
44歳、独身、子なし。後悔なんて、1ミリもないはずだった。
中古マンションのリノベーションデザイナー・先山あさみ(44)。
自由で、気ままで、満ち足りた日々。だけど、あの日ほんの一瞬すれ違っただけの女子中学生を見た瞬間、胸の奥から見たこともない感情が溢れ出す。
「なんか、なにか、してあげたいな――」
震災を経て、あまりにも合理的に「3つ」に分断された街。子育て世帯が暮らす、緑豊かな「文教地区」、労働者が集う、自由で便利な「商業地区」、高齢者が老後を過ごす、温暖な「保養地」。
結婚するか、しないか。子どもを産むか、生まないか。知らないうちに足元に引かれていた、決して交わらないはずの境界線。どこまでも他人な私たちは、この冷たい線を越えて、誰かと繋がることができるだろうか。
分断された3つの街に暮らす、交わらない3人の静かな葛藤や情熱を描く「ひとごとごと」 (著・オカヤイヅミ)より、全6話お届け。












