犬が「お手」をしないときの心理

1.足を触られるのが苦手
足先を触られるのを嫌がる犬は多いです。肉球の皮膚は厚みがあり丈夫ですが、感覚神経が集中しているためとても敏感なので、あまり足先を触られたり握られたりしたくないため、「お手」をしない犬もいます。
2.号令をまだ理解できていない
「お手」の練習を始めて時間も経っているため、飼い主さんには「覚えただろう」という気持ちがあるかもしれません。しかし実際には、まだしっかりと「お手」という号令の意味を理解できていないのかもしれません。
特にご家族が多い場合、人によってイントネーションが違う、出させようとする足が違う(右か左か)などの理由で、混乱させてしまう要素があるのかもしれません。まずはご家族内で、指示語の統一やルールの明確化をすることが大切です。
3.モチベーションが低い
犬にもさまざまな感情があります。機嫌の良い時もあれば、沈んでいるとき、何かに気を取られているときなどさまざまです。いつもはできるのに時々やらないことがあるという場合は、もしかするとモチベーションが低くてやる気が起きていないのかもしれません。
4.体調がすぐれない
体調がすぐれない、体のどこかに痛いところがあるなどの理由で、「お手」をしない、もしくはできないのかもしれません。
病気や怪我が隠れている場合は、他にも食欲がない、水を飲まないまたはたくさん飲む、元気がない、特定の足をかばって歩くなどの症状が出ていることが多いです。愛犬の様子をよく観察し、気になる症状が見られたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
愛犬が「お手」を拒否する理由と教えることの意味

愛犬が「お手」を拒否する理由を4つご紹介してきましたが、心理的または身体的な理由を除くと、トレーニングを終えて号令を理解したにもかかわらず「お手」を拒む主な理由は、「足を触られたくない」からというものに集約できそうです。
「お座り」「伏せ」「待て」「来い」などは、基本のしつけとして必ず教えるべき号令です。これらの号令に従えれば、公共の場でもマナーを守った行動をさせられますし、興奮して予想外の行動から事故に遭ったり他人に怪我をさせるようなことも防げます。
しかし「お手」ができなくても、マナーを乱すこともなければ興奮を止められないということもありません。それでも「お手」を教えることで得られるメリットには、下記のようなことがあります。
飼い主さんとのスキンシップを楽しむきっかけになる 「お手」をベースに「ハイタッチ」や「バイバイ」などステップアップさせられる 楽しくトリックのトレーニングをすることでより深く意思疎通が図れるようになる 前足を上げたり体に触られたりすることに対する抵抗を弱められるつまり、愛犬に「お手」を教えることで、愛犬との間により深い信頼と親愛の感情を生み出せるきっかけにできます。
そして何より、愛犬が体を触らせてくれるようになることで、爪切りや歯磨きなどのお手入れや、健康チェック、動物病院での保定補助、ご自宅での投薬など、必要なケアもお互いに最低限のストレスで行えるようになるでしょう。

