによって起こるものです。

そのため、「食べる量を減らせば解決する」という単純な問題ではなく、まずは原因を正しく理解することが重要になります。無理なダイエットや過度な食事制限を行う前に、なぜ痩せにくくなっているのかというメカニズムを知ることが、適切な対応への第一歩となります。

また、橋本病による体重増加は脂肪だけでなく水分の影響も大きく、見た目や体感として「むくみが取れない」「身体が重い」と感じることも少なくありません。この点を理解しておくことは、不必要な自己否定を防ぐうえでも大切な視点です。

基礎代謝の低下が体重増加につながる理由

甲状腺ホルモンは、身体が安静にしている状態でも消費されるエネルギー量、いわゆる「基礎代謝」に大きく関与しています。ホルモンが十分に分泌されている状態では、呼吸・体温維持・内臓の働きといった生命活動が活発に行われ、エネルギー消費も一定に保たれます。

しかし、橋本病によって甲状腺ホルモンが不足すると、この基礎代謝が低下し、同じ生活をしていても消費されるエネルギー量が減少します。その結果、摂取したエネルギーが余りやすくなり、脂肪として蓄積されやすい状態になります。

さらに、消化管の動きも全体的にゆっくりになるため、便秘がちになり、腸内にガスや水分が滞留しやすくなります。これにより、お腹の張りや体重増加の感覚が強くなることもあります。

加えて、橋本病による体重増加は純粋な脂肪増加だけでなく、「浮腫(むくみ)」による水分貯留の影響も大きい点が特徴です。そのため、体重の変化だけで判断せず、身体の状態全体を見ていくことが重要です。

むくみが痩せにくさを助長するしくみ

甲状腺ホルモンが不足すると、体内では「ムコ多糖類」と呼ばれる物質が皮膚や組織の間に蓄積しやすくなります。この物質は水分を引き寄せて保持する性質を持っているため、全身にむくみが生じやすくなります。

橋本病に伴うむくみは、一般的な「塩分の摂りすぎ」や「長時間の立ち仕事」によるむくみとは異なり、皮膚がやや硬く感じられるのが特徴です。顔がふっくらする、手足が重だるい、指輪や靴がきつく感じるといった変化として表れることもあります。

また、このむくみは一時的な対処では改善しにくく、脚を高くして休む、マッサージをするといった一般的な方法では十分な効果が得られないことも少なくありません。根本的には甲状腺ホルモンの不足が原因となっているため、ホルモン値の改善が重要なポイントとなります。

このように、「体重が減らない」「身体が重い」と感じる背景には、脂肪と水分の両方の影響が関わっていることを理解しておくことが大切です。

橋本病(甲状腺機能低下症)と痩せにくさへの食事・運動面での対応

橋本病による痩せにくさを改善するためには、まず甲状腺機能そのものを適切に治療することが前提となります。ホルモンバランスが整っていない状態で無理なダイエットを行うと、かえって体調を崩したり、疲労感を強めたりする可能性があります。

そのうえで、日常生活における食事や運動の工夫を取り入れることで、身体への負担を抑えながら少しずつ状態を整えていくことが重要です。極端なカロリー制限や過度な運動は逆効果となる場合もあるため、「無理なく継続できる範囲」で取り組む視点が求められます。

橋本病の方に向いた食事の考え方

橋本病の方が食事で意識したいポイントのひとつが、ヨウ素の摂取量です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料となる重要な栄養素ですが、過剰に摂取すると、かえって甲状腺機能に影響を与える可能性があります。

日本の食生活では、昆布・わかめ・海苔などの海藻類を日常的に摂取する機会が多いため、「健康に良いから」と過剰に摂り続けることには注意が必要です。適量を意識しながら、バランスの取れた食事を心がけることが基本となります。

また、グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)と自己免疫との関連についても研究が進められており、一部では摂取量を見直すことで体調の変化を感じる方もいるとされています。ただし、すべての方に当てはまるわけではないため、過度な制限は避け、個々の体調に合わせて調整していくことが大切です。

基本的には「特定の食品を極端に避ける」のではなく、「偏りを防ぐ」という考え方が重要です。具体的な食事内容については、医師や管理栄養士と相談しながら進めることが望ましいといえます。

橋本病の方に適した運動の取り入れ方

橋本病による倦怠感が強い時期には、無理に運動量を増やすことはおすすめできません。体調に合わせて、軽いストレッチや短時間のウォーキングなどから始めることが基本です。

身体の反応を見ながら徐々に活動量を増やしていくことで、無理なく運動習慣を定着させることができます。特に、日光を浴びながらの軽い運動は、自律神経のバランスを整えるうえでも有効です。

治療によって甲状腺ホルモン値が安定してきた段階では、筋肉量を維持・向上させるための軽い筋力トレーニングを取り入れることも有益です。筋肉量が増えることで基礎代謝の低下を緩やかにし、長期的な体重管理にもつながります。

ただし、無理をすると疲労が強まり、逆に活動量が減ってしまうこともあるため、「頑張りすぎないこと」も重要なポイントです。運動の内容や強度については、担当医と相談しながら調整していくことをおすすめします。

まとめ

橋本病(甲状腺機能低下症)は、初期症状が見えにくく、疲れが取れない・痩せにくいという日常的な悩みと混同されやすい疾患です。しかし、正しく診断され、適切な治療を続けることで、多くの方が症状の改善を実感されています。
「なんとなく不調が続いている」と感じる方は、ぜひ一度内科や内分泌内科への受診をご検討ください。早期の相談が、生活の質の回復への第一歩となります。

参考文献

日本内分泌学会「橋本病(慢性甲状腺炎)」

日本内分泌学会「甲状腺疾患の診療ガイドライン」

日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」

配信元: Medical DOC

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