抗がん剤治療の治療期間

抗がん剤治療の治療期間は、使用する抗がん剤の種類・組み合わせ(レジメン)ごとに決まっています。
一般的にプラチナ製剤は3~4週間ごとに合計4~6回投与するため、治療期間は3~6ヶ月となります。再発が無ければいったん治療は終了となります。
その他の細胞傷害性抗がん薬、血管新生阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬も3~4週間ごとに投与します。また、ドライバー遺伝子変異を標的とした分子標的治療薬は毎日内服します。
プラチナ製剤とは異なり、これらの薬剤は肺がんが再発するか、副作用により投与困難となるまで治療を継続します。そのため患者さんごとに治療期間は異なります。
肺がんの抗がん剤治療で生じる主な副作用

抗がん剤治療にはさまざまな副作用が伴います。
悪心・嘔吐
悪心・嘔吐は細胞傷害性抗がん薬で多く認められます。一般的には投与後1~3日から出現し、7日頃には改善します。抗がん剤と吐き気止めの進歩により、生活に支障が出るほどの悪心・嘔吐は減少傾向です。
下痢、便秘
ドライバー遺伝子変異を標的とした分子標的治療薬では下痢を起こしやすい傾向にあります。下痢止めを内服して対応します。
脱毛
細胞傷害性抗がん薬の投与後2~3週間から髪が抜け始めます。ただしこれは一時的な減少であり、細胞傷害性抗がん薬の終了後から次第に新しい髪が生えてきます。
末梢神経障害
手足の神経が障害されて生じるしびれや感覚障害のことです。パクリタキセルとアルブミン懸濁型パクリタキセルに多い副作用です。症状に応じて抗がん剤の減量や休薬、しびれを和らげる薬の内服で対応します。
骨髄抑制
血球を作る細胞が傷害され、免疫を担う白血球、全身に酸素を届ける赤血球、止血を担う血小板が減少することです。細胞傷害性抗がん薬の投与後7~14日に一時的に認められますが、自然に回復します。
皮膚障害
ドライバー遺伝子変異を標的とした分子標的治療薬では、皮膚の乾燥、にきび、爪周囲の炎症などの皮膚障害を多く生じます。そのため保湿剤による予防を行い、悪化した場合にはステロイド軟膏による治療を行います。
その他の副作用
免疫チェックポイント阻害薬により免疫関連有害事象(irAE)と呼ばれる副作用が起きることがあります。これは免疫システムが異常に活性化することで生じる、各臓器の障害やホルモンの過剰・欠乏です。細胞傷害性抗がん薬や分子標的治療薬とは異なり副作用の発症タイミングが予測できず、特徴的な症状がなく一見するとわかりにくい点が特徴的です。

