
地獄坂の下にあるボロボロの民家には「人殺しが住んでいる」と噂されていた。ある日、子どもたちは肝試しを思い立ち、グループの中の“いびられ役”だった少年がひとりでその家へ行かされることとなる。少年は嫌がったが、結局は仲間内の圧に気圧され拒みきれず、地獄坂を歩いて下って行った。少年は無事に、“地獄”から帰還できるのか?

民家の軒先に立ち、おそるおそる声をかける少年。すると中からボザボザに髪を乱したおそろしい形相の老婆が出てきた。なりゆきで家の中へ招き入れられた少年。ゴミ屋敷としか思えない異臭漂う家の中を老婆のあとに続いて歩く…そこで少年が見たおそろしい“モノ”とは?天井から吊されている“それ”を目にした少年は無事に帰れるのだろうか?
本作『地獄坂』を描いた羊遊(ようゆう)さんは、『悪食の食卓』で「第2回くらげバンチ同人誌大賞」(新潮社)の佳作を受賞。「カチCOMI 」(秋田書店)で『太陽への恋文』を連載していた漫画家である。本作について羊遊(@bii_ttt5)さんに話を聞いてみた。

――「地獄坂」という印象的な言葉がタイトルになっていますが、どんな思いや象徴が込められているのでしょうか?
「地獄」という名のとおり冥界行きを象徴しています。坂を下り、地獄へ行き、あの世の食べ物を出されるも、口をつけなかったことで現世に戻って来れた…。そんな思い出を振り返る少し不思議な話です。
――この物語はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか?実体験やモデルになった場所・出来事があれば教えてください。
本作は地元がテーマの漫画で、地獄坂は実際に存在します。住宅地にある急な坂で、私の親世代に地獄坂と呼ばれていたそうです。そこから地獄、根の国、黄泉比良坂…とアイデアを広げて、このような物語になりました。
――「こういうおばあさん、いたなぁ」と読者からも声が届いていましたが、キャラを描くうえで特にこだわったポイントはありますか?
感情の振れ幅の間に、慈悲や祈りが垣間見える点です。あえて相反する要素があることで人物像に厚みを持たせて、読者の記憶に呼びかけるようなキャラにしました。

本作で描かれている老婆は「この世が地獄よ」というセリフを吐く。老婆の目からは温かい涙が流れ、口からは慈悲の言葉が吐き出される。老婆にまつわるおそろしい噂は間違っていたのか…?と思いきや態度が豹変し、狂気むき出しの老婆が襲いかかる!少年時代の思い出を漫画にしたという『地獄坂』。読んだ人の記憶にも呼び起こされるものがあるのではないだろうか?
取材協力:羊遊(@bii_ttt5)
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