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「カロリーゼロ」の乱れは“あの甘味料”が原因?腸内環境への効果【医師監修】

「カロリーゼロ」の乱れは“あの甘味料”が原因?腸内環境への効果【医師監修】

腸内細菌の集まり(腸内フローラ)は、消化・免疫・精神的健康にまで関わる重要な存在です。スクラロースやサッカリンなどの人工甘味料が、有益な菌を減らしたり腸内の多様性を低下させたりする可能性が、動物実験や一部のヒト研究で示されています。腸内環境への影響について、研究から見えてきた内容を詳しく解説します。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

腸内フローラのバランスを崩す仕組み

人工甘味料が腸内細菌に影響を与えるという話は、まだ聞き慣れない方も多いかもしれません。しかし、個人差がありますが、腸内に暮らす細菌の集まり(腸内フローラ)は、消化や免疫、さらには精神的な健康にまで関わっており、そのバランスが乱れることは身体全体に波及することがありす。
一部の研究で腸内細菌の変化が示唆されている人工甘味料によるバランスの変化について解説します。

スクラロースが腸内細菌に与える変化

スクラロースは消化・吸収されないまま腸を通過するとされてきましたが、近年の研究では腸内細菌の構成を変化させる可能性が指摘されています。
動物を対象にした実験では、スクラロースを継続的に摂取したグループで、腸内の有益な細菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)の数が減少し、腸内環境が悪化したという報告があります。人間への影響についてもさらなる検討が進んでいますが、腸内細菌への作用は無視できない可能性があります。

腸内フローラは多様性が高いほど健康的とされており、特定の菌が減少することで全体のバランスが崩れることがあります。
有益な菌が減ると、有害な菌が相対的に増えやすくなり、腸内での炎症や消化機能の低下につながる場合があります。日常的にスクラロースを含む食品を摂取している場合は、意識的に腸内環境をケアする食事も取り入れることが望まれます。

サッカリンと腸内細菌の多様性低下

サッカリンは人工甘味料のなかでも腸内細菌への影響が研究されてきた成分の一つです。あるヒトを対象とした試験では、サッカリンを摂取した参加者の一部で、腸内細菌の多様性が低下し、血糖値の調節に関わる細菌の割合が変化したことが確認されました。
このことは、腸内細菌を介して血糖値にまで間接的な影響が生じる可能性を示しています。

腸内細菌の多様性が失われると、免疫機能の調節や短鎖脂肪酸(腸の粘膜を守る物質)の産生が低下することもあります。短鎖脂肪酸は腸の壁を保護するだけでなく、エネルギー代謝にも関与しているため、その産生量の変化は全身の代謝に影響を与え得ます。人工甘味料の摂取が単なる「甘み成分」の問題にとどまらない理由がここにあります。

腸の炎症と免疫バランスへの波及

腸内細菌のバランスが乱れると、腸の粘膜に炎症が起きやすくなることが知られています。慢性的な腸内の炎症は、消化器系の不調にとどまらず、免疫システム全体に影響を及ぼす可能性があります。人工甘味料がこのような「炎症の引き金」となり得るメカニズムについて解説します。

腸粘膜のバリア機能が低下するリスク

腸の内壁は、外部からの有害物質が身体の中に入り込まないよう、バリアの役割を担っています。腸内細菌はこのバリア機能を維持するうえで重要な働きを持っており、菌のバランスが崩れると粘膜の透過性が高まる(いわゆる「リーキーガット」と呼ばれる状態)ことがあります。
人工甘味料による腸内細菌の変化が、この粘膜バリアの弱体化に関与する可能性が動物実験などで示されています。

粘膜バリアが弱まると、腸の内部にある細菌や毒素が血液中に流れ込みやすくなり、全身性の炎症を引き起こすリスクが生じます。
これは自己免疫疾患やアレルギーのリスクとも関連するとされており、腸内環境の悪化が局所的な問題にとどまらないことを示しています。

免疫細胞への間接的な影響

腸には身体全体の免疫細胞の約70%が集中しているといわれており、腸内環境の変化は免疫の反応性に直接影響を与えます。腸内細菌が産生する代謝産物(短鎖脂肪酸など)は、免疫細胞の働きを調整するうえで欠かせない成分です。
人工甘味料の摂取によってこれらの代謝産物の産生量が変化すると、免疫のバランスが崩れ、炎症性の反応が起きやすくなる可能性があります。

特定のアレルギーや自己免疫疾患を抱える方にとっては、腸内環境の維持が治療と同じくらい重要な課題となり得ます。人工甘味料を頻繁に摂取している場合は、医師や管理栄養士に相談のうえ、食事全体のバランスを見直す機会を持つことが大切です。

まとめ

人工甘味料はカロリーを抑えるという点で便利な選択肢に見えますが、腸内細菌のバランスを崩したり、血糖値に想定外の変動をもたらしたりする可能性があることが研究によって示されています。「ゼロカロリーだから安心」という思い込みを見直し、食品表示を確認したうえで摂取量を意識することが大切です。
気になる症状がある場合は、内科や糖尿病内科に相談し、食事全体の見直しを専門家とともに進めることをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「食品添加物に関する情報」

国立研究開発法人 国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防」

日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」

配信元: Medical DOC

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