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【ネタバレあり解説】マイケル・ジャクソンは毒親の呪縛からどう抜け出そうとしたのか? 賛否両論の伝記映画『Michael/マイケル』

【ネタバレあり解説】マイケル・ジャクソンは毒親の呪縛からどう抜け出そうとしたのか? 賛否両論の伝記映画『Michael/マイケル』

ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、ネタバレ上等な私見&本音でおすすめしますよ〜。

よしひろさん、「きのう何観た?」
『Michael/マイケル』

story 兄弟グループ“ジャクソン5”は大ブレイクを果たし、ジャクソン家は一躍芸能スター一家に。青年に成長したマイケル(J・ジャクソン)は、天賦の才能を解き放つべく、ソロアーティストとしての活動に軸足を移そうとするのだが……。
監督:アントワン・フークア/出演:ジャファー・ジャクソン、ニア・ロング、コールマン・ドミンゴ、ジュリアーノ・クルー・ヴァルディ、マイルズ・テラー ほか/配給:キノフィルムズ/公開:現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
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MJが毒親の呪縛をどうするか問題

超いいタイミングで来日キャンペーンをしてくれたおかげもあって、盛り上がってまいりました、MJことマイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael/マイケル』。なんせMJの甥でジャーメインの息子・ジャファーが主演のうえに、83年にMJ自身が設立して彼のMVなどをずっと手がけているオプティマム・プロダクションズ(現在はMJの遺産管理財団が運営)が製作に入っている、いわばMJに関わった人たち公認の伝記映画(といいつつ、ジャネットは参加してないらしいんですけどね)。


 

「今夜はビート・イット」のMV撮影シーン。MTV時代を代表する一作ですわね。

本国アメリカの興収はすでに3.5億ドル超、世界興収はもうちょっとで9億ドルってところまできているから、最後の公開国となる日本でヒットしたら全世界のトータルは9億ドル超え間違いなしって言われております。ちなみにこの成績、現状では2026年興収ランキングで2位でございますのよ(1位はなんと『スーパーマリオギャラクシー・ザ・ムービー』の10億ドル超えなので、実写ではマイコーがトップ)。話題と成績だけでも、今年上半期を代表する作品で、このままいけばアワードシーズンにも関わること間違いなし。……ですがー、賛否出てるのよね。否定的に言ってる人たちの気持ちも分からないではないんだけど、この映画に対しては論点違いますので、そこをつっついちゃいます。

とりあえず言えるのは、こういう人を『不世出のスター』っていうのねー、ってこと。MJって神格化され過ぎてしまったことから、イメージがひとり歩きしてるじゃない。それがよ。この映画を観るとよ〜く分かるの。ジャクソン5時代の歌声からも分かる通りもともと天賦の才を持っていたことや、プロになってからの彼があらゆる天才たちとの出会いによって才能フルスロットルでターボ運転してたことが。こんな人、ほとんどいないわ……(似て非なるのがプリンスやマドンナですが、彼らの場合、家族の呪縛がMJほどはなかったはず)。ポップスターって本人の才能はもちろん必要だけど、まわりがガッチリと守りを固めているし、それゆえにプレッシャーや自由が制限された生活で潰れちゃったり、逆に才能に溺れすぎて周囲をドン引きさせることも多々。だけど、MJは自分の才能に溺れず、自分の身は自分で守るという術を得て、ひたすら自分のやりたいことを追求してたのね〜、ってのが、この映画の本筋です。


 


それを邪魔、というか、別のベクトルでの成功維持をしようとしてたのが、お父ちゃんのジョセフ。彼のステージパパぶりが横暴で、教育と称した虐待もあったって話はけっこう有名だったんだけど、映像で見せられると、もうゲンナリ。こんな毒親が家にいるだけで恐怖でしかないし、子どもの人生を支配しようなんてもってのほか。たしかにMJやジャネットが成功したきっかけを作り、きょうだいの才能を世間に知らしめた功績や、人種差別吹き荒れる60年代に「音楽だったら成功の道がある」と見出したことは、すごいと思うのよ。ただ、やり方がゲスい。もー、パワハラ・モラハラ・DVなんでもござれ。カネが転がり込んでくるようになってからも、「俺が仕切る!」ってMJを手放さないし。そりゃーMJだって弁護士雇うわ……。この映画は「毒親の呪縛からどう抜け出そうとしたか」っていうお話なの。これだけでも今制作される理由、ありありよ。

こんばんは、毒親です。

さて、否定的なご意見の多くは、児童への性的虐待疑惑への言及がないこと。いや……あのですね、この映画、60〜80年代まで、MJの活躍でいうとジャクソン5の活動開始から「BAD」ツアーまでしか、描かれてないんですよ。あの疑惑は93年の告発による騒動と03年のドキュメンタリー番組をきっかけにした刑事裁判が主たるネタ元(どちらもじつは解決済み)。だからといってグレーじゃん! という人たちがいることも分かるんですが、そもそもこの映画がその時代の伝記じゃないので、批判の矛先が違うのね。そっちを言及したいのであれば、Netflixで配信中の『マイケル・ジャクソン:ザ・バーディクト』と『ネバーランドにさよならを』をご覧になって(これはこれで観るべきドキュメンタリー)。長くなっちゃったから、ドキュメンタリーは別の機会に紹介しますわ。

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