チーズを食べた後に頭痛を感じたことはないでしょうか。チーズに含まれるチラミンやヒスタミンなどの成分が、血管の収縮・拡張に影響を与え、頭痛のきっかけとなる場合があることが知られています。特に片頭痛を抱える方にとって、熟成チーズはトリガーになりやすい食品のひとつとされています。チーズと頭痛の関係を理解することで、日常の食事管理に活かせる知識が得られます。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
チーズが頭痛の原因になる?そのメカニズムと関連成分
チーズを食べた後に頭痛が起きるという経験をされた方もいるかもしれません。実際、チーズに含まれる特定の成分が頭痛のトリガーとなることが医学的に知られています。このセクションでは、チーズと頭痛の関係と、そのメカニズムについて詳しく説明します。
チラミンが引き起こす頭痛のメカニズム
チーズと頭痛の関係でもっとも注目される成分がチラミンです。チラミンは血管を収縮させたり拡張させたりする物質(血管作動性アミン)の一種であり、血管の収縮・拡張に影響を与える作用があります。チラミンが体内に摂取されると、最初は末梢血管を収縮させ、その後その反動として血管が拡張することがあります。この血管の急激な変動が、拍動性の頭痛(ズキズキとした痛み)を引き起こすことがあると考えられています。
片頭痛(へんずつう)を持つ方は特にチラミンに敏感であるとされており、熟成チーズの摂取が片頭痛の発作を誘発するトリガーになる場合があることが知られています。片頭痛とは、頭の片側(まれに両側)にズキズキとした強い痛みが生じ、吐き気や光・音への過敏性を伴うことが多い頭痛のタイプです。
片頭痛とチーズ:トリガーとしての位置づけ
片頭痛の誘因(トリガー)はさまざまであり、ストレス・睡眠不足・ホルモン変動・特定の食品などが知られています。食品のなかでは、赤ワイン・チョコレート・カフェインとならんで、熟成チーズが代表的なトリガー食品として挙げられることがあります。
ただし、片頭痛のトリガーは非常に個人差が大きく、チーズを食べても頭痛が起きない方の方が多数です。また、単一のトリガーだけで発作が起きるというより、複数のトリガーが重なったときに発症しやすくなることも知られています。たとえば、睡眠不足の日に熟成チーズと赤ワインを合わせて摂取した場合、これらのトリガーが重なることで片頭痛が誘発されやすくなることがあります。
チラミン以外のチーズ関連成分と頭痛
チーズと頭痛の関連において、チラミンだけでなく注目すべき成分がほかにもあります。そのひとつがフェニルエチルアミン(phenylethylamine)です。フェニルエチルアミンはチョコレートにも含まれる神経活性物質であり、血管に影響を与える可能性があるとされています。
また、チーズの種類によっては、製造過程で発生するヒスタミンが含まれることもあります。ヒスタミン不耐症(histamine intolerance)の傾向がある方は、ヒスタミンを多く含む食品を摂取することで頭痛・発疹・消化器症状などが生じやすいとされています。自分がヒスタミン不耐症の可能性があるかどうかを確認したい場合は、内科やアレルギー疾患内科の医師に相談することが一助となるでしょう。
まとめ
チーズはさまざまな栄養素を含む食品ですが、食べ合わせや食べ過ぎによって身体にさまざまなサインが現れることがあります。特にMAO阻害薬を服用中の方は熟成チーズの摂取に十分な注意が必要であり、片頭痛を持つ方はチラミン含有量が少ないチーズを選ぶことが助けになる場合があります。日常の食事でチーズを楽しむためには、種類・量・組み合わせに意識を向けることが大切です。気になる症状が続く場合は、ひとりで判断せずに医療機関を受診し、専門の医師に相談することをおすすめします。日々の食生活を少し見直すだけで、身体の変化に気づきやすくなるでしょう。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
国立循環器病研究センター「減塩食について」
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