
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。
今回は月例マッグガーデンマンガ大賞 2025年9月期 期待賞受賞作『花のひと』を描いたイラストレーター・Hiromu。さんに注目し、X(旧Twitter)に投稿された『変身』をご紹介しよう。
同作は、とある女子生徒が“蝶のように羽化”する様子を描いたショート漫画。以前Hiromu。さんのXにポストされると、8000以上の「いいね」が寄せられている。そこで作者のHiromu。さんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。
■女子生徒が蝶に変身?

とある授業中の教室、ひとりの男子生徒は机につっぷして寝ている女子生徒が気になっていた。何気なく彼女の方を見ると、背中から人間サイズを上回る蝶が出てくる様子を目の当たりにする。そして、その巨大な蝶は外に飛び出てしまい…。読者からは「不思議な世界観に魅了された」「蝶々の描写が美しい」などの声が上がっていた。
■1枚のイラストから肉づけして完成した『変身』

――『変身』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
3年前にSNSで、1日1枚イラストを100日間描くということをしていた時に描いたのが、今回の作品の2ページ目の少女から羽化する蝶のイラストでした。
春ごろに描いたこともあり、成長と思春期の閉塞感からの脱却をイメージして描いたものです。いつかこのイラストを作品として形にしたいと思っていて、それを漫画として描いたのが今回の『変身』です。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
蝶が飛び立つコマです。羽の模様なども描き込んではいますが、胴体の細部が見える資料が少なく、いくつかの写真を基に想像も交えて描きました。普段から、実際よりも巨大な動物や植物、空中を泳ぐ魚を描いていますが、幻想ではなくそこに存在しているように描くことにこだわっています。
私は蝶を美しいものとして捉えていますが、これを描いているとき、知り合いのお子さんが「蝶々が気持ち悪い」と言っていたのを思い出しました。羽の美しさに目が行きがちですが、実際に大きなサイズ感を想像しながら胴体を描いていると、確かに恐ろしさも感じるようなフォルムです。
しかし、それも含めたのが美しさだと考えているので、この絵は少女の背中から出てくる蝶という不気味さと美しさが同居したものとして描けたかなと思っています。
――同作やマグコミで掲載されている読切『花のひと』などを拝見すると、人と虫、植物を組み合わせた描写がとても印象に残ったのですが、こういった作風はどのような経緯で生まれたのでしょうか?
子供の頃から、映画の『ゴジラvsビオランテ』が好きで、特にビオランテという怪獣に惹かれていました。人の細胞を組み込んだバラにゴジラ細胞を融合してできた怪獣なのですが、ゴジラの攻撃ですぐに燃えながら花びらが散ってしまう儚さもあります。そういったものを怪獣やクリーチャーでない形で表現したいという思いが子供の頃からありました。
イラストも物語も考える時は、言葉よりもイメージが漠然と思い浮かび、それを絵に描いています。特に人と動植物の組み合わせは、言葉の代わりの役割を担ってもらっています。視覚的に強いインパクトがあるだけでなく、絵として単純化されているからこそ、複雑な意味や感情を含ませられる気がしています。
絵は言葉ほど明確ではありませんが、その曖昧さがあることで、見る人によって受け取り方の変わる余白や、意味の緩衝になる。良くも悪くも、私は作品の中で明確な答えを出し切らないことに魅力を感じていて、人と動植物を組み合わせた表現にも、そういった曖昧さへの惹かれ方が表れているのかもしれません。
――読者へメッセージをお願いします。
今まで紙に描くのが基本でしたが、今回の漫画は初めてのフルデジタル作画でした。デジタル作画の練習を兼ねた作品だったのですが、まだまだ表現も模索している途中です。これからもSNSでもそれ以外での作品発表もしたいと考えていますので、楽しみにしていただけると嬉しいです!

