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『過敏性腸症候群』で注目される「低FODMAP食」とは何か?腸への影響と効果【医師監修】

『過敏性腸症候群』で注目される「低FODMAP食」とは何か?腸への影響と効果【医師監修】

近年、IBSの食事療法として注目されているのが「低FODMAP食」です。FODMAPとは、小腸で吸収されにくい発酵性の糖質の総称で、大腸でガスや水分を増やし、腹部膨満感や下痢の原因になることがあります。小麦・玉ねぎ・乳製品・りんごなど、日常的に口にする食品にも多く含まれています。すべてを避ける必要はなく、自分がどの食品に反応しやすいかを把握することが第一歩です。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

低FODMAP食の実践方法

低FODMAP食は、単に制限するのではなく「段階的に調整する」ことが特徴です。正しい手順で行うことで、必要以上の制限を避けながら症状の改善を目指すことができます。

低FODMAP食の3つのステップ

低FODMAP食は大きく3つの段階で進められます。
まず第1ステップは「除去期」です。この期間では、FODMAPを多く含む食品を一時的に減らし、2〜6週間程度様子を見ます。この段階で症状が改善するかどうかが重要な判断材料になります。
次に第2ステップの「再導入期」では、除去していた食品を1種類ずつ少量から試していきます。これにより、自分がどの種類のFODMAPに反応しやすいかを特定していきます。
最後の第3ステップが「個別化期」です。ここでは、問題となる食品だけを必要最小限で避けながら、できるだけ多様な食事を維持していくことを目指します。
このプロセスの目的は、「一生制限すること」ではなく、「自分にとっての適量と許容範囲を知ること」にあります。

低FODMAP食を始める際の注意点

低FODMAP食は有効な方法である一方、自己流で行うと過度な制限につながりやすい点に注意が必要です。特に長期間にわたって多くの食品を除去してしまうと、栄養バランスの偏りや食事のストレスにつながる可能性があります。
また、日本の食文化では小麦や玉ねぎ、調味料に含まれる成分など、FODMAPが広く使われているため、完全に避けるのは現実的ではありません。そのため「代替する」「量を調整する」といった柔軟な対応が重要になります。
さらに、IBSのすべての方に低FODMAP食が有効とは限らないため、効果が感じられない場合は別の要因を検討する必要があります。医師や管理栄養士のサポートを受けながら進めることで、より安全かつ効果的に取り組むことができます。

低FODMAP食で食べやすい食品と代替食品の選び方

低FODMAP食は制限が多い印象を持たれがちですが、実際には選び方次第で食事の幅を保つことが可能です。具体的な食品を知ることで、日常生活に取り入れやすくなります。

低FODMAPの食品リスト

低FODMAPに分類される食品には、比較的取り入れやすいものが多くあります。
たんぱく質源としては、鶏肉・豚肉・牛肉・魚・卵に加え、木綿豆腐などが挙げられます。炭水化物では白米や米粉パン、グルテンフリーパスタが中心となります。
野菜では、にんじん・ほうれん草・トマト・ピーマン・なす・じゃがいもなどが比較的安心して取り入れやすい食品です。果物では、バナナ(熟しすぎていないもの)・ぶどう・キウイ・みかんなどが選択肢となります。
乳製品については、ラクトースフリーの牛乳やハードチーズであれば比較的症状が出にくいとされています。こうした食品を組み合わせることで、栄養バランスを保ちながら食事を続けることが可能です。

日本食での低FODMAP実践のヒント

日本食は白米を中心とした構成が多いため、低FODMAP食との相性は比較的良いとされています。ただし、みそ汁や煮物などに使われる玉ねぎや、小麦を含む調味料には注意が必要です。
一方で、だし(かつお・昆布など)は低FODMAPであり、うま味を補う手段として非常に有効です。玉ねぎの代わりにネギの青い部分を使う、にんにくの代わりに香りづけしたオイルを使うなど、調理の工夫によって味を保ちながら調整することができます。
また、外食や加工食品では成分が分かりにくいため、シンプルな調理のメニューを選ぶこともポイントです。完璧を目指すのではなく、「できる範囲で調整する」ことが継続のコツとなります。

まとめ

IBSは、食べ物・FODMAP・ストレスが複雑に絡み合う疾患です。症状を引き起こしやすい食品を把握し、低FODMAP食を取り入れながら、ストレス対策や生活習慣の改善を組み合わせることで、症状を和らげることが期待できます。
一人ひとりに合った対応が必要なため、まずは消化器内科や内科などへ相談することをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「過敏性腸症候群」e-ヘルスネット

日本消化器学会「過敏性腸症候群(IBS)ガイドライン」

慶應義塾大学病院「KOMPAS 過敏性腸症候群」

配信元: Medical DOC

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