
子どもの頃から漫画を愛好し、ユーモアあふれる作品を描く宮野シンイチ(@Chameleon_0219)さん。彼がX(旧Twitter)で公開する「夜逃げ屋日記」は、DV被害などの依頼者を夜逃げさせた実話ベースの人気漫画だ。今回は同作の49~50話を紹介し、依頼者の過酷な結婚生活について宮野さんに語ってもらった。
※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。



■手鏡の中で名前を取り戻した日
夜逃げの途中で「中断したい」と言い出した朝倉ミツコさん。夜逃げ屋の社長に「旦那と義母から普段なんて呼ばれてる?」と問われると、彼女の脳裏に「お前、さっさと掃除しろよ」「お前はウチの嫁失格じゃ」と罵倒される日々がよみがえる。一番近しい人間に何十年も名前を呼ばれなかったことで、ミツコさんが自分を見失っていると社長は確信した。
手鏡を渡されたミツコさんは、鏡の中の自分に向かって「ミツコ、ミツコ」と繰り返し名前を呼び、「私、老けたなぁ」と涙を流す。その後、引っ越し先へ向かう車中で磯の香りを感じた彼女は海へと歩き出し、若い頃を思い出すように「ただいま」とつぶやいた。
■最期の1カ月半と夜逃げの真実
余命3カ月と宣告されていたミツコさんは、夜逃げから1カ月半後に病状が悪化し、息を引き取った。病床では50年間の結婚生活には触れず、移転先や幼い頃の思い出を楽しそうに語っていたという。
ミツコさんの結婚生活について、宮野さんは「『自分の名前と顔が一致しない』というケースから考えると、決してまともな生活ではなかったんだと思います。悲しいのは、社長が言うにはこういったケースが社長にとって初めてではないということで、今も日本のどこかに、ミツコさんと同じような人はいるのかもしれないということですね」と語る。
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