「亜急性甲状腺炎」の症状は“3つの時期”で変化―不安解消のために把握すべき経過

「亜急性甲状腺炎」の症状は“3つの時期”で変化―不安解消のために把握すべき経過

亜急性甲状腺炎の症状は、炎症の時期によって変化します。初期の「甲状腺中毒症期」には動悸・発汗・体重減少などが現れ、炎症が落ち着いてくると疲労感やむくみが目立つ「機能低下期」へと移行することがあります。症状の流れを事前に知っておくことは、過度な不安を和らげることにもつながります。発症から回復までの大まかな経過を確認しておきましょう。

久高 将太

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

亜急性甲状腺炎の症状:炎症が身体に与える影響

このセクションでは、亜急性甲状腺炎がどのような症状を引き起こすか、またその症状がどのように変化していくのかについて解説します。

甲状腺中毒症期にみられる症状

亜急性甲状腺炎では、炎症が起きることで甲状腺ホルモンが過剰に血液中へ放出されます。この「甲状腺中毒症」の時期には、以下のような症状が表れることがあります。

・動悸(心臓がドキドキする感覚)
・手の震え
・多汗(汗をよくかく)
・体重の減少
・疲労感・脱力感
・首の前側の痛みと腫れ
・発熱(37〜38度台が多い)

これらの症状はバセドウ病の症状と似ている部分がありますが、亜急性甲状腺炎では首の痛みが特徴的であること、また自然に経過が変わっていく点がバセドウ病との大きな違いです。甲状腺の超音波検査や血液検査によって、両者を区別することが可能です。

機能低下期にみられる症状

炎症が落ち着いてくると、甲状腺ホルモンの分泌量が低下する時期(機能低下期)に移行することがあります。この時期の主な症状には、以下のようなものが挙げられます。

・強い疲労感・眠気
・むくみ(顔や手足のむくみ)
・寒がりになる
・便秘
・気分の落ち込み
・体重の増加

甲状腺機能低下期の症状は、更年期症状や単なる疲労と混同されやすく、見過ごされることがあります。多くの場合、機能低下期は一時的なものであり、数ヶ月以内に甲状腺機能が回復することが多いとされています。ただし、回復の経過は個人差があるため、定期的な血液検査でホルモン値を確認することが大切です。

症状の経過と回復のプロセス

亜急性甲状腺炎の症状経過は、大まかに以下の流れをたどります。

1. 発症初期:発熱・倦怠感・首の痛み(甲状腺中毒症の症状も現れやすい)
2. 中期(機能低下期):甲状腺ホルモンが低下し、疲労感・むくみなどが出やすい
3. 回復期:甲状腺機能が正常に近い状態に戻っていく

発症から回復まで、数ヶ月程度かかるケースが多く、個人差があります。炎症の程度や治療のタイミングによっても経過は異なります。一部の方では、甲状腺機能が完全には回復せず、長期的に機能低下が続くことがあるとされていますが、その頻度は高くはありません。経過をきちんと追うためにも、症状が落ち着いた後も定期的に医療機関でフォローアップを受けることが望ましいといえます。

まとめ

亜急性甲状腺炎は、首の痛みや発熱など日常的な症状と区別しにくいことから、見逃されやすい疾患のひとつです。特に女性に多く、適切な診断と薬による治療が回復の鍵を握ります。症状が気になる方は、自己判断せずに早めに医療機関を受診してください。内科や内分泌内科・甲状腺外来への相談が、回復への第一歩につながります。かかりつけ医がいる場合は、まずそちらへ相談するところから始めてみてください。

参考文献

日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」

日本内分泌学会「亜急性甲状腺炎」

厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル|甲状腺中毒症」

配信元: Medical DOC

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