前立腺がんのリスクには、年齢や遺伝、人種といった変えることのできない要因が強く関係しています。特に50歳代以降に罹患率が高まり、家族歴がある方はさらに注意が必要とされています。こうした背景を正しく理解することは、早めにPSA検査を受けるきっかけにもなります。自分のリスクを知ることが、健康管理の第一歩です。

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科
前立腺がんになりやすい人の特徴:年齢・遺伝・人種
前立腺がんには、なりやすい方の特徴がいくつか明らかになっています。特に年齢・遺伝的背景・人種といった変えることのできない要素が、リスクに強く関係しているとされています。このセクションでは、これらの要因について詳しく解説します。
年齢とホルモンの関係
前立腺がんは、50歳代以降から罹患率が高くなる傾向があり、特に60〜70歳代での発症が多いとされています。年齢を重ねるとともに、細胞の遺伝子変異が蓄積されやすくなることや、免疫機能の変化が関与していると考えられています。
また、前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)によって増殖が促されることが知られています。男性ホルモンは前立腺の正常な発育にも関係しており、加齢に伴うホルモンバランスの変化が前立腺がんの発症リスクに影響するとも考えられています。そのため、前立腺がんの治療にはホルモン療法が用いられることがあります。
国立がん研究センターのデータによると、前立腺がんは男性のがん罹患数において高い順位に位置しており、加齢とともにリスクが高まることが示されています。50歳を過ぎた男性の方は、定期的なPSA検査を受けることが、早期発見への第一歩となります。
遺伝的リスクと家族歴
前立腺がんは遺伝的な要素も関係していることが知られています。父親や兄弟など一親等の男性親族に前立腺がんの方がいる場合、そうでない方と比べてリスクが高まる可能性があるとされています。また、複数の親族に前立腺がんの既往がある場合はさらにリスクが高まるとも報告されています。
遺伝子の面では、BRCA1・BRCA2と呼ばれる遺伝子の変異が前立腺がんリスクと関連する可能性が示されています。これらは本来、細胞のがん化を抑える働きを持つ遺伝子で、この遺伝子に生まれつき変異がある場合、前立腺がんなどのリスクが高まることがわかっています。 BRCA2遺伝子の変異は特に前立腺がんとの関連が指摘されており、乳がんや卵巣がんとの関係でよく知られているBRCA変異が、前立腺がんにも影響する場合があります。
家族歴がある方は、40〜45歳ころからPSA検査の受診を医師と相談することが勧められることもあります。遺伝的リスクがあるからといって必ずしも発症するわけではありませんが、定期的なスクリーニング(ふるいわけ検査)によって早期発見につなげることが可能です。家族の病歴を把握しておくことは、自分自身の健康管理においても大切な情報となります。
まとめ
前立腺がんは早期発見によって治療の選択肢が広がり、生活の質を保ちながら治療を進めやすくなる疾患のひとつです。排尿の変化や腰痛など気になる症状がある場合は、ためらわずに泌尿器科や内科などに相談することが大切です。また、50歳以上の男性の方(家族歴がある場合は40〜45歳から)は、定期的なPSA検査を検討することが勧められます。治療費については高額療養費制度などを活用しながら、医師・医療スタッフとともに治療方針を考えていくことが、前立腺がんと向き合うための第一歩となります。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス「前立腺がん」
日本泌尿器科学会「前立腺癌診療ガイドライン」
日本癌治療学会 がん診療ガイドライン「前立腺がん」
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