<ザ・ロイヤルファミリー>加藤章一P、5年がかりの大作に汗馬の労「やっと放送までこぎ着けられた」 妻夫木聡、目黒蓮らの起用理由も明らかに

<ザ・ロイヤルファミリー>加藤章一P、5年がかりの大作に汗馬の労「やっと放送までこぎ着けられた」 妻夫木聡、目黒蓮らの起用理由も明らかに

「ザ・ロイヤルファミリー」より
「ザ・ロイヤルファミリー」より / (C)TBSスパークル/TBS

妻夫木聡主演の日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(毎週日曜夜9:00-9:54※初回は夜9:00-10:09、TBS系)が10月12日(日)よりスタートする。同作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真の同名小説を原作に描く、人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー。

大手税理士法人に勤める主人公・栗須栄治を妻夫木が演じる他、佐藤浩市、目黒蓮、松本若菜、沢村一樹、黒木瞳、小泉孝太郎、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠らが出演する。

このたびWEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める加藤章一氏にインタビューを実施。ドラマ化の決め手や制作秘話、キャスト陣の起用理由などを聞いた。

■父との死別による気付き「何かしらを継承している」

――初めに、ドラマ化に踏み切った理由とその決め手について教えてください。

2019年の秋に原作が出てすぐ、知り合いの方から「すごく面白い本だからドラマにできないかな」と原作を渡されたんです。読んでみたら、ストーリーとしても題材としても非常に面白くて。

僕、競馬をやらないので、全然知らない世界をそこで見れて、馬主と牧場、牧場と言っても生産牧場があって育成があってトレーニングセンターがあって、ということも初めて知りました。

作品のテーマになっている“継承”についても、サラブレッドというのは走るために何代も何代もつながっていくというのが非常にすてきだなと思いました。

馬を題材とした話ですが、人間もやっぱり同じで。僕、父親が2年前に亡くなったんです。何もしてあげられなかったなと…。でも、この原作を読んだときに、親がいないと自分もいないし、何かしらを継承しているのだろうなと感じました。

仕事でも、後輩に何かを教えたり次につなげていったりすることが大事ですよね。意識はしていないけど、人と人をつないでいく、つなげていくというのはとても大事だと感じて、ぜひ映像化したいなと思いました。

早見先生に実写化のご相談をしたのは2019年の末で、2020年の頭にはJRAさんに承諾をいただいて実現できるとなったのですが、コロナになって、競馬場も入れないし、撮影できないよねと。そこで一度流れてしまって、動き出したのは一昨年ぐらいなんですよ。

結局足掛け5年かかっていて、それこそ継承という意味でもやめるわけにはいかなくて。なので、なんとかやっと放送までこぎ着けられたのはとてもうれしいですし、安心しています。

――塚原あゆ子監督を筆頭に、演出面ではどのような話し合いや工夫をされていますか?

本当に馬を18頭集めて撮影するのはなかなか厳しくて、やれることとやれないことがあるのですが、場所の制約もあるし、馬の制約もあるし、どういうレース映像にするか、最初は塚原監督も僕もどうしようかといろいろ試行錯誤しました。

実際のレースを見れば感動するかもしれませんが、僕らがやらなくてはいけない一番大事なことは、ドラマのストーリーの中でそのレースがどう作用をするかを考えることでした。

ストーリーの流れの中でのレースの勝敗。どうやって勝つのか負けるのか、誰が勝つのか負けるのか、そこにどんな人間が関わってくるのかをうまく描けるようにレースシーンを考えています。

毎回同じようなレース映像にはしないようにしていて、そこが今も苦労している点です。どうやって馬を撮るかというよりも、ストーリーの中でどううまく感動させたり、一緒に応援できるようにするかといった点を重視しています。

■妻夫木聡の座長としての貫禄「広い視野で作品全体を見ている」
「ザ・ロイヤルファミリー」より
「ザ・ロイヤルファミリー」より / (C)TBSスパークル/TBS


――妻夫木聡さんの起用理由と魅力を教えてください。

妻夫木さんは今回初めて一緒にお仕事をさせていただいたのですが、いつかご一緒したいなとずっと思っていました。今回の企画を立てたときに、元々原作だと、栗須はストーリーテラー的な役割なのですが、ドラマではいろいろなバランスを取って引っ張っていかないといけない役なので、その辺が難しいだろうと予想し、妻夫木さんのお芝居はそういった役に合うのではないかなと思いました。

早見先生と妻夫木さんがたまたま仲が良くて、ドラマ化のお話をしに行ったとき、「妻夫木さんはいかがですか」と早見先生からも言っていただいたので、そこが合致して非常に良かったなと思います。

今回、台本がクランクインの時点で半分以上あって、妻夫木さんとも相談しながら作っているわけですが、妻夫木さんは台本がほとんど頭に入っているんですよ。俳優なんだけど、自分の芝居のことだけを考えているのではなく、もっと広い視野で作品全体を見ていらっしゃり、ストーリーの流れや各話のセリフの流れなどのアドバイスもいただいています。

座長というポジションもあるので、スタッフキャスト全体をまとめていくことに関しても、やっぱり素晴らしいです。また、原作があるので、どのように演じられるか皆さん想像するじゃないですか。でも、その上を行くというか、想像したよりもいいものを出していただけるところはすごいなと思います。

――佐藤浩市さんの起用理由と魅力を教えてください。

佐藤さん演じる山王耕造という役はとても難しくて、今ではなかなかいないような昭和っぽい経営者ですが、そういう役をどなたに演じていただくか考えたときに、本当に怖くて“昭和のおじさん”みたいな人をキャスティングしてしまうと、幅が狭まる可能性があると思いました。

本来の佐藤さんはすごくスマートだし、かっこいいし、逆に佐藤さんにそういった役を演じていただくことで、役柄の魅力が増すと考えました。本当は情に熱くて常に人のことを信用しているという人間性を表現するのにぴったりの方だと思い、オファーさせていただきました。

妻夫木さんもそうですが、お願いしたかった方々に受けていただいて感謝していますし、実際に妻夫木さんと佐藤さんが元々とても仲が良くて、年は親子ぐらい離れているのですが、親子というよりも兄弟っぽいんですよね。その感じが劇中の栗須と耕造の関係にいい意味で作用しています。
「ザ・ロイヤルファミリー」より
「ザ・ロイヤルファミリー」より / (C)TBSスパークル/TBS


■目黒蓮の姿に感動「見ていて涙が出てきてしまった」

――目黒蓮さんの起用理由と魅力を教えてください。

これまで、映画「わたしの幸せな結婚」(2023年)と、「トリリオンゲーム」の連ドラ(2023年、TBS系)と映画(2025年)でご一緒してきましたが、特殊な役ばかりお願いしてきました。そんな中、今回の非常に繊細で、後々物語を左右する大事な役を誰にお願いするか考えたときに、一番最初に目黒さんが浮かびました。

北海道で撮った目黒さんが牧場で馬に触れるシーンは、見ていて涙が出てきてしまって。セリフがないシーンなのですが、非常に良くて、演じていただいて本当に良かったなと思っています。

――原作があり、登場人物がある程度予測できる中で、目黒さんが演じる役を伏せたまま放送を迎えようとしている狙いはどういったところにありますか?

原作がある中で、何もかも言ってしまうと面白くなくなってしまうと考えました。どんな役柄なのか、どういうふうに物語に影響を与えるのかを、純粋に楽しみながら見ていただいきたいというのが狙いです。

妻夫木さんと佐藤さんの昔から出来上がっている空気感があって、それはいい意味で画面上にも出ているのですが、目黒さんがそこに入ったときに、それを壊してくれることを期待しています。3人の新たな空気感がより良いものになる確信があるので、そこを楽しみにしていただきたいと思います。

■“大人がちゃんと夢を語れる”ドラマに――
「ザ・ロイヤルファミリー」より
「ザ・ロイヤルファミリー」より / (C)TBSスパークル/TBS


――今作を通して伝えたいことは何ですか?

馬は本当に純粋で臆病です。こちらがビクビクして近づくと逃げていくし、乱暴な感じならなおさらすぐに逃げていきます。でも、こちらが心を開いてしばらく待っていると向こうから近づいてきてくれて、すごく癒やされるんですよね。

馬が単純に走っているだけ、歩いている映像だけで癒やされるので、ドラマを見て皆さまの気持ちが安らいだらうれしいです。

今、生きづらいとか言うじゃないですか。いろいろな外圧もあるし、悩みもあるし、世界がどんどん変わっていくし、先行きが見えないというか、癒やしがないというか。そういうときに、夢を持ったり何かに熱くなるのは本当に難しいと思うんです。

耕造のように恥ずかしがらずに夢を語ったり、情熱を持ったりするのが、原作も含めて素晴らしい点だと思っているので、視聴者の方に“明日からそういう気持ちで頑張ってみようかな”と思っていただけたらうれしいです。

――最後に、ドラマの見どころと視聴者へのメッセージをお願いします。

競馬を題材にした20年間の継承の物語で、大人がちゃんと夢を語れるようなドラマです。大枠ではエキサイティングな競馬のシーンや熱くなるようなシーンが見どころですが、家族がどうやって再生していくのかや新たなつながりなど、家族の温かさや仲間との絆という部分も楽しんで見ていただきたいです。

誰でも挫折することはあって、つまずくこともあるし失敗することもありますが、それをどう乗り越えていくかということをすてきに描いているので、“継承”という大筋はありますが、どんなに疲れていても明日も頑張ろうと思えるような作品になっていると思います。

競馬を見ていない方がどう楽しめるかを僕らは一番に考えて作ってきたので、全然競馬の世界は分からない、興味がない、という方にも見ていただきたいし、見ていただくことによってどういう世界なのかを分かっていただけると思います。

普段競馬が好きな方たちも、実は裏側をご存じない方も多いのではないかなと思ったり。皆さんが入れないトレーニングセンターの中やファームの中などもこれからどんどん映っていくので、競馬を見たことのない方も、競馬好きでいろいろ知っている方も、新たな視点として楽しんでいただけたらなと思います。
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