頭痛の予防には、さまざまな薬が活用されています。片頭痛や慢性頭痛の症状を軽減するために、抗うつ薬や抗けいれん薬、β-ブロッカーなどの内服薬が処方されることが一般的ですが、近年では注射による予防薬も登場し、より高い効果が期待されています。では、それぞれの予防薬の特徴や効果について、宮崎先生に解説していただきました。
編集部
たとえばどのような予防薬があるのでしょうか?
宮崎先生
予防薬にはさまざまな薬剤があります。たとえば三環系抗うつ薬と言われるアミトリプチリンやβ-ブロッカーのインデラル、てんかんの薬として使われてきた抗けいれん剤のデパケン、カルシウム拮抗薬の一種であるミグシスなどが代表的です。
編集部
どのようにして使い分けるのですか?
宮崎先生
慢性頭痛の診療ガイドラインでは、薬剤の効果の高さに応じてグレードが分けられています。それらを考慮しつつ、頭痛の症状に合わせ、最適な薬剤を選択します。
編集部
予防薬を飲むと、完全に頭痛を予防することができるのですか?
宮崎先生
なかには、完全に頭痛が治る人もいますが、個人差があります。しかし予防薬の目的は、「痛みが出現するのをゼロにする」のではなく、「痛みのない日を少しでも増やす」と考えれば、その効果は十分期待できると思います。
編集部
それはどういうことでしょうか?
宮崎先生
痛みを波に置き換えるとわかりやすいと思います。頭痛の程度がひどい人は波が高く、頭痛が軽症の人は波が低いと思ってください。予防薬を使用するとその波が次第に低くなり、軽症の人であればフラットになる、つまり、頭痛がなくなることもあります。
編集部
もともと重症だった人でも、波が次第に低くなる効果が期待できるのですね。
宮崎先生
そうです。治療を続けるうちに、やがて波が出現しない日が出てくるかもしれません。そうすると、日常的に頭痛があった人でも、「頭痛があることは異常なのだ。病気なのだ」と気づきます。そうした気づきを促すためにも、予防薬は有効なのです。
編集部
そのほかにも予防薬はありますか?
宮崎先生
片頭痛専用の予防薬として、近年、抗CGRP関連薬という新しい薬剤が開発されました。具体的にはエムガルティ、アジョビ、アイモビーグの3剤があり、いずれも注射によって投与します。
編集部
注射の予防薬もあるのですね。
宮崎先生
はい。これらの3剤は非常に効果が高く、しかも、効果が出現するのが早いとして注目を集めています。内服薬に比べて副作用も少ないため、内服薬を使用したけれど効果がなかったという方や、副作用が辛くて内服薬を継続できなかったという方でも安心して使用できます。最近では内服薬に先行し、なるべく早めに注射を使用する傾向が強まっています。

監修医師:
宮崎 良平(井土ヶ谷脳神経外科・内科頭痛・めまい・しびれクリニック)
平成23年福島県立医科大学医学部卒業。平成25年横浜市立大学脳神経外科学教室に入局、同年横須賀共済病院で後期研修開始。横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科/救急救命センター、神奈川県立こども医療センター脳神経外科、横浜市立大学附属病院脳神経外科を経て、平成30年横浜市立大学大学院 医学研究科博士課程入学。基礎研究を行いながら、在宅クリニックでの診療経験、内科外来でのトレーニング、漢方診療経験を積む。令和3年まこと在宅クリニック神奈川県央開院、令和5年 井土ヶ谷脳神経外科・内科頭痛・めまい・しびれクリニック開院。
※この記事はメディカルドックにて<頭痛を起こさない「予防薬」はご存じですか? ひどい人は軽く、軽い人はついに!?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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