デリケートゾーンのかゆみや不快感・・・。
他人には相談しにくいし、受診もハードルが高いと、悩む方も多いのではないでしょうか。
蒸れも気になるこの時季、どうすればいいの??
早川クリニック院長早川潤先生による解説です。

デリケートゾーンのかゆみや違和感の原因は?
婦人科の外来では、
「陰部がかゆい」
「デリケートゾーンに違和感がある」
というご相談をよくお受けします。
かゆみは、命に関わるような強い症状ではないと思われがちですが、実際にはとても不快で、仕事中や就寝時に気になってつらいものです。
また、場所が場所だけに、相談しづらく、つい自己判断で様子を見てしまう方も少なくありません。
デリケートゾーンのかゆみと聞くと、まず「カンジダかな?」と思う方も多いかもしれません。
もちろんカンジダ腟外陰炎はよくある原因の一つですが、かゆみの原因はそれだけではありません。
皮膚のかぶれ、乾燥、下着やナプキンによる刺激、洗いすぎ、ホルモンバランスの変化、慢性的な皮膚炎など、実際にはいろいろな原因があります。
大切なのは、「かゆい=カンジダ」と決めつけないことです。
症状だけで原因を正確に見分けるのは難しく、カンジダだと思っていたら、細菌性腟症や性感染症、外陰部の皮膚疾患だったということもあります。
市販薬で一時的に楽になっても、繰り返す場合や長引く場合は、一度婦人科で確認しておくと安心です。
季節や生活習慣によっても原因はさまざま
かゆみは、季節によっても起こりやすい原因が少し変わります。
冬は空気が乾燥するため、外陰部の皮膚や粘膜も乾燥しやすくなります。
春先は、気温差や花粉、衣類、下着、ナプキン、おりものシートなどの刺激で皮膚が敏感になりやすい時期です。
もともと皮膚が弱い方やアトピー体質の方では、接触性皮膚炎や慢性湿疹のような状態が続くこともあります。
香りの強いボディソープで洗う、石けんで何度も洗う、ナプキンやシートを長時間替えないといった習慣も、かゆみを悪化させる原因になります。
梅雨から夏にかけては、汗や蒸れが増えます。
この時期に多いのが、カンジダ腟外陰炎です。
カンジダは真菌、つまりカビの一種で、強いかゆみ、外陰部の赤み、白いポロポロしたおりものなどを伴うことがあります。
抗菌薬を使った後、疲れがたまっているとき、睡眠不足やストレスが続いているときにも起こりやすくなります。
また、糖尿病などが背景にある場合には、カンジダを繰り返すこともあります。
年齢によって、トラブルの原因は変わる?
年齢によっても、かゆみの原因はそれぞれ異なる傾向があります。
若い方では、カンジダ、ナプキンやおりものシートによるかぶれ、脱毛後の刺激、下着の摩擦などが比較的よくみられます。
一方、40代後半以降、とくに閉経前後から閉経後の方では、乾燥や皮膚・粘膜の萎縮によるかゆみ、慢性的な皮膚炎が増えてきます。
特に更年期以降は、女性ホルモンの低下により腟や外陰部のうるおいが減り、ヒリヒリ感、乾燥感、かゆみを感じやすくなります。
「年齢のせいだから仕方ない」と我慢されている方もいますが、保湿や生活習慣の見直し、必要に応じた治療で改善できることも多くあります。
かゆみを感じたら、どうすればいいの?まずは試したいセルフケア
では、かゆみが出たときは、まず何をすればよいのでしょうか。
一番大切なのは、強くこすらないことです。
かゆいからといって爪でかいたり、念入りに洗いすぎたりすると、皮膚のバリア機能が傷つき、さらにかゆみが強くなることがあります。
デリケートゾーンは、ぬるま湯でやさしく洗う程度で十分なことも多く、洗浄力の強い石けんや香料の強い製品は、かえって刺激になる場合があります。
下着は通気性のよいものを選び、汗やおりものが多いときはこまめに交換しましょう。
ナプキンやおりものシートでかぶれやすい方は、長時間つけっぱなしにしないことも大切です。
小さなことですが、こうした日常の見直しで症状が軽くなる方もいます。
フェムケア専門の製品や市販薬と受診の目安について
最近は、デリケートゾーン専用のソープや保湿剤など、いわゆるフェムケア製品も増えてきました。
乾燥しやすい方、下着やナプキンでかぶれやすい方、更年期以降で違和感がある方にとっては、低刺激の保湿ケアや専用ソープが役立つこともあります。
ただし、フェムケア製品は「使えば使うほどよい」というものではありません。
香料が強いもの、洗浄力が強すぎるもの、腟の中まで洗浄するタイプの製品は、刺激になったり、腟内環境のバランスを崩したりすることがあります。
デリケートゾーンのケアは、『洗いすぎない清潔』と『適度な保湿』が基本です。
市販薬を使う場合にも注意が必要です。
以前に婦人科でカンジダと診断されたことがあり、同じような症状であれば、市販の抗真菌薬が役立つこともあります。
しかし、痛みや腫れ、出血、悪臭のあるおりもの、下腹部痛、発熱を伴う場合は、自己判断で薬を続けず、婦人科を受診してください。
また、何度も繰り返すかゆみ、夜も眠れないほどの強いかゆみ、皮膚が白っぽい・切れやすい、長期間続いているといった場合も注意が必要です。
まれではありますが、糖尿病などの基礎疾患、免疫力の低下、慢性的な皮膚疾患、腫瘍性疾患などが隠れていることもあります。
「いつものかぶれだろう」
「放っておいても治る」
と思い込まず、続く症状はきちんと確認しておきましょう。
まとめ
陰部のかゆみは、恥ずかしさから受診をためらう方が多い症状です。
しかし、婦人科ではとても日常的な相談内容です。
診察を受けたからといって、必ず大がかりな検査や内診が必要になるわけではありません。
症状や年齢、経過を確認しながら、その方に合った対応を考えていきます。
デリケートゾーンのかゆみは、季節や年齢、生活習慣、体調の変化によって原因が変わります。
自己判断で我慢せず、日常のケアを見直しながら、気になるときは婦人科を気軽に利用してください。
かゆみは、決して「我慢するしかない症状」ではありません。
原因をきちんと確認し、状態に合ったケアや治療を取り入れながら、つらい症状を改善していきましょう。
[執筆者]

早川潤先生
医療法人聖和会早川クリニック院長
2019年4月より、大阪・心斎橋で70年以上続く早川クリニックの院長就任。
女性の「ライフパートナードクター」として、思春期から更年期以降まで、幅広い世代の女性のライフステージごとに起こるいろいろなトラブルに、専門的な医療を提供し、健康を支えている。
医師同士の相互評価により選ばれる「Best Doctors of Japan」にも選出。
専門性に基づいた、丁寧でやさしい診療を大切にしている。
産婦人科専門医
大阪大院医学博士
医療法人聖和会早川クリニック
https://hayakawa-clinic.jp/

