泣いて嫌がる幼児の顔にホールケーキを何度も押しつける動画がSNSに投稿され、波紋を広げている。
RKB毎日放送(6月10日)によると、福岡県警は暴行容疑での立件を視野に捜査を始めたという。
また、読売新聞オンライン(同日)は、福岡県内の児童相談所が児童福祉法に基づき幼児を一時保護したと報じている。幼児にけがはなかったという。
動画では、女性が泣いて嫌がる幼児の顔にケーキを押し付けており、SNSでは5日以降に「虐待ではないか」との批判が相次いだ。
報道によると、警察には数十件、児童相談所には約200件もの通報が寄せられたという。
動画に映る女性が保護者かどうか明らかになっていないが、仮にこのような行為をした場合、どのような罪に問われる可能性があるのか。西口竜司弁護士に聞いた。
●「暴行罪にあたる可能性は極めて高い」
──今回の動画のように、泣いて嫌がる幼児の顔にホールケーキを複数回押しつける行為は、どのような罪に問われる可能性がありますか。
まず、このような出来事が二度と起きないことを願うばかりです。
今回の行為は、暴行罪に該当する可能性が極めて高いと考えます。
刑法上の「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力の行使をいいます。殴る、蹴るといった行為だけでなく、今回のように嫌がる子どもの顔にケーキを何度も押しつける行為も、身体に対する不法な力の行使であることは明らかです。
「お祝いのいたずらの延長」という言い訳は通用しないでしょう。
被害者が泣いて嫌がっていることに加え、それが複数回繰り返されていることからも、本人の意思に反する不法な暴行と評価される可能性が高いと考えられます。
──仮にケガをさせていたらどうでしょうか。
その場合は傷害罪(刑法204条)の成立も検討されます。
報道では「幼児にけがはなかった」とされていますが、たとえば目や鼻にクリームが入り、炎症を起こした場合や、精神的ショックによってPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状が生じた場合には、「生理的機能を害した」として傷害罪が成立する可能性があります。
さらに仮に女性が母親などの親権者や保護者であった場合には、児童虐待防止法上の「身体的虐待」に該当する可能性があります。身体的虐待は、実際に外傷が生じていなくても、「外傷が生じるおそれ」があれば認定され得ます。
児童相談所が迅速に一時保護に踏み切ったことについては、子どもの安全確保という観点から、妥当かつ必要な措置だったということになるでしょう。
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。Xリーグ選手でもある。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/

