5月14日から配信がスタートしたNetflixシリーズ「ソウルメイト」。日本からは映画にドラマに話題作への出演が続き過ぎていて、一体いつ休んでいるのかそろそろ心配になる引っぱりだこ実力派俳優・磯村勇斗さんが。韓国からは2PMのメンバーであり映画『グランメゾン・パリ』の出演など日本でも広く知られる花のような美男子、オク・テギョンさんが参加したダブル主演。ですが橋爪駿輝さんによるオリジナル脚本のため、実際に観るまで、どんな作品かはわかりません。
できればそのまま観てください。先入観を持たず、全8話しみじみと、細部まで集中して。そうすることで本作のタイトルがなぜ「ソウルメイト」なのか、そしてソウルメイトという言葉の本当の意味が、観た人みんなで共有できるような気がするんです。大学でアイスホッケー部に所属している琉(磯村さん)と、韓国人ボクサーのヨハン(テギョンさん)の10年の物語は、とんでもない完成度。視聴後にじんわりと広がる余韻を、たくさんの方に味わっていただきたいと感じました。そんな中オトナミューズウェブはご両名がそろった貴重な取材の機会を得ました。聞き手は映画ライターのよしひろまさみちさんです。本作のお話を伺う上で、これ以上の聞き手はいなかったとオトナミューズウェブは考えています。
※【ネタバレ注意】インタビュー中には作品の内容に触れている箇所があります。未視聴の方はご注意ください。
Netflixシリーズ『ソウルメイト』
story アイスホッケー選手として将来を期待された琉(磯村勇斗)は、親友の人生を台無しにしたことをきっかけに、幼馴染みの澄子(橋本愛)が暮らすベルリンへ。たまたま訪れた教会の火事に巻き込まれた彼は、韓国人ボクサーのヨハン(オク・テギョン)に命を救われ……。
監督:橋爪駿輝/出演:磯村勇斗、オク・テギョン、橋本愛、水上恒司、古舘佑太郎、イ・ジェイ、加藤千尋、安田顕、南果歩、三浦友和 ほか/配信:Netflixにて独占配信中
――「ソウルメイト」の脚本を最初に読んだときの率直な感想と、どこに惹かれて出演を決めたか教えてください。
磯村 10年もの時間を同じ役で演じるのは、大河ドラマや朝ドラなどのような長期間放映されるドラマで実現するものだと思っていましたが、Netflixシリーズでできるなんて思ってもみませんでした。僕が演じたことのないタイプのキャラクターである琉、そんな彼とヨハンの10年を歩むことで、自分としてもこれまで味わったことがない体験ができるのではないか、と、脚本を読んだときに感じたんです。それに加え、脚本にはかなりの余白があり、セリフだけではないところで表現できる、伝えることができるとも感じました。キャラクターに流れている時間や感情を余白で落とし込んでいる脚本が僕はすごく好きでして。その作家性に惚れ込みました。
テギョン 脚本に出てくるキャラクター、それに彼らが持っているストーリーにとても多様性がある、と感じたのがファーストインプレッションでした。たとえば、愛と一言で言っても、いろいろありますよね。恋人同士もそうだし、家族愛も、友情もそのひとつ。そのさまざまな愛の形をいろいろな表現をしている、という印象を受けました。また、この作品に出てくるキャラクターは、断片的ではなく、どのように傷を抱き、その傷を癒やしていくのか。また、誰に救われるのかということを細かく表現していました。本来隠れて見えないはずの人間の内面を、決してあからさまではないにしても美しいニュアンスで描いている、と感じ、ヨハンを演じたいと思いました。
――経過する時間の長さは、ほんと大河レベルですが、とはいえNetflixシリーズは話数がそれほどありません。コンパクトながらも10年の経過を見せることで、気を配ったことはありますか?
磯村 時間を飛ばしているところもあり、10年間の全てを演じないといけない、ということでもなかったので、そこは脚本の構成に助けられていると思います。たとえば、ベルリンで琉とヨハンが最初に出会うとき、そしてベルリンで彼らが再会するときをとっても、物語上かなりの時間が経っているのですが、僕らの間ではファーストインプレッションがずっと続いていて変わっていないんです。時間が経っても2人の間に流れているものが変わらない、という気持ちを大事に表現することで、10年を描き出すことにつながるのではないか。監督もそういう思いで演出してくださっていたので、僕たちも「最初と最後」を大事にしていきました。
テギョン あとはメイクも(笑)。
磯村 それはもう頼ったよね(笑)。大学生からの10年だと、ヒゲが濃くなるでしょうし、仕事を始めてからはくたびれた感じも出てくるかと。
テギョン そうそう(笑)。感情自体は磯村さんがおっしゃるとおり、出会ったときからソウルメイト、って思っていましたし、10年の経過でも変わらない気持ちを表現しようと思いましたね。あ、それと僕の場合は日本語のセリフかな。監督からの指示だったんですが、この時期はこういう感じ、と日本語のスピーチレベルを変えてます。ベルリンで琉に会ってからしばらくの期間は、それほど上手ではなく、だんだん日本語が上達していくように。
磯村 それはテギョンさんの日本語が上手過ぎて、もっと下手にやって、という感じでした(笑)。
――あ、やっぱり最初は芝居だったんだ。
テギョン そうなんですよ。もっとしゃべれたんですけど、あえてのお芝居でした(笑)。
磯村 すごいですよね。本当に日本語が上手ですし、すごくポジティブな方で。現場では常に明るく振る舞ってムードを作ってくれていましたし、僕にとっては刺激になることばかりでした。
――おたがいどう感じていたんでしょう?
磯村 テギョンさんのキャラクターがヨハンにそのまま影響しているような気がしましたし、ずっとテギョンさんに支えられていたように感じています。なにせ自分にはないものが全て備わっているので。
――といいますと?
磯村 僕はお芝居に入るときにすぐには役に入れないタイプなのですが、テギョンさんは何も迷いなく演じられるんです。どんな感情的なシーンでもスッと入ってしまう。それに加え切り替えもすごく上手。学ぶところだらけで、補っていただいていた、と思っています。琉とヨハンのように出会うべくして出会ったソウルメイトなんだと僭越ながら思っています。
テギョン 僕こそ磯村さんからは学ぶことばかりでしたよ。磯村さんはとても繊細なお芝居をされますし、普段の性格もとても落ち着いていらっしゃって、僕とはぜんぜん違う。僕は現場は明るくあるべきと思っているので、盛り上げようとしちゃうんですが、それがときに集中力を散漫にさせてしまうこともあるんです。でも、シリアスなシーンなどで磯村さんがそばにいてくれると、僕も集中しないと、って改めましたし、内面的な芝居に立ち向かうきっかけをいただきました。磯村さんの繊細なお芝居、アプローチの仕方は僕にはなかったことだったので、本当にうらやましい、と思いましたね。
――ということは、テギョンさんも磯村さんのことを……。
テギョン はい、支え合うソウルメイトだと思っています。
磯村 嬉しいですね〜。
――お二人とも外国語のスキルについては?
磯村 琉が韓国語を学ぶシーンがあるので、撮影に入る前に少し勉強をしていたのですが……テギョンさんの日本語が上手過ぎて、すっかり甘えてしまいました。
テギョン いやいや(笑)。
――琉とヨハンに共感できるところ、できないところはなんでしたか?
磯村 共感できるところはたくさんあるのですが、唯一共感できないのは逃げるところです。ですが、琉のキャラクターとこの物語において一番大事な部分です。僕は何事にも背中を見せたくない、と立ち向かうタイプですし、役の上でもあまりこういうキャラクターを演じたことがなくて。だからこそ琉が魅力的に感じられたんだと思います。それに逃げるといっても、逃げるためには勇気が必要ですし、そこが琉の強さでもありよさでもあるんだと感じています。
テギョン ヨハンもそうですね。逃げるところは共感できない、というか僕にはない選択。でも、ヨハンは人生がつらすぎるんです。頼れる親もおらず、心の拠り所にしていた人ともいろいろあって、ひどい状況にいます。もし自分があんな状況に置かれたとしたらどうなんだろう、と想像もつかない。そこがヨハンの魅力でもありました。
――ベルリン、ソウル、東京と舞台がありますが、一番の思い出はどこのなんでした?
磯村 うわ。たくさんあるんですけど……撮影の話じゃなくてもいいですか?(笑)
テギョン もしかして打ち上げ?
磯村 そう。一番長い滞在になったベルリンの打ち上げ。クランクアップがベルリンだったのですが、そこで全体の打ち上げをしたんです。
テギョン すごくおもしろかったですね。DJがいるようなラウンジで。
磯村 日本の打ち上げというと飲み会のようなイメージだと思うのですが、それとはぜんぜん違って。みんなまじめにドレスアップして集まって。
テギョン 楽しく酔っ払いましたね(笑)。
磯村 そうそう(笑)。僕はもともと2PMが好きだったのですが、だれかがそのパーティで2PMの曲をかけてくれたんです。だったら、2人で歌おう! と盛り上がったのですが……。
テギョン えっと……記憶がない(笑)。
――日本と韓国は慣れているから大丈夫だったと思いますが、ベルリンの食生活はあいました?
磯村 肉中心、芋中心でしたが美味しくて。美味しいけれど、塩コショウの味付けしかなかったのは、ちょっと寂しかったかな(笑)。あ、それとザワークラウト。
テギョン そうそう。ザワークラウト。現場のケータリングでもおなじみでしたね。
――お二人ともアスリートの役柄だったから、体作りは?
磯村 琉はアイスホッケー選手なので、むしろ増量しなければならずそれほど大変じゃなかったんです。テギョンさんはボクサー役なので大変だったでしょ。
テギョン そう。ずっと減量。食事制限であまり食べられなくて……。でもだいじょうぶです。仕事ですから!
――プロ! 話は変わりますけど、磯村さんにとって琉は『きのう何食べた?』のわたる役に次ぐクィアなキャラクターでしたね。
磯村 わたるくんは超オープンでしたが、琉は内面に秘めて蓋しちゃうタイプです。どこかに共通しているところはあるにしても、全く違う世界観や悩みを持っているので、すごく勉強になりました。愛しあう2人ではあるものの、恋でも家族でもない。この琉とヨハンの関係性ってなんだろう、と考える人もいると思うのですが、2人は親友でも恋人でもなく、本当にソウルメイトだったんです。
テギョン ヨハンがソウルで通っているバーのマスターには、琉のことを大事な人だと話している。離れたところにいたり、普段ずっと一緒にいるわけではないけど、通じ合っている大事な人がソウルメイトなんだ、と思います。
――お二人にとってのソウルメイトは?
磯村 もちろんテギョンさんですよ!
テギョン 僕も磯村さんです!
――見る人も自分のソウルメイトって誰だろうって振り返りますよね。
磯村 ですよね。琉とヨハンのように出会うべくして出会う人って、本当に運命なんだと思いますし、ソウルメイトに巡り合い、おたがいにそれに気づくことも含めて運命なんです。
テギョン そうですよね。初めてあったときから呼応し合う出会い、はもちろんですが、気づくこと、気付けることも運命なんじゃないでしょうか。
Netflixシリーズ『ソウルメイト』
Netflixにて独占配信中
Interview & Text_MASAMICHI YOSHIHIRO
Photograph_KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Styling_TOM KASAI(磯村さん)、LEE HANWOOG(テギョンさん)
Hair & Make-up_ TOMOKATSU SATO(磯村さん)
Hair_Hong Seung(テギョンさん) Make-up_ Kang Juri(テギョンさん)
磯村さん:ジャケット¥299,000、シャツ¥113,000、パンツ¥94,000(全てルメール/エドストローム オフィス)、タンクトップはスタイリスト私物 テギョンさん:スタイリスト私物
お問い合わせ先
エドストローム オフィス
☎︎03-6427-5901

