「骨盤の横が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「骨盤の横が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
変形性股関節症
大腿骨の骨頭(こっとう)部分と骨盤の一部である臼蓋(きゅうがい)が変性し、すり減っていってしまう病気です。加齢や過度な負担、生まれつきの股関節の形成不全などが原因となります。多くは女性にみられ、起立時や歩行開始時の足の付け根の痛みが初発症状となります。ひどくなると、安静時や寝ているときにも痛むようになります。
体重を適切に保ったり、股関節に負担をかけない程度の運動をしたりすることで様子をみることもできます。しかし、症状が強くなる場合には骨切り術や人工股関節手術なども考慮します。
仙腸関節炎
仙腸関節炎は、骨盤を形成する仙骨と腸骨のつなぎ目部分に炎症が起こる病気です。重いものを持ち上げる、事故にあうなどの怪我をすると、仙腸関節が傷ついてしまうことがあります。ピンポイントで骨盤の痛み部分を示すことができる、そけい部の痛みが特に椅子に座った時に強くなるといった症状が典型的です。
ブロック注射などが症状を改善するために有効である場合があります。
坐骨神経痛
坐骨神経の損傷や刺激によって痛みが生じることです。坐骨神経は脊髄から腰、足のほうに伸びていく、体内で最も太く長い神経の束で、左右1対ずつあります。
坐骨神経痛は、損傷を受ける神経の部位によっては腰や股関節、おしり、足、足先、つま先まで生じます。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、脊椎のすべり症などによって引き起こされます。
坐骨神経痛は軽い場合には特に治療は不要であることもあります。しかし、痛みが強く、筋力の低下やしびれなどがある場合には、整形外科での治療が必要となります。
成長痛
子どもにみられ、特に骨や筋肉に問題がないものの痛みが生じる際に、こうした症状を成長痛と呼びます。3〜5歳の子どもに多く、膝から足にかけての痛みが多いです。股関節に痛みが現れる子どももいます。
成長痛そのものは自然に改善しますが、中には骨や筋肉の損傷など隠れていることがあります。長引く場合には一度小児科や整形外科を受診しましょう。
梨状筋症候群
梨状筋(りじょうきん)は、骨盤と大腿骨とをつなぎ、股関節を支える筋肉のことです。この筋肉によって、坐骨神経が骨盤から出ていく部分で圧迫や刺激を受けた状態を梨状筋症候群と呼びます。坐骨神経痛の症状や、骨盤部の痛み、圧痛などが生じます。
梨状筋以外の筋肉や、手術、子宮内膜症、怪我、股関節の過度の使用、血管の異常などによっても坐骨神経の圧迫が生じます。
治療法としては鎮痛薬やブロック注射、下半身のストレッチも有効です。
卵巣嚢胞
卵巣嚢胞は、卵巣にできる液体で満たされた袋のことです。通常は特に症状を引き起こすことはありません。しかし、破裂したりねじれたり(捻転)するとさまざまな症状を呈します。例えば、骨盤痛や性行為中の痛み頻尿、排便のしづらさ、生理不順や生理が重くなるあるいは軽くなるなどです。
突然の激しい骨盤痛、お腹の痛み、吐き気、嘔吐などがあれば、早急に医療機関を受診してください。
尿路結石
尿路結石は、左右の腎臓から尿管、膀胱、尿道までの間に結石ができる病気です。壮年期の男性や閉経後の女性で頻度が高くなります。突然の腰から脇腹から下腹部にかけて痛みが生じ、血尿を伴うこともあります。尿の出口に近いところに結石ができると、下腹部痛や骨盤痛として感じられる方もいます。突然の痛みに加え、尿の変化(血尿)が明らかな場合には泌尿器科の受診をおすすめします。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は、腸にがんや潰瘍などの問題がないものの、下痢や便秘、腹痛、お腹のハリなどの症状が出る病気です。ストレスが大きく関わっており、治療の第一歩としてはなぜ症状が起こるのか理解することがあります。そのほか、生活のリズムを整える、食事療法、薬物療法、心理療法などがあります。
「骨盤の横が痛い」の正しい対処法は?
骨盤の横が痛いときには、以下の点に気をつけましょう。
症状の落ち着かせ方
骨盤の横が痛い際、運動によって痛みが強くなるのであれば一度運動はやめてみましょう。動くことによる痛みは整形外科的な問題が示唆されます。しかし、安静でも痛みが続くようなケースでは、受診を検討した方が良いでしょう。骨盤の痛み以外の症状に合わせ、内科や婦人科、泌尿器科、整形外科での診察を受けてください。
市販薬を使用してもいい症状、使用してはいけない症状の特徴
生理痛だと思われる場合には、市販の鎮痛薬が有効であることもあります。しかし、発熱がある、強い吐き気を伴う、または嘔吐してしまった、突然の骨盤痛などは自己判断での治療はやめましょう。医療機関での診察・治療が必要なレベルと考えられます。

