
容姿の悩みを解決するために美容整形を選び、新しい人生を歩み始めた主人公。しかしある日、彼女の前に「整形する前の自分」と全く同じ顔をした女性が現れる――。多くの人が抱えるルッキズム(容姿至上主義)への葛藤や自己肯定感をテーマに描き、SNS上で12万件を超える「いいね」を獲得したのが、漫画家・白梅僚人(@eiichi_manga)さんの創作漫画『同じ顔の女』だ。
モーニング月例賞で「期待賞」を受賞した本作は、迷いやコンプレックスを抱える読者の背中を優しく押してくれる名作として、ゴールデンウィークの読書にもおすすめしたい一作だ。今回は、繊細な心理描写で大きな反響を呼んだ本作の誕生秘話や、キャラクターに込めた想いを作者へのインタビューを交えて紹介する。
■過去の自分と同じ容姿なのに人生を謳歌する女性



主人公の朋美は、かつて自身の容姿が原因で学生時代にいじめられた経験があり、自分の見た目が大嫌いだった。しかし、整形手術を受けたことで周囲の評価は一変し、自己肯定感も上がって良いことづくめの毎日を送っていた。そんなある日、大学のキャンパスで、整形前の自分の顔にそっくりな女の子「なっちゃん」を見かける。
いじめのトラウマから、思わずなっちゃんの動向を目で追ってしまう朋美。だが、なっちゃんは周囲から容姿を揶揄されても全く動じず、自分のことが好きで、自分らしく人生を謳歌していた。「私はどうして彼女のように自分を大切にできなかったの?」と、過去の自分を愛せなかった事実に直面し、朋美は後悔の涙を流す。
本作の着想について、白梅さんは「もともとは『整形した女の子が主人公』のプロットを書いていました。そこから担当編集さんに『整形前の自分と同じ顔の人間が現れたらおもしろいのでは?』というアドバイスをいただいたことで、物語の主軸が決まりました」と語る。
■「いろんな幸せの形があっていい」という読者の声
作中では、容姿に苦しむ女性のモノローグが非常に丁寧に描かれている。白梅さんは「自分が経験したことのある苦しみと、朋美が持っている苦しみの共通点を探しながら執筆しました。朋美という人間は本当にこう考えるのか、この台詞を言うのかということは、描いている最中ずっと考えていて、違和感があれば何度でも描き直しました」と、キャラクターの実在感にこだわった。
一方、真逆のスタンスを持つなっちゃんについては、「常に『カッコよく』見えるように気をつけました。好きなものを貫いている人にとても憧れるので、そういう人の魅力を表現したいと思って描いています。なっちゃんは世間一般の美しいという価値観から外れているかもしれませんが、個人的には常に『ええやん……』と思って描いていました」と笑顔を見せる。
作品の公開後、SNSでは「いろんな幸せの形があっていい」という感動のコメントが寄せられた。白梅さんは「このコメントを最初にいただいたとき、『作品を一言で表すとこうなるのか!』と感動しました。『主人公と似た苦しみを持つ人が、少しでも楽になればいいな』と願いながら描いた作品だったので、『ホッとした』『前向きになった』などのコメントをしてくださった方がいたことは、涙が出るくらいうれしかったです」と振り返る。
整形をして変わることができた生き方も、自分の容姿を受け入れて進む生き方をも肯定してくれる本作。現在はコミックDAYSにて、ラブコメ読切漫画『二階堂先輩の秘密』も公開中だ。容姿や生き方に迷いを持つ人は、白梅さんの描く優しいメッセージに触れてみてはいかがだろうか。
取材協力:白梅僚人(@eiichi_manga)
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