俳優・佐津川愛美さんによる本サイトの連載「いつまで自分でせいいっぱい?」が『今日も、自分を生きる練習』とタイトルを変え、書籍になりました。連載回数100回を超えるなかから厳選した文章に加え、連載時には明かされていなかった2年間にわたるホテル暮らしについてなど書き下ろしも多く収録されています。悩み、迷い、揺らぐ気持ちをまっすぐに見つめる誠実な言葉が胸を打つ初エッセイ集より、「はじめに」と「目次」をお届けします。

はじめに
ご縁をいただき、いわゆる芸能界というところに、14歳で入った。
何故だろうか。事務所に所属させてもらった瞬間から、いい子でいなきゃと、勝手に自分を縛るようになった。誰に言われた訳でもないのに。怒られないように、気をつけてきた。世の中全てに、大人に、どこか警戒していた。
そんな中で出会った、初めての映画の現場。
それがとにかく楽しくて、映画に携わっていきたいと思った。その気持ちだけは、心の支えのようにあり、お芝居を続けている理由でもあった。
ずっと、仕事が第一優先の人生だった。
当たり前のように、自分の予定を入れるという選択肢はなく、全ては仕事のためにある、と言わんばかりの日々。仕事に影響しないように、プライベートでも、あまりはしゃげなかった。
小さな場所で生活しながら、心は大荒れ大混乱。よくもまあ、そんなに悩めるわねぇと、自分に感心してしまうほどの10代、20代を経て、私は30代になった。ようやく、自分を知ろう、というより、自分を許そうとしている気がする。
10代の頃からたくさんの気持ちを文章にしてきた。このエッセイの連載も仕事として、月2回の締切にずっと向き合ってきた。でも、もしかしたらそれは仕事ではなく、今の自分を感じ、曝け出す練習でもあったのかもしれない。吐き出し、確かめていたのだろう。
何かを。それでもまだ、永遠に気持ちは出てくる。
これは、少しだけ自分と一緒に過ごせるようになった、30代の私の日常物語。
あなたの世界と、私の世界。比べたり、面白がったり、怒ったり、笑ったりしながら、読んでもらえたら嬉しいです。
◆目次◆
はじめに
1 演じる仕事
・マナーレッスン
・撮影中のナイトルーティン
・眠れない夜の大発見
・咳と本番
・大雪撮影
・公開中止に思うこと
・私の仕事場
・14歳で出会った監督
・人生にワクワクするってこういうこと?
2 旅を知る
・ウィーンで出会った80代のご夫婦
・パスポート物語
・パリでドキっとしたこと
・リリーの代わりに家を守る
・思い込みのりんごジュース
・空港で、9時間
・一人旅の心得
・それぞれの違う良さ
3 生活がしたい
・暮らすことへの興味
・ぞうきんがけ
・最高の1人時間
・渋谷でもらった「一生忘れない」
・マックで出会ったおつねさん
・ビジネス街のお昼どき
・2年間のホテル暮らし
4 自分は続く
・役のためだけではなく
・何が大切か
・休み続けた2023年
・自分の気持ちはどこにある?
・あの頃すきだったもの
・おじさんとおばさん
・がんばれ愛ちゃん!
おわりに

