脳トレ四択クイズ | Merkystyle
「駐車スペースに合う車を買って」自宅から歩道にはみ出す大型ワゴン車、事故が起きたら誰の責任?

「駐車スペースに合う車を買って」自宅から歩道にはみ出す大型ワゴン車、事故が起きたら誰の責任?

「どうして家の駐車スペースに入るサイズの車を買わないのか」

東京都世田谷区に住む会社員の男性(40代)は、近所を散歩するたびに目に入る“はみ出し駐車”に憤りを感じるといいます。

男性が気になっているのは、一戸建て住宅の駐車スペースから大きくはみ出した大型ワゴン車。いつも車体の一部が歩道側に迫り出しており、歩行者は避けるために車道へはみ出さなければならない状態だといいます。

しかし、その道路は交通量も多く、男性は「子どもや高齢者にとっては本当に危ない」と不安を打ち明けます。

こうした駐車に違法性はないのでしょうか。また、はみ出した車を避けて車道に出た歩行者が事故に遭った場合、駐車していた側に法的責任が生じる可能性はあるのでしょうか。竹内省吾弁護士に聞きました。

●はみ出し程度や危険性により違法になる可能性

──一戸建ての駐車スペースから車体が道路側にはみ出している状態は、違法と評価される可能性はあるのでしょうか。

自宅の敷地内に駐車していても、車体が道路(歩道部分を含みます)にはみ出していれば、違法となり得ます。

ただし、ドアミラーや車の先端がほんの少し歩道にかかっている程度であれば、実務上はただちに検挙されることは少ないでしょう。

一方で、車体の半分が歩道をふさいでいて、ベビーカーや車椅子では通り抜けられず車道に出るしかない、といった状態であれば話は別です。

このように歩行者の通行を妨げ、危険を生じさせている場合は、道路法43条2号が禁じる「道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為」にあたる可能性があります。

さらに、車体が車道にまで及び、継続的に止め置かれていると評価されれば、道路交通法上の駐停車違反として扱われる余地もあります。

判断のポイントは、はみ出しの程度と危険性です。会社員男性が体験したような交通量の多い道で、歩行者が車道へ迂回を強いられている状況であれば、違法と評価される可能性が高まり、警察が指導や警告をすることもあります。

そもそも車庫に収まらないサイズの車を、無理に同じスペースで使い続けている点は、保管場所の確保を求める車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)の趣旨からも、本来望ましいものではありません。

●はみ出した車を避けた歩行者が事故に遭ったら?

──はみ出した車を避けるため、歩行者や自転車が車道側に出て事故に遭った場合、駐車していた車の所有者・運転者に法的責任が認められる可能性はありますか。

はみ出しの程度によりその可能性はありますが、限定的な場面だと思います。

事故で直接ケガを負わせたのは衝突した車両であり、第一次的な責任は通常その運転者が負います。

はみ出し駐車をしていた側が責任を問われるとすれば、民法709条の不法行為責任ですが、そのためには「違法・危険なはみ出し駐車」と「事故・ケガ」との間に、因果関係が認められる必要があります。

たとえば、毎日のように歩道の大半がふさがれ、誰もが車道へ出ざるを得ない状態が続いていた中で、車道に出た歩行者が車にはねられた、というケースですと、はみ出し駐車をしていた側にも一定の過失が認められる余地が出てきます。

複数の原因が重なって事故が起きたとして、共同不法行為(民法719条)と構成される事例もあります。

反対に、歩道に十分な余地があって安全に通れたのに歩行者があえて車道に出た場合や、はみ出しがごくわずかだった場合には、「はみ出しのせいで事故が起きた」とはいいにくく、責任は認められにくいでしょう。

結局は、はみ出しの程度や危険性、ほかに安全な通り方があったかといった個別の事情による、ケースバイケースの判断となります。

【取材協力弁護士】
竹内 省吾(たけうち・しょうご)弁護士
弁護士法人エース代表弁護士。慶應大卒。銀座を本店に、全国に5拠点を構える。労働分野、一般民事、家事、相続、企業法務など幅広く扱う。著書に「少年事件ハンドブック(青林書院)」など。社労士法人エースクルー代表。士業コンサルを扱う株式会社HINANO代表取締役。趣味は車、バイク、コーヒー焙煎。
事務所名:弁護士法人エース
事務所URL:https://ace-law.or.jp/

提供元

プロフィール画像

弁護士ドットコム

「専門家を、もっと身近に」を掲げる弁護士ドットコムのニュースメディア。時事的な問題の報道のほか、男女トラブル、離婚、仕事、暮らしのトラブルについてわかりやすい弁護士による解説を掲載しています。