●「おっぱいケーキ」は虐待にはあたらない可能性が高い
このうち問題となりうるとすれば、(2)性的虐待と(4)心理的虐待だ。
まず、性的虐待は「児童にわいせつな行為をすること」など、直接的で具体的な性的行為を指す。単に特定の形をしたケーキを食卓に出しただけで、これに該当するとは考えにくい。
また、心理的虐待は「児童に著しい心理的外傷を与える言動」を指すが、提供の意図や状況、子どもの年齢や反応を考慮しても、一般的には「著しい外傷」や「健全な発達の阻害」とまでは言えないだろう。
したがって、児童虐待防止法上の「虐待」に該当する可能性は低いと考えられる。
●法的に問題なしでも「親の配慮」は不可欠
ただし、法的な虐待にあたらないからといって、親の配慮が不要になるわけではない。
子ども本人が嫌がっているのに無理に出すなど、親の判断や説明が不十分であれば、子どもの自己肯定感や性に対する感覚に悪影響を及ぼす可能性もある。
性にまつわる表現物をどのように扱うかは、家庭や文化によっても差がある。
「おっぱいケーキ」をめぐる騒動は、単なる炎上ではなく、子どもへの配慮や性教育のあり方を考える契機として受け止めるべきだろう。

