
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、シグリオさんが描く『五日間ボタン』をピックアップ。
シグリオさんが5月14日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、4,000件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、シグリオさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■“五日間ボタン”を手にした男性の末路

シルクハットをかぶった怪しい男に“五日間ボタン”を受け取った男性。“五日間ボタン”を押すと何もない空間へ飛ばされ、そこで五日間過ごすと元の時間へ戻り、1万円がもらえるという。
興味本位で押してしまった男性は、真っ暗な何もない空間に飛ばされる。恐怖と共に震えながら過ごした男性だったが、五日後元の時間と場所に戻り一万円を手に入れる。
その後このボタンで何ができるか夢中で試していたが、今の自分にはさほど必要のない物だと結論づける。そして、いつか必要になる時にまで保管しておこうと思ったその時、トラックに轢かれそうになる。反射的にボタンを押してしまった男性だったが、五日後同じ時間・場所に戻ることを思い出し怯える。五日後、現実世界にもどり再度ボタンを押した男性だったが、この行為に意味があるのだろうか、と絶望するのだった…。
作品を読んだ読者からは、「最後のコマの絶望感が凄い好き」「これ世にも奇妙な物語感がある」「自分の意思で苦しみ続ける系のホラーいい」など、反響の声が多く寄せられている。
■作者・シグリオさん「こだわった点は、人によって解釈が異なるという絶妙な構成」

――『五日間ボタン』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
五日間ボタンは、元ネタの五億年ボタンから派生した上で、最もカジュアルかつ最悪な代物ができないか試行錯誤した上で考え付きました。
ネタ自体は随分前に思いついたものの、その頃は5ページ縛りでショート漫画を描いていたこともあり、このネタを5ページで纏めることができずにお蔵入りにしていました。
すると、近日オモコロさんのYouTube動画で五億年ボタンについて語る回があり、その動画が面白かったことから五日間ボタンを描きたかったことを思い出したのです。
そしてページを大幅に増やした上でドラマティックに描けないかと考えて、今作が生まれました。
好評で良かったです。
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
こだわった点は、人によって解釈が異なるという絶妙な構成です。
リプライや引用リポストでたくさんコメントをいただいたのですが、各人によって様々な解釈がなされて面白かったです。
具体的には、ボタンを押しまくり札束を大量に出してクッションにするであるとか、ボタンを押してる暇があったら逃げられたのでは?とか、そもそもぼさっと歩いてて車に轢かれたのが悪いとか。
本当にたくさんの解釈があって面白かったです。
私の漫画のオチは、特にひねりもなく死んで終わるのですが、あれはわざとそうしたのです。
そうすればいろんな人がいろんな解釈をするだろうと考えていました。
結果的にたくさんの感想をいただくことができて楽しかったです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
あの漫画はボタンを押すごとに1万円が出るという仕組みなのですが、私としては、結局死ぬことは変わらないのにボタンを押してしまう、それによって死の恐怖に苦しむ時間が増えて、余計に辛い思いをする。それがわかってるのにやっぱり押してしまうという無情感を、ラストの大量の一万円札が散らばってる様子から察することができると言うオチが気に入っています。
それと、ボタンをくれる帽子の人が居るのですが、ラストであの人が多眼の化け物であることが明かされ、人間の苦しむ姿をエンタメにしている上位存在が沢山いるというのが示唆されています。
五億年ボタンから五日間ボタンにすることでタイパを良くして視聴者を楽しませているという描写があり、それによって上位存在の中でもショート動画みたいな気軽に楽しめるコンテンツが流行っているという、彼らの生態が垣間見える部分がとても気に入っています。
結局、人間も上位存在も本質は変わらないのかもしれませんね。
――シグリオさんは、本作以外にも長編作品『恋の在り処はアルマジキ』や多くの短編作品を描かれていますが、普段漫画作品を描かれる際、作品のストーリーやキャラクターなどはどのようなところから着想を得ることが多いですか?
短編や長編など様々な漫画を描いているのですが、私としては作品に対する着想自体はシンプルなものです。
一つのアイディアからどんどん膨らませていくと言う構成で物語を考えており、いわゆる"行き当たりばったり"だったりします。
その時その時によって思いつく内容が変わったりするので、そういうライブ感が漫画の面白さにつながっているのかなと考えています。
今回の五日間ボタンの漫画で言うと、ボタンをくれる人が多眼の化け物であることは最後の方で急に決めたことで、序盤に登場した時は普通に人間のつもりでした。
こうやってその時その時によって展開をコロコロ変えるのはかなり危険な行為なのですが、この時過去の描写を振り返って矛盾が生じないレベルで話を動かしていくと言うのが、ゲームの縛りプレイみたいで面白いんですよ。
これにより、ネーム制作自体が"描いてみないとわからない"と言う、スリリングな作業となって非常に楽しいのです。
――シグリオさんご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
前述した通り、私は『恋の在り処はアルマジキ』と言う長編漫画を描いているのですが、これは誰に頼まれたわけでもなく、私個人が描きたくて描いている漫画になります。
この漫画を有名にすることが最終目的であり、その為に読みやすいショート漫画をたくさん描いて宣伝しようと考えています。
その中で私が一貫して大事にしている部分が、読者を飽きさせない巧妙な構成にあります。
ショート漫画を読むことで「この人の長編はどんな感じなんだろう?」って思わせることができたら良いなと思っているのです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
コンテンツが多様化した昨今において、自分の漫画を読んでくれる方がいるというのはとても貴重なことです。
ですので、今回の五日間ボタンの漫画は、私のことを知らなかった数多くの人に知ってもらうきっかけになったので、とても価値があったと思います。
今後も絶え間なく作品を発表し続けることで、私の漫画を読むことを習慣化していただき、末永く楽しんで貰えると嬉しいなと考えています。
今回は私の漫画およびこの記事に興味を持っていただきありがとうございました。
みなさんのおかげで創作ができていると思います。
今後もよろしくお願いします。

