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七代目 三遊亭円楽に密着して見えてくる落語の“舞台裏” 古き良き伝統文化が思い出させる“人間の魅力”

七代目 三遊亭円楽に密着して見えてくる落語の“舞台裏” 古き良き伝統文化が思い出させる“人間の魅力”

「落語家密着出囃子が鳴る前に。第一回~七代目 三遊亭円楽~」
「落語家密着出囃子が鳴る前に。第一回~七代目 三遊亭円楽~」 / (C)松竹ブロードキャスティング

近年は落語を題材にしたアニメ「あかね噺」(毎週土曜夜11:30-深夜0:00ほか、テレビ朝日系ほか)が話題を集めるなど、いま改めて落語への感心が高まりつつある。日曜日の定番バラエティー「笑点」(毎週日曜昼5:30-6:00、日本テレビ系)をはじめ、伝統芸能のなかでも特にお茶の間と身近な存在である落語。CS「衛星劇場」で放送の「落語家密着 出囃子が鳴る前に。 第一回~ 七代目 三遊亭円楽~」は、1人の落語家に密着してその日常から落語文化を掘り下げていくドキュメンタリー番組だ。寄席にかける日常や、襲名披露興行の裏側が取り上げられた。番組から見えてきた落語への情熱や、円楽の人柄を紹介する。

■七代目三遊亭円楽、異色の経歴

七代目三遊亭円楽は、三遊亭好楽を父に持つ“真打”だ。真打とは落語界における最高位の階級であり、弟子を取ることができる身分を指す。前座見習い、前座、二ツ目を経てたどり着く地位だ。

五代目円楽一門会や立川流を含め、どの団体でも基本的な階級の仕組みは変わらない。まだ楽屋入りできない前座見習いから前座時代は先輩にお茶を出したり着物を畳んだりと、雑用に振り回される多忙な日々。高座返しなどの仕事も前座が担当するため、寄席には欠かせない存在と言える。

着流しで過ごしていた状態から、羽織を着ることが許可されるのが二ツ目。身だしなみにおいても袴を穿くことが許され、落語家としての自覚が求められる。ここで怠けずに自らを律することが、将来を左右する分岐点だ。

番組内では“父と同じ職業に就くつもりがなかった”と語っていたが、三遊亭円楽に入門してからは24年にわたって一途に芸を磨き上げた円楽。さらに珍しい経歴と言えるのが、父・三遊亭好楽と同じ五代目円楽に師事した“兄弟弟子”という間柄であること。“親子で兄弟弟子”という関係性は、なかなかにレアと言える。

師匠・円楽から10演目を直接教わり、2004年5月に二ツ目、2009年10月に真打へ昇進。三遊亭王楽と名乗って活躍を続け、2025年2月に七代目 三遊亭円楽の名を襲名するに至った。

故・六代目 三遊亭円楽が背負っていた大看板である“円楽”のプレッシャーは非常に大きいと推測される。「落語家密着 出囃子が鳴る前に。 第一回~七代目 三遊亭円楽~」のなかで、円楽は襲名時のことについて振り返る。

■番組を通じて見えてきた落語への情熱と人柄

同番組は円楽の日常に密着したドキュメンタリー。楽屋での準備から公演の裏側まで、普段見ることができない落語家の日常を覗くことができる。番組では襲名披露公演にも密着。

1日で複数の舞台をこなすことも多い落語家だが、なんとなしに思い付きの落語を披露すれば良いというものではない。たとえば円楽は自身が演じた持ちネタを記録するノートを作成し、客観的な管理をおこなっていた。過去の演目や会場を記録することで、同じ地域の客に同じ話をしないよう配慮しているそうだ。

これは先輩落語家である三遊亭兼好の姿を見て、入門直後からこの習慣を取り入れたと語る円楽。ノートに記録された数を数えていくと、1000や2000という数字になるという。もし酒の話がすでに出ていれば、別の演目に切り替える柔軟性が必要だ。客に何が合うかを考え、ニーズに応えることが重視されている。

舞台袖で観客の笑い方を聞き、「初めての客が多い」か「常連が多い」かを分析する作業も欠かさない。そのために大看板を背負った真打という大御所になっても、出番の30分前には楽屋入り。地道な準備を丁寧に進めていく姿からは、落語に対する情熱が伺える。

さらに円楽の高座に対する思いだけでなく、縁と義理を大事にする落語界の日常も覗けるのが同番組の見どころの1つだ。たとえば第二回では、2025年12月におこなわれた「七代目 三遊亭円楽 襲名披露公演」の裏側に密着。随所に先輩落語家へ気を配る敬意にあふれた落語界のしきたりを捉えた。

口上を依頼した師匠方には黒紋付袴の持参を事前に電話で依頼し、事後の礼状作成も徹底。長年勤めてきた諸先輩は手配りなどわかっているのは承知で、それでも礼儀として電話や手紙で礼儀を尽くす。「僕らはやるべきです。それが信頼作るから、その人間の」という円楽の言葉には、全く嘘がないように見える。

当日は父親である三遊亭好楽も口上を務めるために楽屋入りしたのだが、その言葉もまた含蓄が深い。「落語家は、みんな兄弟なんですよ」「落語家は落語家を愛さなきゃダメ」礼を尽くし、愛し愛され、芸を磨く。芸事を究め続ける一流たちの世界は奇天烈でも不可思議でもない。真っ当な人間の道の先に“誰にでも愛される”人気者ができあがる…という、至極当たり前の話だ。

■近代落語文化の現状と伝統芸能の継承

近年は伝統文化をテーマにした作品が、相次いで制作されている。ドラマ、漫画、アニメーション作品などの影響で若年層のファンも増加傾向にあり、落語界にもその影響は少なくない。桂二葉、柳亭小痴楽といった若手もさまざまなメディアで取り上げられ、業界全体に注目度の高まりを感じる。

古典落語で伝統を守りながらも、現代の落語家たちが考えた自作落語も人気を博している。七代目 三遊亭円楽で言えば「パパずれてるゥ!」「祭りのあと」など、現代ならではのネタも豊富。寛容で新陳代謝が良いのもまた、落語文化が多くの人に支持され続ける理由だろう。

時代にあわせて変化していく伝統文化「落語」の裏側を捉えた「落語家密着 出囃子が鳴る前に。 第一回~七代目 三遊亭円楽~」は、より深く落語の世界を理解する一助となるはず。

面白ければ良い、話術が巧みであれば良い“ではない”落語の世界。落語家に礼儀礼節、人情と師弟愛、芸に対する情熱と客も含めた周囲の人に対する深い思いやりの心が備わっているからこそ、観衆を惹きつけてやまないのだ。

「落語家の世界」を覗く「落語家密着 出囃子が鳴る前に。 第一回~七代目 三遊亭円楽~」。第一回は6月6日(土)昼5時ほか、第二回は6月16日(火)夜7時45分ほかより衛星劇場にて放送となる。

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