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中村蒼が語る役柄への思い「チャラそうに見えて実は孤独な面も」台本をめくる手が止まらない作品の魅力も<ミッドナイトタクシー>

中村蒼が語る役柄への思い「チャラそうに見えて実は孤独な面も」台本をめくる手が止まらない作品の魅力も<ミッドナイトタクシー>

夜ドラ「ミッドナイトタクシー」に出演中の中村蒼にインタビューを実施
夜ドラ「ミッドナイトタクシー」に出演中の中村蒼にインタビューを実施 / 撮影=岡田健

古川琴音主演、兵藤るりのオリジナル脚本で深夜のタクシーを舞台にした夜ドラ「ミッドナイトタクシー」(毎週月~木、夜10:45-11:00、NHK総合)が現在放送中。主人公・蘭象子は、東京都内のタクシー会社に勤めながら深夜勤務専門でドライバーをしている29歳の女性。どこか不思議な空気をまとう彼女は、乗客のさまざまな事情に踏み込み過ぎず、ただ、バックミラー越しに心を寄せる。そんな彼女も30歳を前に、ふとこれまで意識してこなかった思いにとらわれるようになり…という物語が描かれる。

WEBザテレビジョンでは、都内の高層マンションに住むハイエンド層の独身サラリーマンで、配車の際はいつも象子を指名する柴崎八雲を演じる中村蒼にインタビューを実施。いつもとっかえひっかえ違う女性を連れ立ってタクシーに乗り込んでくるという役柄への思い、さらに作品の魅力などを語ってもらった。

■ページをめくる手が止まらない脚本 だからこそのプレッシャー

――完成したドラマ第1週をご覧になっての感想はいかがですか?

本当にすてきな物語で、台本を読んだ際にどんどんページをめくる手が止まらないような脚本でした。ただ、読めば読むほど、「自分が演じることによって、この面白さを半減させてしまわないだろうか」というプレッシャーも感じながら読み進めました。

作中には設定上とんでもないキャラクターたちも登場するのですが(笑)、主人公の象子さん(古川琴音)と繰り広げられるやり取りがどこか心に響くんです。自分の人生を少し振り返りたくなるような温かいやり取りがあって、とてもすてきな作品になっていると感じました。

――台本を読まれて印象的だったことを教えてください。

僕が演じる柴崎は、第1回から登場し、その後もタクシーの車内で調子良くいろいろな話をしています。ですが、彼も彼なりに誰にも言えないような悩みや秘密を持っていて。それが象子との会話を重ねるごとにだんだんと明かされ、本音を喋るようになっていく。そのプロセスが、僕の中に印象深く残っています。

――今回はタクシーを舞台にしたお話ですが、中村さんご自身は、タクシーにまつわるエピソードはありますか?

僕は普段、タクシーにはほぼ乗らないです。というのも、ついついせこい人間性が出てしまって、メーターばかり見てしまうんですよ(笑)。どんどん上がっていくメーターを見るのが怖くて、「なんて高級な乗り物なのだろう」と、東京に出てきた時に思いました。なので、滅多に乗らないというのが正直なところですし、乗る時は今でも少しドキドキします。

タクシーって、「どんな運転手さんだろう」という緊張感もありますよね。初めましての人と空間を数十分共にするというシチュエーションが、僕にとってはいつまで経ってもあまり慣れないという印象があります。

――現場で印象に残っていることはありますか?

現場では、古川琴音さんと伊藤万理華さんが和久井映見さんから編み物を習っていて、お二人がよく編み物をされていました。古川さんと伊藤さんの雰囲気がすごくふわふわとしていて、僕がこれまであまり出会ったことのないような独特ですてきな空気感をお持ちの方。そんなお二人が向かい合って編み物をしている姿は、「なんて穏やかな時間なんだろう」と思いながら見させてもらっていました。とても優しい空気が流れている現場でした。
中村蒼
中村蒼 / 撮影=岡田健


■柴崎八雲の孤独と寂しさに共感

――柴崎八雲を演じる上で、共感したところや好きなところを教えてください。

彼は一見、女性が好きで遊んでいるという側面があり、もちろんそれも彼の本当の姿だと思います。ただ、女性とコミュニケーションを取りつつも、意外と人の些細な部分をよく見ています。それによって「この人は自分と合うな、合わないな」と考えているところなどは、どうしても人の細かいところを見ちゃうよね、と共感できます。

またこれから物語が進んでいくと分かるのですが、彼もどこか孤独で寂しい人物で。だからこそあえて喋ることで寂しさを紛らわせたり、いろいろな人に会うことで孤独を埋めようとしたりしているのかなと思います。そういった、チャラそうに見えて実は繊細でさまざまな面を抱えているところが、人間として魅力的だと感じます。

――人には誰しもいろいろな側面があると思いますが、そうしたコントラストを演技の中でどのように表現しようと考えられましたか?

せりふのやり取りがとてもすてきなので、その言葉に身を委ねて自然にお芝居をしていれば、彼のいろんな面が自ずと見えてくる感覚でした。今作はたくさんのゲストの方が出演されますが、柴崎は冒頭から定期的に登場するので、彼の意外な一面や、だんだんと変化していくさまを見せられると思っています。彼のさまざまな表情を引き出せるように、と意識しながら演じていました。

――第1回では、柴崎がタクシーの中でトランプを手に女性へ甘い言葉をささやく、という印象的な初登場シーンがありましたが、台本を読んだ時はどう感じましたか?

自分が演じる側ではあるのですが、くすっと笑ってしまうようなやり取りで、すごく面白いなと感じました。同時に、「この掛け合いをうまく表現できるかな」という緊張感のような気持ちもありました。

――現場で演出の方から、柴崎の役作りやテンションについて何かお話はありましたか?

作品に入る前に少しだけ本読みをさせていただき、その時にどのくらいのテンションでいくかをお話ししました。その中で、「このせりふだけはチャラチャラしたテンションではなく、彼の根底にある寂しさのようなものを出せたらいいよね」といった具体的なお話もさせていただきました。
中村蒼
中村蒼 / 撮影=岡田健

中村蒼
中村蒼 / 撮影=岡田健


■古川琴音が演じるからこその説得力「さらっと言うからこそすてき」

――主演の古川琴音さんの印象はいかがですか?

古川さん演じる象子はミステリアスで、気が付いたら乗客側が彼女に興味を持って惹かれてしまう、もっと知りたくなるような女性です。これはやはり、古川さんが演じているからこその説得力だなと感じました。

象子さんは、どんなにびっくりするようなお客さんが乗ってきても動揺せず、淡々と対応します。その中で、乗客がハッと気付かされるような言葉をくれます。どうしても良いせりふや強い言葉って、演じる側も「良いことを言おう」と意識してしまいがちですが、古川さんはそうではなく、あえてさらっとおっしゃる。その表現がとてもすてきだなと思いました。

――中村さんはタクシーにはあまり乗らないと伺いましたが、今回の作品を通してタクシーへのイメージや思いに変化はありましたか?

象子さんみたいな運転手さんだったら、ぜひ乗りたいなと思います。程よい距離感で、でもこちらが自然と話したくなってしまうような人ならうれしいですよね。

個人的には、昔から初めて乗る車は酔いやすいタイプなので、乗り込んだ瞬間に「この車は大丈夫だな、苦手かも」と子供の頃から察知してしまうんです。そのためバスなども苦手で、必要以上に公共交通機関に乗らないようにしていた面もありました。でも、タクシーのような一瞬の出会いが、実は思わぬすてきな出会いになることもあるかもしれない、と作品を通じて感じました。

――象子さんのような人が本当にいたら最高ですよね。

本当にそうですね。僕が上京して一人暮らしを始めたばかりの頃、まだ自宅の住所を覚えていない時に、たまたまタクシーに乗り運転手さんに「この辺りかも」と大雑把に伝えてしまったことがありました。でも運転手さんは車を降りて家を探してくれて、本当に助けてもらったという記憶があります。当時はまだ10代で、道の説明もできず、今思えば住所を覚えておけばいいだけの話だったのですが(笑)、そんな温かい思い出もあります。

■ひとりの時間を大切に 車の中と散歩がホッとする場所

――柴崎にとって、タクシー内での象子との会話は飾らずにいられるホッとする場所の一つなのかなと思いますが、中村さんが普段の生活の中で、落ち着く瞬間や場所はありますか?

自分の家が一番リラックスできる場所なのはもちろんなのですが、それ以外だと自分の車の中はすごく落ち着きます。あとは散歩です。1駅、2駅くらいなら余裕で歩いてしまうのですが、歩きながら自分だけの時間を過ごしている時が好きで落ち着きます。

――ひとりの時間を大事にされるタイプですか?

そうですね、ひとりの時間は大事にしています。

■「今の自分がいて、周りに大切な人がいる」それだけで幸せだと思える作品

――中村さんが感じる、主人公・象子の魅力はどこでしょうか?

やはりミステリアスなところです。八雲は象子さんのことを“ミス・ミステリアス”、略して“ミスミス”という愛称で呼んでいるのですが(笑)。象子さんが自分のことを多く語らない分、より彼女の魅力が増していくような気がしますし、こちらがどんどん知りたくなるようなキャラクターです。そして、何より優しさが魅力。八雲が悩んだり迷ったりした時に、奇をてらった答えではなく、等身大の素朴な言葉でそっと答えてくれる。そこが本当に魅力的だなと思います。

――改めて、この作品を通じて視聴者にどんなメッセージが届いたらいいなと思いますか?

きっと誰しもそれぞれ悩みがあって、人に言えるものもあれば、「これだけは絶対に言えない」という秘密もあると思います。今回の作品は、こうあるべきだというはっきりとした正解を押し付けるような描き方をしていません。「それはそれでいいんじゃない?」「そのままでいいんじゃない?」と言ってくれているような、変わることもいいけれど、変わらないままでいることも大切だよねと教えてくれる作品です。

世の中、どうしても目標を持って突き進むとか、自分の嫌なところとも向き合って変わらなければいけないという風潮があります。それが正しい姿だと思われがちですが、「今の自分がいて、周りに大切な人がいる。それだけでも十分に幸せだな」と思えるような作品になっています。ぜひこの先も楽しみにご覧いただけたらうれしいです。
中村蒼
中村蒼 / 撮影=岡田健

中村蒼
中村蒼 / 撮影=岡田健


■撮影=岡田健

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