亜急性甲状腺炎の初期症状は、発熱・倦怠感・筋肉痛など、一般的な風邪と区別しにくいものが中心です。女性の場合、更年期症状や月経前症候群との重なりもあり、甲状腺疾患と気づかないまま過ごしてしまうこともあります。見逃した場合のリスクや、どのような症状のときに内科や内分泌内科・甲状腺外来への受診を検討すべきか、具体的な目安をお伝えします。

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。
女性が亜急性甲状腺炎を見逃しやすい理由と注意点
亜急性甲状腺炎の初期症状は、一般的な疲労感や風邪の症状と区別しにくいことがあります。このセクションでは、女性が特に見逃しやすい理由と、見逃した場合に起こりうることについて詳しく説明します。
風邪と間違えやすい初期症状
亜急性甲状腺炎の初期は、発熱・倦怠感・筋肉痛など、いわゆる「風邪に似た症状」から始まることがあります。こうした症状は日常的に経験しやすいものであるため、「少し休めば治る」と判断して受診を後回しにしてしまう方も少なくありません。
特徴的なのは、数日から1〜2週間後に首の前側(甲状腺のある部位)に痛みが出てくる点です。この痛みは、触れると痛みが増したり、頭を動かすと不快感を伴ったりすることがあります。さらに、動悸(どうき)・発汗・手の震えなどの症状が現れる方もおり、これらは甲状腺から分泌されるホルモンが過剰になることで起こります。
女性の場合、更年期症状や月経前症候群(PMS)との症状の重なりが見られることがあり、甲状腺疾患であることに気づきにくいケースもあります。また、日常的な疲労と混同しやすいため、症状が重くなってから受診するケースも珍しくありません。
見逃した場合のリスク
亜急性甲状腺炎は、多くの場合は自然に回復していく経過をたどりますが、適切な治療を受けないまま放置すると、症状が長引くことがあります。炎症が続くと首の痛みが長期間にわたって持続し、日常生活の質が著しく低下する可能性があります。
また、甲状腺ホルモンが過剰な「甲状腺機能亢進」の状態が続くと、心拍数の増加や体重減少、骨密度の低下などに影響を与えることがあります。その後、炎症が治まる過程で一時的に甲状腺機能が低下する時期(機能低下期)を経ることもあり、この時期には疲労感・むくみ・寒がりなどの症状が出やすくなります。
一度回復した後に再発することは比較的まれ(数%程度)です。万が一、再び風邪をひいた後などに首の痛みが現れた場合は、念のため医療機関を受診してください。
受診の目安と相談先
以下のような症状が続く場合には、内科や内分泌内科・甲状腺外来への受診を検討してください。
・首の前側(甲状腺のある部位)に痛みや腫れを感じる
・発熱・倦怠感が1週間以上続いている
・動悸・発汗・体重減少などの症状が重なっている
・風邪が治った後も首の痛みや体調不良が続いている
受診の際は、症状が始まった時期・経緯・以前に上気道炎などにかかったかどうかを医師に伝えると、診断がスムーズになります。血液検査や甲状腺の超音波(エコー)検査などを通じて、正確な診断が行われます。
まとめ
亜急性甲状腺炎は、首の痛みや発熱など日常的な症状と区別しにくいことから、見逃されやすい疾患のひとつです。特に女性に多く、適切な診断と薬による治療が回復の鍵を握ります。症状が気になる方は、自己判断せずに早めに医療機関を受診してください。内科や内分泌内科・甲状腺外来への相談が、回復への第一歩につながります。かかりつけ医がいる場合は、まずそちらへ相談するところから始めてみてください。
参考文献
日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」
日本内分泌学会「亜急性甲状腺炎」
厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル|甲状腺中毒症」
- いしだあゆみさん逝去 既報の「甲状腺機能低下症」の初期症状・発症しやすい人の特徴とは?
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