
金曜ドラマ「田鎖ブラザーズ」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の第8話が6月5日に放送され、真(岡田将生)と稔(染谷将太)が唯一心を許せる人物・もっちゃんこと茂木幸輝(山中崇)に関する重大な事実が発覚。そして、もっちゃんの衝撃的な運命に視聴者は号泣。Xには悲しみと共に「もっちゃん!!」としか言えないコメントがあふれ返り、「もっちゃん」がトレンド9位になった。 (以下、内容のネタバレを含みます)
■時効になった両親殺害事件の真犯人を追うクライムサスペンス
本作は、時効が成立してしまった31年前の両親殺害事件の犯人を探すために警察官になった兄弟が、日々起こる凶悪事件事件と立ち向かいながら両親の事件の真相を追っていく、完全オリジナルのクライムサスペンスである。
■真と稔が心を開ける唯一の人物・もっちゃん
もっちゃんは、先代から引き継いだ中華料理店「もっちゃん」の店主。田鎖家とは深い付き合いで、真と稔が両親を失った後も常に2人を気にかけ、誕生日にはチャーハンにろうそくを立てて祝ってくれたり、とつらい毎日の中で楽しい思い出を作ってくれた人物だ。周りが全員敵に見えていた兄弟にとって、唯一心を許せる相手で、捜査の内情などももっちゃんの前では平気で話してしまうほどだった。
兄弟には話していなかったが、もっちゃんの母親は、辛島家で現在、家政婦をしている。真と稔は辛島夫妻とは音信不通になっていたが、茂木家は辛島夫妻と実はずっと繋がっていた…。
辛島金属工場は兄弟の父・朔太郎(和田正人)の勤務先で、社長の貞夫(長江英和)は銃の密造にかかわっていた。津田(飯尾和樹)の遺品から辛島の妻・ふみ(仙道敦子)の電話番号のメモが出てきたことで、兄弟は久々に辛島夫妻と接触するようになったのだった。
ふみは、津田のことを知らない、会ったことも無い、と稔に言っていたが、実際は生活費に困った津田が、銃の密造に関する取材ノートを買ってくれ、とふみの元を訪れたこともあった。

■辛島家と田鎖兄弟の板挟みに…
ふみは、真と稔が今でも両親殺害の真相を追い、徐々に核心に近づいていることを知り、もっちゃんに「あの兄弟から証拠盗んできて」と囁き、板挟みになった彼を苦しめた。
もっちゃんは後日、勇気を出して震えながら「子どもの頃から知ってるアイツらを裏切れないです」と、ふみの頼みを断りに行ったが、貞夫に「オレたちは、アイツらが生まれる前からの付き合いだろ。オレたちはどうなってもいいのか?」とスゴまれてしまった。
貞夫に怒鳴られ、怯えるもっちゃんを慰めるように、ふみは彼の母親の写真を「よく撮れたから」と言って手渡した。だが、これは暗に母親を人質にとっていると言っているようなものだ。ふみは「みんなが幸せになる為(証拠を盗め)」と優しい中にも有無を言わせない口調で告げ、どうしたら良いのかわからなくなった彼は、ただ泣くしかなかった。
もっちゃんは、証拠をせがむふみに「何も無かった」と告げた。だが彼女は「どうしてもあの兄弟を守りたいのね」と、彼の心を見透かすように告げた。そして、ふみはもっちゃんの母親に暇を出した。決して裕福ではない茂木家で、収入の1つを失うのは大きな痛手だ。ふみはどこまで彼を苦しめるつもりなのか。

■“あの一家”を“処理”したのは…
真と稔は、津田のノートを小池(岸谷五朗)に奪われ、真相解明の手がかりを失って八方塞がりになっていたが、“五十嵐組の掃除屋”がページを写真に撮っていたことを知り、内容を読むことができた。
そこには、辛島と五十嵐組の銃売買のトラブルを片付ける為に「“あの一家”を処理」できたら、その交換条件として、五十嵐組が蓬田町の立ち退きから手を引くことが書かれていた。
真は、“あの一家”とは田鎖家のことだと推測。それを“処理”したのは、立ち退きの範囲に入っていた中華料理店の息子…つまりもっちゃんだった…。
立ち退きを拒んだ畳店の店主が殺されており、もっちゃんの母親も狙われていた可能性がある。店と母を守る為に、もっちゃんは“処理”をするしかなかったのかもしれない。
稔は「もっちゃんだぞ!?そんなのできるわけない」と激しく動揺。「津田のメモにはそう書いてある」と言う真に、「もっちゃんが嘘をついてるって言うのかよ!もっちゃんより津田を信じるのかよ!」と、激怒してその場を去っていった。

■「何かオレに話さなきゃいけないこと、無い?」
翌朝、稔が自宅で津田のノートを読んでいると、もっちゃんが食材を持って料理を作りにやって来た。手伝う稔に、昔話を楽しそうにするもっちゃん。そんな彼に、稔は「何かオレに話さなきゃいけないこと、無い?」と思いきって尋ねた。もっちゃんの手が止まった。
しばらく沈黙した後、「別に無いけど」と答えた彼に、稔は「ごめん。ヘンなこと聞いて…」と言って、足りない食材を買いに出かけた。外に出た稔は、こらえきれず嗚咽。ずっと信じてきた大好きなもっちゃんが嘘をついている…31年間憎み続けていた両親殺しの犯人が、大好きなもっちゃんかもしれない…。これまで感情を表に出さなかった稔が、しゃがみこんで泣き続けた。

■「もう気付いてると思います…」
しばらくして稔が帰宅すると、もっちゃんの姿は無く、出来上がった料理が置かれていた。稔が自室に行くと棚の扉が開いていた。中にある銃が隠されていたロボットを取り出し、開けてみると…銃が消えていた。
もっちゃんは、辛島家に行き、ふみに「もう気付いてると思います…。今度2人に会う時はきっと…」と言って「もう終わりです」と泣き崩れた。ふみは「もう30年以上も前のことで、ほとんど記録も残っていないし、わかるわけない」と、彼の両手を握り「大丈夫。みんなの幸せは変わらない」と言い聞かせるように語った。
だが、泣き止まないもっちゃんがカバンから銃を取り出して机に置くと、ふみの顔色が変わった…。

■金属熱傷の白いやけど跡
その夜、帰宅した真は、工場での火災の時、消火器を取りに行ったもっちゃんは、そのまま意識を失いやけどを負ったが、その間の彼の様子を知るのは、辛島夫妻だけだ、と稔に告げた。
そして事件当時の地図を出して、田鎖家から走れば消防車の到着前に工場まで何とか戻れるのだと語り、工場内のアルミや亜鉛のスクラップが火災の爆発で飛散した記録があることも伝えた。
すると稔は、もっちゃんが金属熱傷に着目し、爆発時に工場に居たなら今でも白く残った傷跡が残っているはずだ、と言った。それが無ければ、工場の火災とは違う原因でやけどを負ったことになるのだ、と。
あれほどもっちゃんを疑いたくないと言っていた稔の態度が変わったことに戸惑う真に、稔は、銃をもっちゃんが持っていったことを告げた。

■「本当に……長かったな…」
真と稔は、もっちゃんを銭湯に誘った。2人は、脱衣場の鏡越しに服を脱ぐもっちゃんの背中を見つめていた。彼の背中にはケロイド状のやけどの跡があったが、白くはなかった。一筋の望みが、絶たれた…。
絶望して立ちつくしている2人に「どうした?」と声をかけたもっちゃんに、真は「もっちゃん…歳とったな」と精いっぱい平静を装って、言葉を絞り出した。稔は黙ったままだ。もっちゃんは「オマエらだって、そのうちこうなるぞ」と笑った。
3人で風呂につかりながら、もっちゃんが「何か、うれしいな」と言った。3人で風呂に入るのは、今日が初めてだ。「付き合い長いけど、無かったもんな」と言った真に、「本当に……長かったな…」と、もっちゃんはこれまでの3人の思い出をたぐるように呟き、目を潤ませた。
「今度2人に会う時はきっと…」と言っていたもっちゃん…。心のどこかで覚悟していたのだろう。彼は静かに涙を流した。真の目からも涙が溢れる。稔は、顔を洗うフリをして涙をごまかした。3人はそれぞれの思いを抱えながら黙って湯船につかった。

■上がった変死体
翌朝、真宛てに小包が届いた。差出人は「茂木幸輝」。決して上手くはないがていねいに書かれた、もっちゃんの人柄が表われている文字だ。箱を開けると、もっちゃんがふみに渡したはずの銃と手紙が入っていた。
その頃、稔は県警で男性の変死体が上がったと報告を受けていた。遺体安置室に向かうと、刑事が「遺体は、茂木幸輝さん。62歳です」と告げ、収容袋を開けると、もっちゃんが横たわっていた。
「もっちゃん?」。稔は震える声で遺体に呼びかけ、勤務中にもかかわらず涙を流した。
銭湯のシーン、そしてあまりにも残酷な展開に、視聴者も号泣。「つらすぎて見てられない」「もっちゃんー!!」「悲しすぎて立ち直れない」など、もっちゃんの死を悲しむ声がXにあふれ返り、放送終了後も「もっちゃん」はトレンドの順位を上げ続け、9位になった。
視聴者は、「犯人は、もっちゃんかもしれない」と思いながらも、不器用だけど真面目に働き、頼りない面もあるが優しいもっちゃんが、真や稔と同じように大好きだった。もっちゃんの死は、ドラマの枠を越えて喪失感を与えた。
もっちゃんは、良心の呵責から自ら命を絶ったのだろうか。彼は少し前に、訪れた人物に「よろしくお願いします」と頭を下げていた。机には、店の権利書や高齢者施設のパンフレットが置かれていた。年老いた母を残して自殺するなんて親不孝なことをするとは思えない。自首を決めていたのではないだろうか。「変死体」と言われていることから、自首に感づいた何者かに殺された可能性も大きい。それに、もっちゃんが両親を殺した決定的な証拠も今のところ無い。
次回予告で、真が「これ以上弟を傷つけないでください」と言っていたが、もっちゃんが実は犯人でなければいいと願ってやまない。稔も真もこれ以上傷つくのは、あまりにもつらすぎる。
◆文=鳥居美保


