
SFの世界で「人工冬眠」と呼ばれる「コールドスリープ」は、人体を低温状態に保つ装置のこと。延命措置や臓器保存の手段として、研究が進んでいる分野でもある。現代の文化を未来に伝えるプロジェクトを立ち上げ、100年後に目醒めるカプセルに搭乗した調査員を描いたギャグ漫画家くさかべゆうへい(@bakasakuiheuyu)さんがX(旧:Twitter)で投稿した「不眠のあなたへ」に読者から多くの反響が集まっている。
■100年後へ行くはずが…待っていたのは“不眠あるある”だった



深夜、布団の中で何度も寝返りを打ちながら「なぜ眠れないんだ」と途方に暮れた経験はないだろうか。そんな不眠の苦しさを、まさかの“100年後へ向かうコールドスリープ”という設定で描いたのが、本作「不眠のあなたへ」だ。作者・くさかべゆうへいさんによる短編ギャグ漫画は、壮大なSFの幕開けから一転、誰もが共感する“眠れない夜”のあるあるへと着地する。
物語の主人公は、現代文化を未来へ伝えるため、100年後を目指してコールドスリープ装置に入る研究員。わずか1時間で冷凍睡眠に入れる最新技術のはずだったが、肝心の本人は興奮してしまいまったく眠れない。寒さに震え、空腹を覚え、徐々に追い詰められていく姿はどこか滑稽で、同時に妙なリアリティーを帯びている。
くさかべさんに話を聞くと、本作の「100年後」というテーマは、雑誌の読み切り企画から生まれたのだそうで、「未来へ行く話かと思ったら、全然行けていない話にしようと思った」と振り返る。その発想のひねりこそ、本作最大の魅力だろう。また、限られた8ページの中で強い印象を残すため、「冷静な人物がだんだんパニックになっていく様子を意識した」と明かしてくれた。
実際に読んでみると、壮大な未来技術よりも“眠れない焦り”に共感してしまうから不思議だ。普段は少年漫画作品も手掛けるくさかべさんだが、本作ではツッコミ不在の独特なギャグセンスが存分に発揮されている。
未来へ旅立つはずだった男が、ただひたすら眠れない――。そんなバカバカしさと共感が同居する本作は、眠れぬ夜を経験したことがある人ほど思わず笑ってしまう一作だ。
取材協力:くさかべゆうへい(@bakasakuiheuyu)
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