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就活ESに「大学の入学方法」記載欄、「一般入試が有利か…?」就活生ざわつく…法的問題あるのか

就活ESに「大学の入学方法」記載欄、「一般入試が有利か…?」就活生ざわつく…法的問題あるのか

就活のエントリーシート(ES)で、大学への進学方法を聞かれた──。

就活シーズンが本格化する中、そんな就活生のSNS投稿が注目を集め、賛否両論を呼んでいます。

投稿によると、ESには「一般入試」「推薦」「AO入試(総合型選抜)」「内部進学」「その他」など、大学への進学方法を選択する項目が設けられていたといいます。

SNSでは、「一般入試が優先されるのならうれしい」「AO入試は落とされるの?」といった声がある一方、「そこまで書かせる必要があるのかわからない」と疑問視する意見も上がっています。

企業が採用選考で進学方法を尋ねることに、法的な問題はないのでしょうか。また、どのような点に注意が必要なのでしょうか。労働問題にくわしい中村新弁護士が解説します。

●企業が「収集してはいけない個人情報」

職業安定法は、労働者の募集業務にあたり、事業者が求職者の個人情報を収集する場合には、その目的を明らかにしたうえで、業務の目的達成に必要な範囲内でおこなわなければならないと定めています(5条の5)。

さらに、労働省(現在の厚労省)の告示では、人種や民族、社会的身分、本籍地、出生地など社会的差別の原因となるおそれがある事項のほか、思想・信条や労働組合への加入状況といった個人情報については、原則として収集してはならないとされています。

また、厚労省ホームページで公開されているガイドライン(「公正な採用選考の基本」)では、採用選考時に配慮すべき事項が、さらに細かく紹介されています。

具体的には、「本人に責任のない事項」(本籍地や出生地、家族構成、住宅状況、生活環境)のほか、宗教、支持政党、人生観、労働組合への加入状況などの把握は、就職差別につながるおそれがあるとされています。

こうした規定やガイドラインの趣旨は、本人の意思や能力では変えることができないことを理由とする不合理な差別や思想信条の自由の侵害を防止する点にあるのです。

そのため、直接これらの事項に該当しなくても、この趣旨を損なうおそれがあるような個人情報の収集は控えられるべきでしょう。

●企業には「なぜ聞くのか」の説明責任も

では、大学への入学方法はどうでしょう。

これは自ら主体的に選択できたことであり、また、信仰する宗教と関連するような推薦方法を除いて思想信条とも関係しません。よって、「一般、推薦、AO入試」程度の分け方でESに記載させることに、ただちに法的な問題があるとは言い難いところです。

入学方法にはそれぞれの特色があり、一概に優劣をつけられません。したがって、不合理な差別につながる記載とは言えないと思われます。

しかし、仮に結果として採用実績が特定の入学方法(推薦、AO)に偏った場合、「この会社は一般入試の学生しか採用しない」「その他の入試の学生は不利なのではないか」といった風評が立つ可能性があります。

実際にそのような選考がおこなわれていなかったとしても、就活生から選考の公平性に疑問を持たれれば、その後の採用活動に支障をきたすおそれがあることは否定できません。

したがって、企業がこのような情報を収集するのは、大学への入学方法に偏りを生じさせず、幅広い人材を集めたいと考えている場合に限ったほうがよいかもしれません。

【取材協力弁護士】
中村 新(なかむら・あらた)弁護士
2003年、弁護士登録(東京弁護士会)。現在、東京弁護士会労働法制特別委員会委員、2021年9月まで東京労働局あっせん委員。2023年4月より東京労働局労働関係紛争担当参与。労働法規・労務管理に関する使用者側へのアドバイス(労働紛争の事前予防)に注力している。遺産相続・企業の倒産処理(破産管財を含む)などにも力を入れている。
事務所名:銀座南法律事務所
事務所URL:http://nakamura-law.net/

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