子どもを出産したあと「産後うつ」に陥ったり、「育児困難」になったりすることで、大きなストレスを抱えてしまう人がいます。そうなってしまうと、本人はもちろん、子どもや周囲の人たちもみんな不幸になることもあります。そんなことにならないよう、産後うつ・育児困難を上手に乗り切るコツをあおきメンタルクリニックの青木先生に教えていただきました。

監修医師:
青木 豊(あおきメンタルクリニック)
1985年国立山口大学医学部卒業。その後2003年まで東海大学医学部精神科学教室に所属。ルイジアナ州立大学精神科にて乳幼児精神保健の専門家になるためのハリスフェローシップを取得。11年4月~22年3月目白大学人間学部子ども学科および目白大学大学院生涯福祉研究科生涯福祉専攻修士課程の教授として ご専門の乳幼児の精神医学・保健について教鞭。2018年11月あおきメンタルクリニック代表。東京医科歯科大学非常勤講師、早稲田大学社会的養育研究所招聘研究員、東海大学医学部非常勤講師、チャイルドファーストジャパン理事など。
編集部
産後うつや育児困難を乗り切るにはどうしたらよいでしょうか?
青木先生
大事なのは適切な治療と周囲のサポートです。不眠や抑うつ感などの症状があれば、ぜひメンタルクリニックを受診してみてください。産後うつに関しては、抗うつ剤の服用が効果的な場合もあります。
編集部
抗うつ剤のほか、どのような治療法があるのですか?
青木先生
精神・心理療法(カウンセリング)という治療法もあります。育児困難やそのストレスによる産後うつの場合、現在もっとも効果のある精神・心理療法として、「乳幼児―親精神・心理療法」というものがあります。また、認知行動療法や対人関係療法などの治療が功を奏すこともあります。
編集部
医療機関における治療のほかには、どのような解決策が考えられますか?
青木先生
夫や親の協力を得て、環境を調整することも必要です。育児や家事の負担を減らす、休憩時間をしっかり取る、いつでも相談できる人を見つけておくといったことで、症状の改善につなげることができるかもしれません。
編集部
周囲に頼る人を見つけるなどして、自分の負担を減らすことが大事なのですね。
青木先生
育児は母親1人でやるべきものではありません。一方で、そのように「人に頼るのが苦手」という方もいますが、それ自体が、自身を苦しめる状況を作ってしまうこともあります。上記のカウンセリングでは、そういったことから解放されるようになることを目標にする場合もあります。
編集部
カウンセリングは子育ての問題だけでなく、生きづらい環境を作り出している自分自身の問題にも踏み込むことがあるのですね。
青木先生
はい。産後うつや育児困難を解決するために大事なのは、「子どもにとって完璧な母でなければならない」という気持ちを手放すよう、努力することです。「子育ては思い通りにいかない」「完璧にできなくても大丈夫」というように、考え方を少しずつシフトしていくことを意識しましょう。実際、この世に完璧な母、父などいないと思います。「ほど良い」母、父であれば大丈夫です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
青木先生
妊娠、出産、育児は、その方の人生にとってかなり特異的な時期です。多くの喜びと困難が生じえます。そして、人間として大きく成長できる時期でもあります。産後うつや育児困難が生じても乗り越えることはできますし、その方の過去から積み残した葛藤からの解放のチャンスでもあります。育児に関するトラブルや困りごとを専門で扱うメンタルクリニックや医療機関もたくさんありますから、ぜひ困ったことがあればそうした専門機関にご相談ください。
※この記事はメディカルドックにて<「産後うつ」「育児困難」にならずに子育てを上手く乗り切るコツを医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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