久しぶりに夫と義実家へ帰省したときのことです。玄関に入った瞬間、思わず顔を見合わせてしまうほどの強いニオイが漂っていたのですが、義父母はまったく気にしていない様子。私たちだけが違和感を覚える中、夫が義父に尋ねると、思いもよらない原因が見えてきたのです……。
義実家に漂う謎のニオイの正体は
義実家の玄関に入った瞬間、ふわっと強いニオイが鼻をつきました。リビングに進むにつれて、その香りはさらに濃くなっていきました。甘いような、草っぽいような、何とも言えない独特のにおいです。私は思わず息を浅くし、隣にいた夫のほうを見ました。
夫も同じことを感じたようで、眉をひそめながら小さな声で言いました。
「……何か、におい強くない?」
私も小さくうなずきました。けれど、義父母はまったく気にしていない様子です。義母はいつも通りお茶を出してくれ、義父もテレビを見ながらくつろいでいました。
私は遠回しに、「最近、何か香りの強いものを置いていますか?」と聞いてみました。
すると義母は、「そう? 何か臭う?」と本当に不思議そうな顔をしました。義父も「別にいつも通りだと思うけどなあ」と首をかしげています。
私と夫にとっては、部屋に入った瞬間から気になるほどのニオイだったのに、義父母はその家で毎日過ごしているせいか、まったく気づいていないのです。
義実家に来てすぐ「においがきついです」とは言いづらく、私たちはしばらく我慢していました。けれど、リビングに座っているうちに、独特のにおいがどんどん鼻に残るような気がして、どうしても落ち着きません。
夫も何度か鼻に手を当てたり、私のほうをちらっと見たりしていました。しばらくして、夫が少し言いにくそうに義父へ尋ねました。
「父さん、最近何か作ったり置いたりしてない? 香りのあるものとか」
すると義父は、少し考えてから「ああ、もしかしてあれかな」と立ち上がりました。義父がリビングの棚の上から持ってきたのは、小さな容器に入った手作りの消臭アロマでした。
聞けば、義父は最近、家のニオイ対策になると聞いて、アロマオイルに重曹や乾燥ハーブを混ぜた消臭アロマを作っていたそうです。玄関やリビング、洗面所など、家のあちこちに置いていました。
ところが、香りの強いオイルを入れすぎたうえ、混ぜたハーブのニオイも重なって、私たちにはかなり独特なニオイに感じられたのです。夫が「これ、かなりにおい強いよ」と伝えると、義父は驚いたように目を丸くしました。
「そうなのか? いいニオイだと思って置いていたんだけどなあ」
義母も容器をひとつ手に取り、「毎日いるから気づかなかったのかも」と笑いました。
義母がリビングや玄関に置かれていた容器を集めてくると、思っていた以上の数が出てきました。
夫が思わず「これは置きすぎだよ」と言うと、義父は少し照れくさそうに苦笑いしました。
「よかれと思って作ったんだけど、やりすぎたか」
その一言に、みんなで笑ってしまいました。
義父に悪気があったわけではなく、むしろ家を快適にしようとしていたのだと思います。その後、義母が容器をいくつか片付け、窓を開けて換気してくれました。しばらくすると香りも落ち着き、私たちは安心して過ごせるようになりました。
それ以来、義実家へ行くと義父が「今日はにおい、大丈夫か?」と気にかけてくれるようになりました。
この一件で義家族との距離が少し縮まった気がします。義父の少し空回りした気遣いも、今では思い出すと笑ってしまう出来事です。
著者:国崎伊那/30代女性/2歳と4歳の姉妹の母。韓国ドラマ好き
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)

