
錦鯉(長谷川雅紀・渡辺隆)が4回目となる独演会ツアーを開催中。「その男、バカにつき」というタイトル通り、老若男女誰でも笑ってしまう新ネタ漫才が盛りだくさん。
今回は、東京初日公演を終えた2人に、手応えや見どころ、2021年のM-1優勝から4年半が経っての変化などを聞いてみた。
■「申し訳ないよね、お金を取るのは(笑)」
――4年目となった独演会ですが、初日を終えて手応えはいかがですか?
雅紀 楽しかったですね。子どものころ、ふざけて変なことを言って笑ったり、意味ないことで笑っていたあの感覚に近くて。最高の2時間がずっと続いているという感じでした。笑うことの原点みたいな感覚に近かったです。僕は隆とやっていて楽しんだけど、見ている人にはこれ伝わっているのかな?という気持ちはあって。
隆 だから申し訳ないよね、お金を取るのは(笑)。でも皆さんいい感じで笑ってくださって本当にいいスタートを切れたと思います。
――ギリギリまで不安だったとラジオで語っていましたが…。
隆 ウケはしましたが不安はまだありますよ。僕らを好きな人が見に来てくれている空間が独演会なので。ただ許されているだけなんじゃないかなという思いも多々あります。いい感じにふざけられたと思うのですが。
雅紀 皆さんがどういう感想をお持ちなのか聞いてみたいですね。
隆 本当に。ライブだけ見たらめちゃくちゃウケて成功なんだと思うけど、内容的にこれでいいのかなって。改めて活字にしてみたらこれの何が面白いんだって冷静になってしまうんじゃないかという気持ちはあります。
雅紀 確かに。友達に「どのネタが面白かった?」と聞かれても上手く説明できないような気がしますね。
隆 タイトルを付けられないネタも何本もあったんので。あと、このタイトルなのになんでこういう話になるんだよみたいなのもあって。まぁそれが独演会の面白さといえばそうなんですが。秘密倶楽部でやっていることなんで(笑)。
雅紀 テレビではできないよね。ただ面白いだけなんで。

――昨年は雅紀さんが会場を練り歩く“まさのり音頭”も好評でしたが。
隆 今年も雅紀さんはめちゃくちゃ動いています。まぁ、こちらとしては意図していなかったんですが。
雅紀 本当に計画的じゃないよね。その場のノリで。やっちゃえって。
隆 初日やってみてダメだったら切ればいいと思ってやっているのですが、それがウケたのはよかったです。まぁツアーなので少しずつブラッシュアップをしていきたいとは思いますが、いい方に転がるかどうかはわからないという(笑)。
雅紀 アップなのか?
隆 ブラッシュダウンもあるんじゃないかって思っていますね。ふざけすぎているので。
雅紀 本当にふざけているという言葉がお似合いの独演会です。誰もが持っている子どものときの記憶というか、原点というか。
隆 だからすごいモノを見たい人には全くオススメできないです。
雅紀 M-1のイメージで来てもらうと驚くと思います。

■組んだ当時に描いていた理想は「決してこうでは無かった(笑)」
――組んだときからやりたかったことに近づいている感じなのですか?
隆 決してこうではなかった気はします(笑)。予想もしていなかった結果というか。
雅紀 これをやりたくて組んだわけではないですね。
隆 でも結果、こっちの方が面白かった。当時の僕らはこの面白さを知らなかっただけな気がします。本当にやっていて楽しいので。
――コンビ結成初期の写真を使用したTシャツやぷっくりシールといったものから、定番になりつつある顔面を使ったお手玉キーホルダーなどグッズも充実していますね。
隆 グッズ担当が我々のことをかなり舐めていて、全くこっちの意思じゃないモノを勝手に作っているんですよ。
雅紀 「こういうノリが流行っています」とか「今はこれがいいんですよ」とか言われて、そうなんだ…って思ってOKを出しているというか。
隆 本当にじじいをダマす手口ですよ。で、去年も勝手に作ったくせに売れなかったと文句を言われたんですよ。今年はTシャツがそれなりに売れているようで安心しているんですが。
雅紀 何であれが人気なのかが分からない。あとお手玉キーホルダー。カギとかよりキーホルダーの方がデカいですからね。あれどうやって使うんだろう? 使い勝手悪いというか、ポケットに入らない。
隆 生首ですよ。夜中見たらびっくりする。そんなグッズを売っています。

■M-1優勝から4年半 2人に訪れた大きな変化
――M-1優勝から4年半ですが、大きな変化を教えてください。
雅紀 僕は結構変化がある4年半で。奥歯がなかったのができて固いモノが食べられるようになったし、家族とのSNSのグループに僕だけ入っていなかったけど入れることになったとか…。あとは結婚もありますし。優勝していなかったら多分、それら全部できていなかったと思うと感慨深いものがあります。予想もしていなかったですから人生変わりましたよ。
隆 僕自身はそこまで変わっていないけど、世に出れば周りはいいように取ってくれるんだということを知ったことが大きいですね。きっと世に出ていなければ、昼間にウロウロしているヤベえおっさんですから。そういう意味ではめちゃくちゃ良かったです。
雅紀 本当に運が良かったよ。
――この4年間で改めて気づいたお互いのよさを教えてください。
隆 雅紀さんのキャラクターの分かりやすさはやはりありがたいですね。出た瞬間に雅紀さんがどういう人なのかというのがすぐに分かってもらえるので、こっちとしてはすごくラク。分かりやすいっていうのは一番いいことなのかもしれないです。
雅紀 隆のよさと言ったらまた違うかもしれないけど、やっと隆の能力や隆の人柄が世間の人に分かってもらえたのはうれしい。テレビに出る前から先輩から認められていて、でもテレビに出た当初は僕が注目され…。そこから時間が経ってやっとみんなが知るところになったかなと。例えば、「たき火で語る。」(さまざまな芸能人をマッチングして本音で熱く語り合うYouTubeのトーク番組)なんて3回も呼ばれているでしょ。それもどの話も面白くって。
隆 野田(クリスタル)と(ハリウッドザコ)シショウと(ドンデコルテ渡辺)銀次。
雅紀 僕なんて1回も呼ばれていないですから。あと「IPPONグランプリ」(フジテレビ系)とか「NOBROCK TV」(佐久間宣行のYouTube)とかにも呼ばれない。本当に僕が持っていないモノを持っているんだと思います。だからコンビとしてバランスがいいんだと思うのですが。真逆ですね。
隆 雅紀さんが「たき火で語る。」に出るなら誰がいいんだろう? う~ん。1人でやるのがいいのかも。たき火の前で独り言。これが一番向いているかも。
雅紀 1人。寂しいけどいいか。子どものころの話とかよく覚えているので振り返って。最近の話はなかなか思い出せないから。
隆 初の1人たき火。いいと思う。
■年齢とともに漫才がどんどん変わっていく
――漫才に対して年とともに変化していることはありますか?
雅紀 今回の独演会もそうだけど、ちゃんとしていなくても面白ければいいというのが分かったのが発見かな。
隆 ちゃんとしなくていいわけはないんですが。
雅紀 なんかどんどん子どもに戻っているような気がしている。今回もエンディングでなぜか側転をしたくなっちゃって…。
隆 あれは怖かった。なんで急にって。本当にボケちゃったのかな?と思った。
雅紀 ハハハ(笑)。
隆 僕は笑いが起こるまで余裕を持てるようになったというのはあります。以前は全力でやらなきゃと思っていたんですが、最近はちょっと力を抜いてやった方がウケる。何事も同じなんだなと気づきました。ただ、これが進化なのか退化なのかは分からないですが。ただ結果ウケればいいので、いい漫才をしていきたいです。
――お互いにこれだけは注意してほしいことはありますか?
雅紀 やっぱり体が心配です。人のことは言えないけど、ちょっとでも長くやっていけるようにとは思っています。
隆 僕は記憶。最近、一度会ったことがある人に対しても“はじめまして”みたいな顔をしているので、いずれ僕のことも忘れるんじゃないかとヒヤヒヤで。
雅紀 本当にヤバい。この間は行ったことがある耳鼻科に行ったけど、全く思い出せなかったし…。脳トレした方がいいかな。
隆 まぁネタが覚えられるうちはいいんですけど。気をつけてもらいたいです。
――独演会は今後もライフワークとしてやっていくのですか?
隆 そうですね。1年のこの時期くらいは芸人っぽいことをしておこうと思っています。生みの苦しみはありますが、自分のポテンシャルを信じてやるだけで。体は動く限りやっていきたいです。まぁ急に動かなくなるかもしれませんが。
雅紀 毎年、もしかしたらこれが最後かもという思いでやらなきゃダメだなと思っています。
――ここから地方を回っていきますが、期待していることを教えてください。
隆 地方によってどこがウケるのか、今から楽しみですし、勉強していきたいと思っています。
雅紀 去年のイメージだとお子さんが多いところとそうでもないところがあるんですよ。今年はどんな感じなのか、楽しみです。
隆 東京はお子さんにかなり助けられたので。お子さまにお金を払いたいぐらいです。
雅紀 お子さんがいたら本当にテンションが一つ上がるんですよ。不思議なんですがうれしい気持ちがすごく出てきて。
隆 精神年齢が同級生だからじゃない?
雅紀 その可能性はあるかも。
――自分たちの中で、子どもに人気がある理由は分かっているのですか?
隆 雅紀さんの存在だと思いますが、まさか独演会に見に来てくれるほどとは思いもしていなかったです。今回からは親子ペア券も出しているんですが。
雅紀 「こんにちは~!」なんですよね。それこそM-1前はライブハウスで同年代の大人に向かって「こんにちは~!」をしていたんですが全然ウケなくて。でもテレビでに出るようになって一気にウケるようになりました。街を歩いていても「『こんにちは~!』だ」と呼ばれることが多くて。
隆 それ単なるあいさつの人。
雅紀 こんなことになるとは予想できなかったです。本当に不思議で。
――今回はそんな「こんにちは~!」も生で見られるチャンスですね。
隆 ぜひ親子で遊びに来て欲しいです。うちは漫才なので小さいお子さんが泣いても大丈夫なので。
雅紀 楽しんでください!


