世界各地での流行が確認されているエムポックスは、ウイルス感染によって起きる発疹性疾患です。
日本ではあまり馴染みのない病気であるため、エムポックスに不安や恐怖を感じている人も少なくないかもしれません。
しかし、エムポックスは致死率が低く治る病気です。
サル痘になるとどうなるのか、感染経路・感染原因や症状などどのような病気なのか、この機会に正しく理解を深めてみましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「サル痘(とう)」の症状・致死率・感染経路はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
エムポックスの検査と治療方法

受診を検討すべき目安を教えてください。
エムポックスの初期症状は、風邪や単なる体調不良と勘違いしやすい症状です。初期症状の段階で、エムポックスと自己判断することは難しいため、発熱・頭痛・リンパ節の腫れなど気になる症状がみられる場合は受診を検討しましょう。顔や手足を中心とした全身の発疹が出現した場合は、速やかに受診すべきです。
また、エムポックスの流行地への渡航歴がある方は慎重に体調の変化を観察しましょう。渡航後に体調不良がみられる場合は、エムポックスではなくてもなんらかの感染症に感染した可能性が考えられます。発熱・発疹など気になる症状がある場合は、早めに医師・医療機関に相談しましょう。
また、医療機関を受診する際は、マスクの着用・発疹部分をガーゼで覆うなど二次感染対策を行うことも大切です。
どのような検査を行いますか?
エムポックスの診断は、主に血液検査・電子顕微鏡によるウイルス粒子の確認・蛍光抗体法・水疱や膿疱の組織を用いたPCR検査です。PCR検査によって遺伝子を検出し、エムポックスの感染が認められるかどうかを判断していきます。
エムポックス同様に発疹が生じる水痘・天然痘・牛痘などの感染症との鑑別も大切です。電子顕微鏡によるウイルス粒子の確認・蛍光抗体法では、抗ウイルス体の検出が可能ですが、エムポックスウイルスなのか他のウイルスなのか判別はできません。そのため、エムポックスの感染かどうかを確定するためにPCR検査を行います。
また、PCR検査によって遺伝子を検出することで、強毒型のコンゴ盆地型と弱毒な西アフリカ型の鑑別も可能となります。
エムポックスの治療方法が知りたいです。
エムポックスは、多くの場合2~4週間程で自然に治る病気です。海外ではエムポックスの特異的治療薬として認められている薬がありますが、日本では利用可能な薬事承認された治療薬はまだありません。
臨床研究で治療薬を投与できる体制が進行中です。そのため、2022年時点でエムポックスの治療は対症療法が中心となります。
編集部まとめ

突然の世界的流行が発生したエムポックス。まだ分からないことも多く、未知の病として不安や恐怖を感じている人はきっと多いはずです。
しかし、多くの場合は自然治癒で治る病気ですし、理解を深めることで差別や偏見といった先入観を捨てて向き合える病気です。
また、国内では感染予防目的のワクチン接種は実施していませんが、感染予防のためにできることはたくさんあります。
手洗い・咳エチケットマナーなどを徹底した上で、流行地に渡航する際は動物・人との接触に注意しましょう。
先入観や理解不足から、エムポックスに対する偏見・差別も懸念されています。
エムポックスがどんな病気なのかしっかり理解し感染予防していくと共に、病気に対する偏見・差別もなくしていきましょう。
参考文献
エムポックス|厚生労働省
エムポックスについて|厚生労働省
サル痘の患者の発生について|厚生労働省

