乱視は、近視や遠視と同じ目の屈折異常です。
目の角膜や水晶体の歪みによって、目の中で光の焦点の結ぶ位置が縦と横でずれてしまい、ものが二重三重にぼやけてみえてしまいます。
一方乱視は、軽度を含めるとほとんどすべての人が持つ症状であり、矯正した方がいいケースとそうでないケースがあります。
今回は乱視の見え方の種類や近視とどう違うのかを紹介していきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「乱視」の見え方・症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
乱視の検査や対処方法

乱視の検査方法を教えてください
乱視の検査には乱視表を用います。乱視表とは中心から放射状に伸びている線を見て、色の濃淡について測るものです。もし片目でこの放射状を見た時に、放射線の一部の色が薄いなど色に濃淡があると感じた場合は乱視を疑います。また縦方向と横方向にそれぞれ別の度数が入ったレンズであるクロスシリンダーレンズや、その機能が入った検査機器を使って乱視の測定や度数を測ります。
乱視はメガネやコンタクトレンズで矯正できますか?
先ほど述べたように、乱視でも正乱視と不正乱視がありますが、正乱視はメガネやコンタクトでほぼ矯正することが可能です。乱視の矯正には、縦と横で屈折直の違う円柱レンズというものを用います。一方不正乱視は、メガネやコンタクトレンズでは完全な矯正が難しいものもあります。
乱視は手術で治すことができますか?
近視・遠視・乱視は屈折矯正手術で治療することが可能です。この手術は、PPK・LASIK・ReLExなどレーザーによって角膜の屈折を変化させる方法と、目の中にレンズを挿入することで屈折を変化させるという有水晶体眼内レンズという主に2つの方法があります。日本では、LASIK(レーシック)と有水晶体眼内レンズが有名です。レーシックではフェムトセカンドレーザーというレーザーを用いて角膜の表層部位にフラップを作製し、それをめくって角膜実質を露出させ、そこにレーザーをあてて角膜のカーブを調整することで、屈折力を変え網膜上に焦点を結ぶように矯正する手術です。
有水晶体眼内レンズとは屈折矯正力のある薄い眼内レンズを、目の中に挿入する手術になります。
乱視を放っておくとどうなりますか?
強い乱視は視力の低下や眼精疲労に繋がりますので、メガネやコンタクトレンズを使うことをおすすめします。特に幼少期の乱視は弱視に繋がるおそれもありますので、完全に矯正する必要があります。もっとも、人は誰でも多かれ少なかれ乱視を持っているので、軽度の乱視は気にする必要がありません。
編集部まとめ

乱視は、角膜や水晶体の歪みによって、目の縦のピントと横のピントが焦点を結ぶ位置がバラバラになってしまう屈折異常を指します。
症状としてはものが二重三重にぼやけてみえますが、一般的に縦の方向が横の方向より見やすいことが多いです。
また縦と横でピントがずれる正乱視のほか、角膜が傷ついたことによって、目の中で光の焦点がバラバラになってしまう不正乱視と呼ばれる乱視もあります。
正乱視はほとんどメガネ・コンタクトレンズ・手術によって矯正できます。
乱視は放置しておくと、眼精疲労や視力低下を招く可能性がある病気です。もし乱視かなと思った時は、乱視表やアムスラ―チャートで一度目のチェックをしてみましょう。
参考文献
近視・遠視・乱視(日本眼科学会)
屈折異常と眼精疲労(日本眼科医会)

