これは私の友人Aが話してくれたことです。赤ちゃんを無事に出産したものの、慣れない育児と家事に追われ、自分の身なりに気を使う余裕がなかったA。そんなAに対し、夫は労うどころか「女を捨てすぎ」と心ない言葉をぶつけます。しかし、夫の言葉に絶望するAを、意外な人物が救ってくれたのです。
夫が放った無神経な言葉
30代の友人Aは、生後2カ月の赤ちゃんを育てる新米ママ。里帰り出産を終えて自宅に戻ったAは、夫との3人での生活を楽しみにしていました。しかし、現実は想像以上に過酷なものでした。夫は仕事が休みの日もどこか「育児は母親の仕事」と他人事。Aは昼夜を問わないお世話に追われ、鏡を見る暇さえありません。髪はボサボサで、服が赤ちゃんの吐き戻しで汚れることも日常茶飯事でしたが、Aは「家族のため」と必死に踏ん張っていました。
そんなある日、帰宅した夫がAを眺め「ねえ、そろそろ化粧くらいしたら?」と言ったのです。驚いたAが「なんで急にそんなこと言うの?」と尋ねると、夫は「さっきBさんに会ったんだよ。同じ子育て中なのに、ちゃんと小ぎれいにしてたぞ。お前は女を捨てすぎだ」と吐き捨てました。Bさんは小学1年生の子どもを育てる、お隣に住むママです。「毎日自分のことは後回しで子どもを守っているのに……」と、悔しさで涙がこぼれそうになるA。そのとき、インターホンが鳴りました。
訪ねてきたのは、偶然にもBさんでした。A夫婦が2人で玄関へ出ると「Aさんが実家から戻ったってさっき旦那さんから聞いて。赤ちゃんのお世話大変でしょう? これ、夕飯のお裾分け~」と、Bさんがおかずの入った袋を差し出しました。すると夫は「わざわざすみません。今ちょうど、Aに少しは化粧しろって言ったところだったんですよ。同じ母親なのにこんな姿でお恥ずかしい」と笑ったのです。恥ずかしさでうつむくA。
途端にBさんが「え、旦那さんはAさんの何を見ているんですか?」と夫を睨みつけました。「私が身なりを整えていられるのは、子どもが小学生になって少し手が離れたからです。今のAさんは、自分のことは後回しにして、必死に赤ちゃんを育ててるんですよ。一番近くにいて、そんなこともわからないんですか?」と一喝。
続けて「Aさんがゆっくりお化粧できる時間を、あなたが作ってあげないと!」と強い口調で言い残し、その場を去って行ったのです。
Bさんの言葉にしばらく呆然としていた夫でしたが、やがて絞り出すような声で「ごめん……」とつぶやいたのでした。それ以来、夫はAの身なりについて口出しすることはなくなり、進んで家事育児を代わってくれ、Aにひとりの時間を作ってくれるようになったそうです。
夫の変化により、ようやく自分のことにも目を向ける余裕が生まれたA。子育ての余裕は、単に時間が解決するものもありますが、夫婦お互いの当事者意識と協力があってこそだと私は思います。Bさんのように相手の立場を想像し、自分の経験を活かしてそっと手を差し伸べられる人でありたいと感じた出来事でした。
著者:佐藤きなこ/30代・ライター。1歳の食いしん坊な女の子を育てるママ。娘と同じく食べることが大好きで、暇さえあれば飲食店の情報をリサーチしている
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)

