
ホラーや都市伝説系の漫画を得意とする三ノ輪ブン子(@minowabunko)さんの作品『鬼の居る間にわたしたちは』が注目を集めている。東北地方に今も残る、未婚の死者を弔う死後婚「ムカサリ絵馬」を題材とした本作について、作者の三ノ輪ブン子さんに制作の裏側を聞いた。
■日常へ侵食する死後婚の恐怖



主人公の女子高生・螢は怪異が見える体質だった。あるとき転校してきたあざみの肩に凶悪な怪異が取り憑いており、それをきっかけに2人は仲良くなる。
それから2週間が経ったある朝、あざみを追って前の学校の男子生徒が校門に押しかけ、交際を迫ってきた。異常なほどにあざみに執着する彼のストーカー行動は徐々にエスカレートしていく。螢が「生き霊とかになられたら困る」と心配していた矢先、事件が起き、主に山形で江戸時代から残る「ムカサリ絵馬」絡みの展開へと進んでいく。この風習には亡くなった人の相手に生きている人の姿を描いてはいけないという掟があり、実在する人を描くとあの世に連れていかれてしまうと言い伝えられている。
■生と死のあいまいな境界線
本作でこの風習を取り上げた理由について三ノ輪ブン子さんは、「元々フランスの漫画アプリに掲載されていた作品なので、なにか日本らしいホラーにしたいなと思ったのがきっかけです。死者と生者を同じように対等に扱うのが日本らしいなと」と語る。さらに、「調べてみるとほかの国にも似たような風習はあり、さらにフランスはなんと死者との結婚が認められている国でした!」と驚きを明かした。
ストーリー終盤、新郎姿の男子高校生の目がうっすら開くシーンのこだわりについては、「『なぜ目が開いたのか』に明確な答えはありませんが…。死者と生者の境目が常にあいまいで混じり合うところが、日本のホラーの好きなところです」という。続けて、「彼も死んでしまったからといって彼の思いや存在まで死んでしまったわけではないので、その辺りの何が生きていて死んでいるのかわからないあいまいな世界を、あのシーンで描けていたらいいなと思います」と、作品に込めた意図を語ってくれた。
取材協力:三ノ輪ブン子(@minowabunko)
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