
武田航平と渋谷謙人のW主演による、BLコミックを実写ドラマ化した「スモークブルーの雨のち晴れ」(毎週月曜深夜1:29-1:59、読売テレビ/FODでも配信)の最終話となる第10話が6月8日(月)に放送される。アラフォー同士の恋愛模様が描かれ、人生そのものの重みも感じさせてくれる本作の見どころを振り返りたい。(以下、作品のネタバレを含みます)
■再会によって再び人生が動き始める大人ビターなラブストーリー
本ドラマは、累計発行部数70万部を突破、ボイスコミックのYouTube再生数は140万回を超える、波真田かもめ原作の同名BLコミックの実写ドラマ化。元製薬会社のエースMRでありながら、仕事と人生に行き詰まって退職し、現在は無職の吾妻朔太郎(武田)は、あるとき、かつて一夜をともにした元同僚の久慈静(渋谷)と8年ぶりに再会。長髪姿の久慈も今はMRではなく翻訳の仕事をしており、朔太郎もバイトとして手伝うことに。再会によって2人の人生が再び動き始める大人ビターなラブストーリーとなっている。
この2人の関係性が自然体でふわっと心を温かくしてくれる。激しく燃え上がって恋に落ちるという温度感ではなく、駆け引きするわけでもない。人生経験を重ねて互いにアラフォーという年になってから再会し、なんとなく離れがたくなり、隣にいることが当たり前になっていく。そんな穏やかな愛の形が、じんわりと胸に沁みる。

■2人を演じる武田航平と渋谷謙人の存在感も素晴らしい
その雰囲気を醸し出す武田と渋谷の存在感も素晴らしい。朔太郎は放っておけないかわいらしさがあり、武田が見事に体現。朔太郎の母親が送ってきたリンゴを両ほっぺに当てたり、やりきれない気持ちになったときに久慈におんぶをねだって甘えたり。アラフォーの成人男性だが、いやアラフォーの成人男性だからこそ無防備な表情がぐっとくる。
渋谷演じる久慈は髪をハーフアップにしたり、ヒゲ仕様を見せたり、変化に富んだビジュアルもキマっていて格好良い。中でもタバコを吸うしぐさからあふれる大人の色気は絶品。久慈が抱える葛藤や孤独もにじませて、久慈のシブい魅力を一層ひきたてている。そんな対照的なようでどこか似た空気をまとう2人だからこそ、互いに引かれていく過程が自然に胸に入ってくる。

■恋愛はもちろん、深い人間ドラマも描かれる
また、ラブストーリーとしてだけでなく、人生の機微を描いたドラマにも注目してほしい。久慈は病を患った父の介護に向き合い、やがてその父を見送っている。そうした経験が、久慈という人物の優しさや包容力に説得力を与えている。
一方、朔太郎は仕事のことで過去に心に傷を抱える身。しかし、久慈との出会いによって翻訳の面白さに引き込まれていき、人生を再スタートさせる。失いかけていた自信や情熱を少しずつ取り戻していく姿も印象的で、傷や後悔を抱えた大人たちが再び前を向く姿に、温かな希望をもらえるのだ。
恋愛のときめきだけでなく、人生経験を重ねた大人たちが人生を見つめ直し、再出発する姿にも心を動かされる本作。穏やかながらも確かな変化を積み重ねていく2人の関係性は、多くの視聴者の共感を呼ぶはず。「明日も頑張ってみるか」と少し前向きな気持ちになるような温かな余韻を残してくれる。
◆構成・文=牧島史佳


