本業は外交官?多才な画家ルーベンスの人生と作品の見どころ紹介!

『The Raising of the Cross』, Public domain, via Wikimedia Commons

欧州を股にかけて活躍したルーベンスの人生は、ほかの芸術家には類をみない特異さがあります。この記事では、ルーベンスの人生や作品、見どころについて詳しく解説します。

本業は外交官?ルーベンスの特異な人生とは

ルーベンスの自画像, Public domain, via Wikimedia Commons

ルーベンスは画家として広く知られていますが、本業は実業家や外交官でした。アントワープには大規模な工房を経営しており、アート収集家としても活用しています。外交官として欧州内を飛び回っており、7カ国語を流暢に話したと言われます。

ルーベンスといえばベルギー国内だけでなく、スペインやイタリアでも活躍したことで知られています。外交官の仕事から外国に行く機会が多く、実業家や公証人の肩書を駆使して、あらゆる土地でコネクションを作ることに長けていました。

実際ルーベンスは7年に及ぶイタリア滞在の間、さまざまな街の有力貴族とのコネクションの構築に成功しています。イタリアではカラヴァッジョの作品に大きく影響を受け、複製画を制作したこともありました。

ルーベンスは公証人としてのキャリアを活かし、芸術の依頼を受ける契約書にもこだわっていました。完成した作品を受け取らない場合の対処 、どの段階で受け取ったと認めるか、作り直しの場合の元の作品の処遇など、あらゆるケースで自分が不利にならない契約書が記録に残っています。

バロックの巨匠ルーベンスの作品の特徴

『花輪の中の聖母マリア(Madonna in Floral Wreath)』,Public domain, via Wikimedia Commons

ルーベンスの作品は、伝統的に繊細で精密な筆致が好まれた北方のなかでは、力強くはっきりとした筆致が特徴です。ルーベンスは外交官や実業家の仕事を抱えていたにもかかわらず、かなり多くの作品を残しています。

ルーベンスが活躍した16世紀には、すでにカンバス画が一般的になっていたものの、ルーベンスはパネルに絵を描き続けました。祭壇画のように長期的な使用が見込まれる作品の場合、石に描くこともありました。カンバスやパネスは経年により支持体が崩れてしまい、絵がダメージを負うリスクがあるためです。

作品は宗教や神話にまつわるものが多いですが、肖像画も多く残しています。貴族とのコネクションを持っていたルーベンスの作品は、現在でもベルギー、イタリア、スペインなど広くヨーロッパに存在しています。

配信元: イロハニアート

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